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 大和市議会 小田の一般質問

 *本会議場での実際の質問では、私の場合はテーマごとに、まとめて質問し、行政側もまとめて答弁しています。このHPでは分かりやすさを重視して一問一答方式のように再編集し、質問の直後に答弁を記しています。なので、動画とは若干食い違う箇所があります。議事録は市議会HPの会議録でもご覧になることができます。

 *市議会HPでは、過去1年分の動画を公開しています。それ以前のものは見ることができませんのでご了承ください。

令和3年6月議会

  1.風通しのよい職場環境

 市長のパワーハラスメント疑惑をめぐる報道が出てから1カ月超が経過しました。市議会では調査特別委員会を設置する一方、市長は「捏造だ」として前副市長を相手取って提訴しました。大変異例の事態です。今回の質問ではこの問題を契機に、パワハラについて主に一般論を取り上げます。

 その前に、市の職員にとって風通しのよい職場環境は大切です。18日の本会議でパワハラ問題を取り上げた佐藤議員の初当選時の最初の質問は、このテーマだったそうです。私も同様の問題意識を共有します。

 組織内のコミュニケーションが円滑であり、同僚だけでなく上司に対しても言いたいことをオープンに言い合える。このような自由闊達な雰囲気があれば、様々なアイデアが下から沸き起こり、生産性が向上するはずです。職員にとっても働きやすい職場となります。組織としてのチーム力が高まります。逆に、風通しが悪いと閉鎖的となり、問題解決に時間がかかります。新しい環境を求めて離職する方も増えるかもしれません。

 

 (1)パワーハラスメント

 パワハラがはびこっている職場では、職員は委縮しがちです。パワハラを行う上司に対して報告、連絡、相談といった「報連相」を行いにくくなります。生産性や職員の士気は低下し、職場の風通しは悪くなります。あってはならない行為です。

 

 国レベルでは改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が成立し、大企業では昨年6月から、中小企業では来年4月から対応が義務付けられます。本市では昨年6月、セクハラとパワハラの基本指針を網羅した「大和市職員のハラスメント防止等に関する指針」を施行しています。

 本市の指針が定めるパワハラ防止のポイントについては、お手元の資料をご参照いただければと存じます。指針では、総務部人財課給与労務係にセクハラ、マタハラ、パワハラに関する相談窓口を設置すると定めています。パラハラ行為が認定されれば、懲戒処分に付されることもあります。「大和市職員の懲戒処分に関する指針」では、パワハラで相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた場合は「免職、停職又は減給」という重い処分に処すとしています。

 

 そこで4点伺います。

①パワハラ防止の重要性について

②人財課の相談窓口で受け付けた相談件数は?

③相談を受けた場合の対応はどうなっているか?

④研修制度はどうなっているのか?

 (2)メンタルヘルス

 

 「大和市役所は精神疾患で休む職員が多い。辞める若手職員が多い」。そんな話を仄聞しました。

 

 実際にどうなっているのでしょうか。市議会総務委員会でのやり取りや資料請求に基づき、精神疾患による休職者数の推移をこちらでまとめてみました。平成17年度は9人でしたが、大木市政が始まった平成19年度には17人に増え、21年度には27人にさらに膨らみました。その後、増減はありますが、20人から30人の範囲で推移し、近年は30人近くとなっております。先日の一般質問でも、この数について令和2年度は24人という答弁がありました。

 自己都合退職者数はどうでしょうか。大和市が公表している「人事行政の運営等の状況の公表等」によると、近年では、一般行政職職員のうち概ね30人前後が毎年、自己都合で退職しています。

 

 人事行政の運営状況は、地方公務員法の定めに基づいています。各自治体が公表しており、他市との比較対照が可能です。たとえば、令和元年度における本市の自己都合退職者は33人でした。同年度のデータを調べると、政令指定都市を除く県内16市では本市が最多でした。もちろん自治体によって職員の数には多寡があります。きちんと比較するには割合を見る必要があります。

 令和元年度における本市の一般行政職職員は890人です。33人を分子とすると自己都合退職率は3.7%となります。職員数が862人の鎌倉市は自己都合退職が21人で2.4%、職員数が917人の小田原市は自己都合退職が15人で1.6%です。同規模の自治体と比べてもかなり高いことが分かります。

 そこで3点伺います。

①精神疾患に係る休職者数の推移をどう捉えているのか?

②精神疾患で休職等となった職員の復職支援について

③自己都合退職者数についてどう捉えているか?

 以上で1回目の質問を終わります。

 

■市長

 市民サービスの担い手である職員が能力を十分に発揮し、職務を遂行していくためには、風通しのよい職場環境を構築することが重要と考えている。一例だが、職員提案制度や電子目安箱制度などを通じて、職員の意見やアイデアを受け止め、施策等に反映させるとともに、新採用職員や新任管理者職員などとランチミーティングを開催し、直接意見を聴く場を設けるなど様々な取り組みを行っており、今後も継続して参る。

(1)パワーハラスメント

① パワハラ防止の重要性について

④ 研修制度はどうなっているのか?

■総務部長(一括答弁)

 昨年6月に策定した「大和市職員のハラスメント防止等に関する指針」では、職員の利益の保護や能力の発揮、良好な職場環境の形成を目的として、パワハラをはじめとするハラスメントの防止等に必要な事項を定めている。職員が心身の健康を維持し、意欲を持って働くことができる環境を整えるためには、ハラスメントの防止は重要であると捉えている。

 そのため、同指針の周知徹底はもとより、毎年、外部講師を招いて開催するハラスメント防止セミナーなどの研修を通じて意識啓発や知識向上をはかっており、引き続き職員の働きやすい職場環境の整備に努めて参る。

 

② 人財課の相談窓口で受け付けた相談件数は何件か?

■総務部長

 人財課相談窓口が受け付けた職員間でのパワハラに関する相談については、相談の事実や内容を公にしたくないなど様々な個人の事情があることから、具体的な内容を明らかにすることはできないが、平成30年度から昨年度までの3年間の相談件数はパワハラとして認定されたケースも含め21件だ。

③ 相談を受けた場合の対応はどうなっているか?

■総務部長

 相談を受けた場合には、相談者の要望や相談内容に配慮しながら、聞き取り等の調査を実施し、その結果、事実が確認された場合には、職場環境の改善に向けた対応措置を適切に行っている。

 

(2)メンタルヘルス

①精神疾患に係る休職者数の推移についてどう捉えているのか?

②精神疾患で休職等となった職員の復職支援について

■総務部長(一括答弁)

 職員が精神疾患で休職等となった場合の対応だが、産業医や産業保健師などのスタッフが本人との連絡や面談を適宜行い、心身の状況の変化等を確認したうえで、外部の支援施設の紹介や職場リハビリを実施し、職場復帰に向けた支援を行っている。

 また、本市職員の精神疾患に係る休職者数が平成21年度に増加したことについては、全国的に公務員の精神疾患に係る休職者等が増加している中、本市においても同年10月から産業医が職員リハビリの期間を従来の1カ月程度から状況に応じて、最長3カ月まで延ばし再発予防に重点を置いた復職支援に見直しをしたことによるものと捉えている。

 

③自己都合退職者数についてどう捉えているか?

■総務部長

 令和元年度の本市の自己都合退職者数は33人だが、このなかには任期付き職員が他事業所等への正規採用が決まったケースなどによる退職11人を含む。そのため、他の自治体と単純に比較することは難しいと考えているが、全国的な動向と同様に、職員の定着率を一層向上させるための取り組みは必要と捉えており、引き続き研究して参りたいと考えている。

 

【答弁後の意見・要望】

 市長から、風通しのよい職場に関する総括的な話がありました。こちらとしては、市長ご本人から、パワハラ防止の重要性について答弁されることを期待しておりましたが、部長答弁でした。

 

 パワハラ防止に向けては、相談体制や規定の整備、プライバシーの保護、不利益な取り扱いの防止など様々な対策がありますが、最も重要なのはトップのあり方です。弁護士でもある木下潮音東京工業大学副学長は『週刊東洋経済』3月6日号で、トップがハラスメント防止の宣言をすることがまず大事だと力説しています。本日午前、堀口議員が質問のなかで、大阪府摂津市の「ハラスメント防止宣言」を紹介していました。私も、本市で取り組むべきだと考えます。

 

 答弁では、パワハラに関する相談件数が3年間で21件あったことが明らかになりました。単純に割れば1年間あたり7件です。評価は人によって分かれるでしょうけれども、私は多いという印象を持ちました。このうち、一定数はパワハラとして実際に認定されていると推測します。事案の中身は詳らかではありませんが、深刻な事例であれば懲戒処分も辞すべきではないでしょう。

 

 厚生労働省が民間企業に委託した「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラを受けた後の行動として、「社内の同僚や上司に相談した」のは計40.1%いましたが、「相談窓口に相談した」のはわずか5.4%にとどまっています。「何もしなかった」との回答は35.9%に上っています。この調査から導き出される結論は、パワハラは泣き寝入りも多く、相談件数は氷山の一角に過ぎないということです。

 

 つまり、最近注目されている案件について踏み込んで言えば、仮に「被害者からの直接の申し出や訴えが一切存在していない」としても、パワハラが存在しないという証明にはなりません。その点は留意すべきです。職員に寄り添った対応が求められます。

 

 先の調査によると、相談窓口の設置状況は「社内のみ設置」が63.8%と多くを占めますが、社外の外部組織のみに設置が2.9%、社内外の両方に設置が33.3%となっています。大和市ではハラスメント相談員を9人指定し、人財課に相談窓口を設置していますが、同じ職場だと相談しづらい方もいるかもしれません。第三者による外部組織の窓口を設けて、相談しやすい体制づくりを強化することも検討に値すると考えます。

 

 弁護士の向井蘭さんが出版した『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック』によると、パワハラ行為者は無自覚なので多くの場合、否認します。具体例を突き付けられた場合でも「自分は悪くない」「指導だ」と釈明します。同書では、パワハラ行為者が絶対にやってはいけないこととして、報復を挙げています。報復行為はセカンドハラスメントと呼ばれます。

 

 パワハラ疑惑をめぐり市長は前副市長を相手取って提訴しましたが、自身を批判した相手を威圧するための「スラップ訴訟」になりやしまいか。場合によっては、職員に対する無言の圧力やセカンドハラスメントになる可能性もあるのではないか。このように危惧します。

 とはいえ、一般に、パワハラに関する相談のすべてがパワハラとして認定されているわけではありません。「パワハラ加害者」というレッテルを貼られた被害者が生まれる可能性もあります。パワハラにはグレーゾーンもあり、難しい問題ではあります。ですので、何がパワハラにあたるのか注意を払い、自身の発言や対応が業務指導を超えて単なる罵声や侮辱となっていないか、かえりみることが肝要です。

 

 令和元年度において、本市の職員の84人がハラスメントの研修を受けています。パワハラの存否はさておき、今回の報道を契機として、市長をはじめとする特別職の皆様も研修に参加されてみてはいかがでしょうか。そのように提案します。

 

 メンタルヘルスですが、地方公務員における精神疾患の休職者数は全国的に増加傾向にあります。本市特有の問題ではありません。大和市が増えているのは制度改善によるところが多いという答弁でしたが、対応は急務だと考えます。復職支援をめぐっては、産業医をはじめ相談しやすい体制づくりをすることも大切です。

 

 自己都合退職者数については、大和市は任期付職員が多いので、数値が多めに出てしまうということでした。ただ、任期付職員を除いた場合でも、退職率は県内他市より高めであり、対応が望まれます。業務量の改善やメリハリのついた勤務体制など働き方改革を進めることも大事でしょう。

 

 本市は、人口当たりの職員の数が少ないとうかがいます。職員数の割にきめ細かいサービスを展開しており、職員の皆さんは頑張っておられると存じます。ただ、俗に「パーキンソンの法則」と呼ばれますが、一般に官僚組織は肥大化しがちです。市政において、今日的な課題を的確に捉え、新たな取り組みを始めるのは良いことですが、その場合には、別の事業を減らすスクラップ・アンド・ビルドを行い、業務量の適正化を図ることが肝要でしょう。

 

 本市の人財課の「ざい」の字は、材木の「材」ではなく財産の「財」の字を当てています。職員は宝であり財産であるという思いが込められています。住民サービスを提供する基盤となる職員の皆さんが働きやすい、風通しのよい環境を構築することにも、是非注力していただきたい。このように要望いたします。

 

 

 2.攻める広報と守る広報

 

 広報は、攻める広報と守る広報の2種類あると捉えられます。この分類は一般化されているものではありませんが、あさま山荘事件などを指揮したことで知られる初代内閣安全保障室長の佐々淳行さんが、『「危機管理・記者会見」のノウハウ』と題した著書で、独自に定義しています。

 

 本市で言えば、攻める広報は市政をPRして発信していくことになります。この点、本市はとても上手です。

 一例を出すと、市立病院の歯科医師がワクチンを接種したニュースがありました。5月18日でした。歯科医が実際にワクチンを接種したのは全国で初めてということで、民放各局をはじめメディアで大きく取り上げられました。

 一方、お隣の海老名市は大和市より若干、時期は遅れたものの、市内の歯科医師が60人態勢で接種にあたっています。5月26日以降、シフトを組んで集団接種に参加しています。大和市でワクチンを接種する歯科医師はまだ1人のみですが、情報発信や取材対応が早く、ファーストペンギンだったので、大きく取り上げられました。これを「宣伝戦」と捉えれば、大和市はスピードで制したと言えます。

 先ほど大先輩の安藤議員から質問がありましたが、「全国初の事業」として捉えれば、これは価値の高い全国初だったかどうかは謎です。凡庸であっても市民の役に立っていることが大切です。要は全国初、県内初であるかどうかではなく、実質だと考えます。

 一方、「守る広報」とは、不祥事やトラブルがあったときに、その被害を最小化する危機管理的な広報を意味します。たとえば、5月26日の市長記者会見では、パワハラ疑惑をめぐる記者団とのやりとりが堂々巡りになるとして、記者会見が打ち切られました。記者会の要請に応じて約40分後に再開したものの、質問は1人1問に限定されました。

 市の対応は危機管理としては極めて不適切でした。というのは、「大和市は、都合の悪いことについては説明する姿勢がないのではないか」という印象を与えてしまうからです。

 

 市側には「メディアは都合よく切り貼りする」といった不満もあるかもしれません。仮にそうであるならば、会見録や動画といった記者会見の記録をきちんと公開すればよいと考えます。

 

 メリットはメディア、行政の双方にあります。まず、行政側は都合の悪いことを隠蔽しにくくなります。一次情報がオープンになれば、恣意的な会見打ち切りもしづらくなるでしょう。これはメディア側のメリットです。逆に、メディア側も見られる立場になります。意図的な編集をしづらくなり、一定の自制心が働くでしょう。行政側にもメリットとなるはずです。

 

 われわれ議員も含めた市民にとっても、記者会見の一次情報を確認することができます。「見える化」を進めることは「知る権利」を保障するうえで重要なプロセスです。

 

 そこで3点伺います。

①広報に対する基本姿勢について

■市長室長

 自治体が実施する広報は、市の施策や考え方などを市民の皆様に広く周知することを目的としている。本市における広報活動は、広く大和市をPRすることを通じ、市外の方々ともつながることを意識している。

 

②記者会見の意義について

③記録を公開すべきではないか?

■市長室長(一括答弁)

 記者会見は多くのメディアに対し、同じ場所・同じ時間に情報を直接発表できるメリットがあり、同時期に様々な媒体を介して情報発信されることで、情報の広がりがより期待できるものと考えている。

 会見でお知らせした情報につきましては、市が配布した資料を市のホームページで公開している。また、会見中の質疑応答については、各報道機関が情報を確認・整理する過程であり、その結果をまとめニュースとして発表していることから、今後も会見記録を公開する予定はない。

 

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。記者会見の意義については「情報を発信して拡散できる」という行政側の視点にとどまっていました。記者会見が一旦打ち切られて紛糾したのも、さもありなんと考えました。というのは、記者会見は公的機関としてアカウンタビリティー、説明責任を果たす場でもある、という重要な視点が答弁から抜け落ちているからです。

 

 公職者は自らの決定と行動を市民に説明する義務がある、というのが説明責任の考え方です。これが欠落すると権力は腐敗する可能性があります。記者会は、国民の知る権利に応えるために、記者会見を取材の重要な手段として位置づけているはずです。公的機関、これは行政だけに限りませんが、報道に対する一定の理解や配慮が不可欠です。

 

 会見の記録については「公開する予定はない」という回答でした。ですが、総理大臣、官房長官、中央省庁の各大臣、都道府県知事、政令指定都市の市長の記者会見では会見録や動画の公開が一般的となっています。

 神奈川県内の状況を調べてみましたが、政令指定都市3市や茅ケ崎市は市長記者会見の内容を全面的に公開しています。海老名、座間、綾瀬など7市は、会見冒頭の説明部分を動画で配信しています。市長会見における本市の対応は、県内他市と比べても公開性に欠けています。

 記者会見の質疑では、行政として発信したくない都合の悪い内容も時には含まれるでしょう。ですが、情報公開が原則の世の中です。透明性を高めていただきますように要望します。

 

 5月26日の記者会見ですが、市長は一旦打ち切ったことについて、「同じ趣旨の質問が出ることで、司会者の方が判断したと思う」と釈明していました。会見打ち切りが予め示し合わせていたものか、司会者の判断だったのかは存じませんが、どちらにしても、職員のせいにするのはいかがなものでしょうか。市長は会見を立ち去らず、質問を受け続ける判断を下すこともできたはずです。行政を指揮するだけでなく、責任を持つこともトップのあるべき姿でしょうし、そうでないと職員の士気は著しく低下しかねません。

 

 大項目1のテーマにも絡みますが、職員の自主性を尊重しつつも、トップが最終的な責任をとる。そのような姿勢こそが、風通しのよい職場環境を生み出すことにつながるのではないでしょうか。

 

 

 3.カラス対策

 

 カラスが食い散らかしたゴミの散乱が一部で問題化しています。大和駅周辺に勤務する市民の方からこの4月、「何とかしてほしい」という相談を受けました。ゴミ袋がカラスに突っつかれ、生ゴミなどが食い散らかされているということです。私も駅周辺で実際に確認しましたが、街の美観を損ねますし、見ていて気持ちの良いものではありません。

 散らかったゴミは、ゴミ収集車のスタッフが片付けてくれたそうです。頭が下がります。ですが、本来業務ではありませんし、その分、余計な時間を取られてしまい、作業効率も低下するでしょう。

 

 日本野鳥の会の会員が平成25年から26年にかけて横浜市内で行った調査によると、ゴミ集積所に集まったカラスの数や食い荒らされたゴミ集積所の数は、4月をピークとして春に多くなっています。春に被害が突出する理由は定かではありません。ただ、新住民が増える年度末から年度初めにかけてゴミの量が増える可能性が指摘されているほか、繁殖期に行動範囲が狭くなることでカラスが地域に定着する可能性も考えられています。

 

 カラス被害に悩まされる地域は少なくありません。各自治体はあの手この手の工夫を凝らしています。環境省が平成13年に発行した『自治体担当者のためのカラス対策マニュアル』では、カラスを呼び寄せる原因となるゴミそのものの減量化、カラスがやってくる早朝より前にゴミを集める夜間収集、カラスに荒らされないためのネットや折り畳み式ケースの配布―といった様々な事例を紹介しています。

 

 近年では東京都大田区が平成29年度、立体型防鳥ネットを無料で配布しました。京都市は昨年12月から、防鳥用ケージを無料で貸し出す実験を始め、好評を博しています。

 

 そこで2点、伺います。

①カラスに関する苦情の状況や対応の状況はどうか?

②ネットやカゴの補助制度など対策を講じられないか?

■環境施設農政部長

 燃やせるごみを収集する際にカラスに袋が突つかれ、中身のごみが散乱している場合、収集員がその場で収集し、清潔な状態を保つよう努めており、苦情は月に数件程度の状況になっている。また、ごみ袋がカラスの被害に遭い道路上に散乱していたご家庭に対しては、必要に応じ、具体的なカラス対策の方法を記載した文書を配布し、対応をお願いしているところだ。

 なお、戸別収集により、家庭のごみの出し方は様々な状況であることから、個々への補助制度は難しいと考えており、引き続き、各家庭に対し「家庭の資源とごみの分け方・出し方」パンフレットなどにより、カラス対策の周知に努めていきたい。

 

 【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。市の財政状況が厳しくなっていることは理解しますし、予算もなかなかつけづらいのかもしれません。ですが、要所要所でのネットやカゴの補助、配布など出費を抑えて対策を講じることもできるのではないか、と考えます。

 

 市民からは「恥ずかしい」といった厳しい声も出ています。割れ窓理論と呼ばれますが、街並みが汚ければ、治安が悪化する恐れもあります。まずは実態調査から開始し、カラス対策に積極的に取り組んでほしい。このように要望します。

 4.大和市資源選別所の環境整備

 昨年度になりますが、市議会の環境建設常任委員会では2月12日、大和市リサイクル事業協同組合を対象に意見交換会をオンラインで開催し、4月12日には大和市資源選別所を視察しました。

 この資源選別所は、缶などの資源を圧縮梱包する中間処理施設の一つであり、資源循環社会を構築するための重要な拠点です。市の委託を受けて事業協同組合が管理運営していますが、平成5年12月の竣工以降、27年余が経過しており老朽化が著しく進んでいます。事業協同組合の職員は、劣悪な環境の改善を求めています。

 

 たとえば、プレハブでは雨漏りが発生します。屋根がないため、ゴミを捨てに来た市民が雨天時に濡れてしまいます。パートのスタッフらはスプレー缶のガスを抜くために穴を開けますが、包丁を使った手作業であり危険性を伴います。

 

 職員からは「この状態で何十年も持つのだろうか」「パートが集まりにくく人員確保に苦慮している」といった声も上がっています。事業協同組合によると、近隣市では藤沢市、座間市、横須賀市などの同種施設が清潔で良好な環境を保っているということです。

 市側におかれましては、事業協同組合の意見をじかに聞き取った上で、資源選別所を安定かつ安全な施設とするべく施設整備、維持補修、作業環境の向上を図っていただきたいと考えます。

 

 そこで2点伺います。

 

①資源選別所のこれまでの経緯について

■環境施設農政部長

 資源選別所については、平成6年から現在の場所で稼働しており、倉庫兼作業員控室、大屋根等の追加整備を行ってきた。資源の中間処理施設は「大和市一般廃棄物処理基本計画」において、令和20年度以降の環境管理センターの次期施設整備と併せ、現在のセンター敷地内での再整備を検討することとなっている。このことから、資源選別所の使用期限を延伸し、延命化を図ることとしたため、必要最小限の補修による維持管理を行ってきた。

 

②資源選別所の環境整備をどう進めるか

■環境施設農政部長

 資源選別所の施設等の老朽化が進んでいることは承知しており、令和20年度以降の次期施設整備まで健全な状態で維持していくことが難しいため、資源回収業務の受託事業者との意見交換等を踏まえ、良好な作業環境を確保できるよう、最良の方法を検討して参りたいと考えている。

 

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。「委託事業者と意見交換し、良好な作業環境確保に向けて最良の方法を検討したい」という前向きな内容でした。労働環境の向上に向けて積極的に取り組んでいただければ有難く存じます。

 

 本論からそれますが、私としては市議会の委員会としても要望書等を市側に提出できれば良いと考えています。すぐに実現は難しいということで、昨年度の環境建設委員会の委員が共有した問題意識に対応すべく、この場を借りて質問、要望いたしました。当時副委員長だった国兼議員も昨日、この問題を取り上げています。

 この問題に限りませんが、議会においては議員一個人や会派で取り組むことが一般的です。これに加えて、委員会や議会が束になって「チーム議会」として対処していくという手法も、議会制民主主義の実効性を高めるうえで大切だと考えております。

 5.コーチング

 AI(人工知能)時代に備えるにあたっては、知識を活用する能力の重要性を増しています。このため、「新しい学習指導要領」ではアクティブ・ラーニング、主体的・対話的で深い学びの視点が打ち出されています。

 

 アクティブ・ラーニングにおいて求められる一つの技術がコーチングです。「COACH」というアメリカの革製品のブランドのロゴには馬車が描かれています。ハンガリーの村「Kocs(コーチ)」が馬車を作っており、そこからコーチという言葉は名詞では「馬車」、動詞では「大事な人や物を目的地に運ぶ」という意味になったそうです。

 ティーチングにおいては先生が答えを示します。一方、コーチングにおいて答えは学生の中にあります。コーチングは相手を承認しながらひたすら話を聞く「傾聴」が必要で、一定の質問力が求められます。

 

 これらのコーチングスキルを身に着けた母親らで構成されるNPO法人「トラストコーチング」が昨年5月、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止のための全国一斉休校によって、会話する機会が減った子供たちの不安やストレスを軽減すべく、「たいわ室」と題した取り組みを始めました。今日の手元の資料にビラを示しています。これは、オンライン上で対話できるアプリ「ZOOM」を使って、小中学生を対象に無料で1回30分程度対話するというものです。児童生徒らは、学校での出来事や友人関係、勉強などについて話をします。

 

 「たいわ室」には、子供たちの自己肯定感を高める成果があるということです。新聞等でも取り上げられ、後援・協力する自治体や教育委員会が全国でも増えています。

 国立成育医療研究センターがこの春に行ったアンケートによると、小中高校生の半数が新型コロナの影響で、大人に相談しにくくなっているということです。本市としても、子供が大人と気軽に対話、相談できる機会を拡充すると良いのではないでしょうか。

 そこで3点伺います。

①学校教育におけるアクティブ・ラーニングの現状について

■教育部長

 学習指導要領では、アクティブ・ラーニングを「主体的・対話的で深い学び」と位置づけ、学校では児童生徒が能動的に学習に取り組めるよう教師が適切な支援を行って授業を進めており、コロナ下において対話活動に制約がある中でも、一人一台端末を活用し、意見交換をするなどの工夫をして共同的な学習を行っている。

 

②コーチングの意義について

③民間団体と連携したコーチングの普及啓発について

■教育部長

 児童生徒の能力や可能性を信じ、考えや行動に共感しながら、その子が持つ良さを引き出すコーチングは、教師のコミュニケーションスキルとして重要であると考えている。教育委員会としては、民間団体の活動をはじめとして、子供一人一人の心に寄り添い、支援していく場や機会について情報提供して参る。

 

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。「子供一人一人に寄り添って支援する場や機会を情報提供していく」という積極的な内容だと受け止めました。

 先日、大和市の名誉市民であるノーベル化学賞受賞者、根岸英一さんがお亡くなりになりました。衷心よりお悔やみを申し上げます。

 

  『夢を持ち続けよう!』と題した根岸さんの自叙伝を改めて読み返してみました。根岸さんはアメリカのパデュー大学でノーベル賞受賞者、ブラウン教授の下で6年間学びましたが、実験は失敗続きだったそうです。それでも、ブラウン教授はファクトの追究を徹底することなど様々な教訓を根岸さんに与え続けました。根岸さんは自身の体験に基づき、コーチングの重要性についてこう力説しています。

 「効果的なトレーニングのためには優れたコーチが必要だ。ピアノやスポーツでは誰もが同意してくれるが、科学者養成に際しては必要性が明白になっていない。結果として多くの科学者が『プロ』になり損ねている」

 

 引用は以上です。学校教育においてティーチングは大切ですが、コーチングについても、さらに充実させてほしい。このように要望して、今回の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

6月議会提出資料(表).jpg
6月議会提出資料(裏).jpg

令和3年9月議会

1.行政のデジタル化

 

 菅政権肝いりのデジタル庁が今月1日、発足しました。政府はこれまで、内閣官房のIT総合戦略室でデジタル化を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を奇貨として機運が高まり、動きが一気に加速しました。デジタル庁が重要なシステムを運用し、予算も計上します。進み方が遅い省庁に対しては、デジタル担当大臣が勧告することもできます。

 

 政府が昨年12月に閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」によると、デジタル化を進める目的は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」とされます。キャッチフレーズは「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」でございます。

 

 デジタル化は世の趨勢です。シンクタンクの野村総合研究所が昨年作成した「未来年表」をお手元の資料にまとめました。行政に限らず、デジタル関係全般のトピックを抜粋しております。

 

 卑近な例を挙げると、2025年度からは民事訴訟手続きが全面オンライン化されます。現在、訴状は被告に郵便で特別送達していますが、時間も費用もかかります。デジタル化が実現すると、訴状などのデータがアップロードされたことを被告に通知し,被告はシステムからデータをダウンロードする。こんな仕組みになります。なんと口頭弁論もオンライン上で可能になるそうです。

 野村総研の予測では、同じ時期に無人レジの比率が20%を超えるそうです。5年後の2030年には、オンライン決済の割合が8割に達するとも見込まれています。世の中は大きく変わっていきます。市役所も遅れをとるわけにはいきません。

 

 デジタル化と対照的な行政の文化として、文書主義が挙げられます。国内では、飛鳥時代の701年に制定された大宝律令に起源があるそうですが、あらゆる種類の処分や報告などが文書形式で記録、保存されます。契約書、伝票や稟議書は原則的に紙の書類を前提としており、押印して決裁する仕組みになっております。

 

 アナログ的ともいえる業務プロセスは、全員出勤という価値観が前提となっていますが、テレワークが進めば進むほど、押印は業務効率化の阻害要因となるはずです。

 総務省が昨年12月にまとめた自治体DX推進計画では、テレワークの推進のほか、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、いわゆるBPRの取組み徹底として、書面や押印、対面の見直しを要請しています。本市においても対策は急務です。

 

 コロナ対策として昨年行われた1人10万円の特別定額給付金の申請の際には、多くの市民が市役所の1階ロビーの席に座り、入りきれない方々が外に並んでいることもありました。オンラインで手続を簡素化するなど混雑を解消する取り組みも求められます。

 

 そこで4点伺います。

①デジタル化に向けた考え方

■市長

 スマートフォンの普及に代表されますように、デジタル化やオンライン化はかつてない速さで国際的に進展しており、こうした状況において我が国、そして何よりも本市の市民がその恩恵を十分に享受することができるよう、行政のデジタル化に向け積極的に取り組んでいく考えでございます。

 具体的なサービス等の導入にあたりましては、いわゆるUIやUXの視点も大切にして機能や操作性等の質を高めながら、デジタル技術を通じた行政情報の取得、手続等の過程において、市民の方に利便性を実感していただける環境を整えることが、重要な要素になるものと捉えております。

 また、アナログの良さや対面によります職員対応の利点も活かすなど、デジタル機器の使用が困難な方への配慮もあわせて行うことにより、シニア世代も含め、幅広い年齢層の方が充実した行政サービスを受けられるよう、デジタル化に取り組んで参ります。

 

②取り組みの進捗状況

④窓口混雑の解消に向けた取り組みとオンライン申請

■政策部長(一括答弁)

 本市におきましては、がん検診の申し込みや粗大ごみの回収、職員募集などおよそ60にわたる手続きをオンラインで受け付けているほか、業務効率化に向けたRPAの導入など、従来からデジタル技術の活用を進めて参りました。

 今年度からは、組織を「デジタル戦略課」に改編したうえで、優れた識見を有する民間人材のデジタル戦略推進アドバイザー2名を交え、最新のサービスや国の動向、ユーザー視点など多角的な観点により本市におけるデジタル化を効果的に推進できるよう取り組んでいるところでございます。

 オンライン手続の拡充につきましては、窓口における取扱件数が多いものをはじめとして、幅広く利用が見込まれる手続きを整理したうえで、今年度中をめどに拡大を図り、効果を見極めながら、翌年度以降も手続の増加につなげていく考えです。

 窓口の円滑化に向けては、行政手続のオンライン化を進めていくことで、混雑の緩和に結び付けていく考えですが、直近の取り組みといたしましても、市民課のマイナンバーカードの交付事務において、本年7月にウェブ予約システムを導入し、スムーズな対応につなげたところでございます。

 

③行政文書における押印の見直し

■総務部長

 本市では令和2年12月に公表された国の押印見直しマニュアルを踏まえ、行政手続における押印の見直しを進めて参りました。この押印見直しの結果、令和3年3月末時点で、本市の行政手続において押印を必要としていた様式約1100件のうち、6割の約650件の押印を廃止いたしました。押印を廃止した様式の具体例といたしましては、市県民税申告書や介護保険認定申請書などがございます。

 【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。OECD、経済協力開発機構の2018年調査によると、我が国の行政手続のオンライン利用率は7.3%にとどまっています。これは調査に参加した30カ国のうち最下位でした。日本はデジタル化の後進国と言えますが、この1年間、進展を見せ始めています。新聞報道によると、神奈川県の黒岩祐治知事は、収入印紙を順次廃止する方針を県議会で明らかにしました。キャッシュレス決済の導入も今後、進んでいきそうです。

 

 先ほど一律10万円の特別定額給付金の支給で市役所が混雑した事例を挙げましたが、マイナンバーカードを使い慣れておらず、忘れてしまったパスワードを再設定するために訪れた方も多数いらっしゃったのではないでしょうか。本市におけるマイナンバーカードの交付率は今年4月時点において30.8%。全国平均を2.5ポイント上回っていますが、さらなる普及が求められます。先ほど、マイナンバーカードをめぐってはウェブ予約システム導入について答弁がありましたが、行政手続のオンライン化拡大について成果を期待しております。

 バルト3国の一つで、電子政府の最先端であるエストニアでは、コロナ対応に関し、州機関から寄せられた情報をチャットボットを通じて市民に提供する取り組みを始めています。官僚的な言葉を一般向けの言葉に変えて150文字に圧縮して説明します。この作業はエストニア語学研究所のボランティアが支援しているそうです。

 日本でもホームページにチャットボットを導入している自治体は増え始めています。近隣では海老名市でも取り入れています。本市は現在、ホームページのリニューアル作業を進めていますが、他自治体の事例も参考にしながら、採用してみてはいかがでしょうか。要望いたします。

 行政のデジタル化が進んで、デジタル・ガバメント、電子自治体に変わっていけば、単純作業が自動化されます。公務員の働き方も変わります。「AIによって仕事が奪われる」と後ろ向きに捉えるより、「単純作業をしなくてよくなった分、クリエイティブで人間らしい業務に時間を使うことになる」と前向きに捉えたほうが建設的だと考えます。

 

 テレワークが進めば、上司対部下という関係は希薄化し、組織自体がタテ社会からフラットな組織に変化していくはずです。これは官僚制機構自体を変革させるきっかけになるかもしれません。

 デジタル化は、物事の本質を問う作業にもなります。分かりやすい例として議会のデジタル化を挙げます。この本会議場の議決は起立採決となっています。ですが、国会では参議院が押しボタンを採用しています。地方議会でも、平成28年10月に本市議会の厚生常任委員会で視察した愛知県東海市の市議会でも導入しています。大和市議会はまだですが、機運が高まれば、「議員が賛否を示すのに起立する必要があるのかどうか。そもそも議決とは何か」といった根本的な議論が不可欠となってくるでしょう。

 まとめますと、デジタル化を進めるということは、行政サービスにおいて何が重要で何が重要でないのか、本質を見極めることにつながります。デジタル化の仕分け作業自体が意識改革につながるのです。そのような意義も踏まえた上で、進みを加速していただければと存じます。

 

 

2.ひきこもり支援

 

 新型コロナの感染を防止するとして緊急事態宣言が発令され、外出自粛やテレワークが要請されています。昨年より緩くなったとはいえ、職種によっては、自宅で仕事が完結できるようになり、出勤しなくなった方もいます。大袈裟に言えば、現在は「1億総ひきこもり時代」でもあります。政府がひきこもりのブレーキとアクセルの両方を同時に踏んでいる状態です。

 

 コロナ自粛においては、ひきこもりではなく「巣ごもり」というワードがもてはやされました。ひきこもりという言葉にはネガティブなイメージが伴います。なので、外出自粛に対する拒否感を和らげるために、このような呼称が定着したのでしょう。

 

 本市はひきこもりを「こもりびと」と言い換えています。当事者に寄り添い、理解を促進するのは大変結構なことです。一方、言葉の言い換えは、負の側面を打ち消すことにつながらないか。価値中立的で良いのだろうか。そのような思いも抱きます。

 

 内閣府が平成31年3月に公表した「生活状況に関する調査」によると、自宅に半年以上閉じこもっている40歳から64歳までの広義のひきこもりは、全国で推計61万3千人いるということです。調査における回答率1.45%を同世代の人口に当てはめただけなので、人数自体はかなり単純な推計です。ただ、大切なのは調査の中身です。かいつまんで言うと、ひきこもりの7割以上が男性で、その期間は「7年以上」が半数を占めたということです。

 

 コロナ禍はひきこもり問題に拍車をかけます。コロナで失業してしまった方、給付金は貰えるものの休業に追いやられてしまった飲食事業者などが、そのままひきこもってしまう懸念があります。

 

 先の内閣府の調査では、ひきこもり状態になったきっかけとして最も多かった回答は、「退職したこと」でした。仕事人間であればあるほど、生きがいを失った途端にひきこもってしまう可能性があります。現在はコロナ時代です。その影響で退職、休職している人も増えているとみられます。ひきこもり対策は今こそ重要性を増しています。

 

 そこで4点伺います。

①本市が取り組んできたひきこもり支援の概要について

■市長

 ひきこもりが社会問題化し、多くの自治体において、どのように取り組みを進めていけばよいか苦慮する中、本市におきましては、専任の職員として「こもりびとコーディネーター」を配置し、令和元年10月、こもりびと支援窓口を開設いたしました。

 その際、「こもりびと」という呼称が、相談者の方の気持ちに寄り添い、1人でも多くの方から相談を受けることができるようにという思いから、日本で初めて採用したところでございます。

 この「こもりびと」という呼称にしたことにより、NHKスペシャルドラマのタイトルに採用されたことや、これまで行ってきた様々な周知活動により本市の取り組みが広く認識され、数多くの相談が寄せられる結果となりました。

 増加する相談に丁寧に、そして適切に対応し、さらなる支援の充実を図るため、コーディネーターを2名増員し、窓口や電話によるご家族やご本人からの相談を受け、家族間のコミュニケーション回復や就労、医療など必要な関係機関と連携を図りながら支援を行って参りました。

 また、このような取り組みに加えまして、「こもりびと」ご本人が気づき学び合い、今後の社会参加などについて話し合う場として、こもりびとの集いを開催するとともに、ご家族が社会的に孤立しないため、またお互いの心情を共有する場として、こもりびと家族の集いを開催して参りました。

 今後も一人一人の相談者の気持ちに寄り添い、長い期間、「こもりびと」として過ごされてきた人、そしてそのご家族の声に向き合い、新たな一歩、もしくは半歩でも歩み出すことができるための支援に積極的に取り組んで参りたいと考えております。

 

②こもりびと支援窓口の相談状況やコロナ禍による影響について

③本市のひきこもりの人数の把握について

④ひきこもりの当事者ならびに家族の会の開催状況について

■健康福祉部長(一括)

 こもりびと支援窓口の相談状況について、開設年度は10月からの半期となり、新規相談者71人、のべ相談件数167件、令和2年度は新規相談者78人、のべ相談件数539件となっております。

 また、これまで、こもりびとご本人の集いとして4回、のべ21人が参加し、こもりびとご家族の集いとして4回、のべ36人が参加しております。

 コロナ禍による影響としては、家族が在宅ワークになったことで、「こもりびと」ご本人の緊張が高まってしまったり、外出機会が減少し、気持ち的に落ち込んでしまったりしたという相談があり、コーディネーターが気持ちの持ち方やリラックス法、発想の転換などをアドバイスして、心の状態の維持、改善を図っております。

 本市のひきこもりの人数は、内閣府が示す出現率から推計すると、15歳から64歳は約2300人程度と推測しておりますが、実態把握につきましては、調査方法が確立されておらず、一部の人を対象にして行った調査結果から導き出す数字は精度が低いことなどから、現時点におきましては実態把握の調査を行う予定はございません。

 なお、本市といたしましては、相談機関につながらず、悩んでいるこもりびとご本人がこもりびと支援窓口や関係機関に速やかにつながるよう、やまとニュースや広報などを活用し、周知に努める一方で、地域で活動される民生委員・児童委員の方などとも連携し、1人でも多くの「こもりびと」の支援につながるよう取り組みを進めて参ります。

 【答弁後の意見・要望】

 丁寧な答弁をいただきました。私が所属する自民党では、地方自治体がひきこもり支援策を推進するように地方議員に対して発破をかけています。そこで今回の質問に至ったわけですが、大和市は答弁にありましたように、相談窓口を設置するなど、積極的に施策を展開しています。「こもりびと支援ハンドブック」を読まれた方も多いと思いますが、大和市の積極的な取り組み、姿勢が示されていると理解しております。

 

 ひきこもりをめぐっては、80歳代で高齢の親が、引きこもる50歳代の中年を支える「8050問題」も社会問題になっています。高齢の親が生きている間は良いかもしれませんが、亡くなった後にはどうなるのでしょうか。多くの生活保護受給者が出現する可能性もあるでしょう。社会保障の財政はますます逼迫していきます。

 不登校の児童生徒に対しても同じことが言えますが、当事者の感情や気持ちに配慮しつつも、「ひきこもっていいんだよ」ではなく、速やかな社会復帰を支援する制度の拡充も望みます。

 

 ひきこもりの当事者やご家族にとって、行政機関が設置する相談窓口は敷居が高いかもしれません。相談しやすい環境を整備していくためには、同じ悩みを抱える方が自由に話せる当事者の集いや家族の集いなども肝要です。先ほどの答弁では、ひきこもり当事者や家族が集まる会合も実施しているという回答でしたが、支援の強化に向けてさらなる推進を要望いたします。

 

 

3.自殺対策

 新型コロナウイルス感染症に関する別のリスクとして問題化しているのが自殺者数の増加です。国全体のレベルでは平成22年以降、10年連続して減少していたのに昨年は2万1000人を超え、前年度と比べて912人、約4.5%の増加となりました。

 

 実態面としてはもっと増えているといった指摘もあります。報道によると、東京大学の仲田泰祐准教授らのグループは、コロナ禍によって国内の自殺者は約3200人増えたとする試算をこの7月に公表しました。これは、コロナ禍以前の失業率予測をもとに自殺者数を推計して、実際の自殺者数との差を比べて導き出した試算です。超過死亡のような考え方です。

 

 コロナ対策においては、死亡者数はもとより、死亡につながる恐れがある重症者の数をできるだけ少なくする、極小化することが最重要課題です。要は、救命数を最大化するということです。一方、公衆衛生の倫理学の観点では、「生存年数の最大化」という考え方もあります。お亡くなりになった人が残り何年生きる予定だったのかを推計するわけです。

 

 新型コロナでお亡くなりになる方は高齢の方が大半とされます。つまり残りの寿命は比較的長くない方です。一方、自殺者の場合、中高年層が占める割合がとても大きく、余命は相対的に長いと見積もられます。

 東大の仲田准教授は、コロナによる経済危機などで増加した自殺によって失われた余命年数について、「コロナ感染によって失われた余命年数と同じ、もしくはやや多い」と結論付けています。

 自殺は「せっかく授かった大切な命を自ら殺めることは良くない」という道徳的見地の問題もありますが、その余命年数は、新型コロナをはじめとする病死者よりも圧倒的に長いと考えられます。防止対策の重要性は極めて高いです。

 本市における自殺の状況はどうでしょうか。厚生労働省が公表している「地域における自殺の基礎資料」(住居地別)に基づき、お手元の資料にまとめさせていただきました。それによると、平成24年の54人をピークにおおむね減少傾向に転じていましたが、新型コロナが発生した昨年は41人で前年より9人増えました。今年は6月までの半年間で20人。昨年と同様のハイペースとなっています。

 

 コロナの影響を見るため、これらのデータの詳細を「コロナ前」と「コロナ禍」で分けて比較してみました。具体的には、平成21年から令和元年までの11年間を「コロナ前」と定義し、令和2年1月から令和3年6月までの1年半を「コロナ禍」とこちらで分類しました。

 

 年齢別の内訳をみると、「コロナ前」はグラフの青い部分になりますが、年平均で10人ちょっとの40歳代をピークとして、綺麗にピラミッド状になっています。一方、「コロナ禍」では、山はなだらかで富士山のようになっています。20歳未満、20代、30代といった若年層がコロナ前より若干多くなっています。

 

 原因・動機別の内訳を見ると、「コロナ禍」では「コロナ前」と比べて、「経済・生活問題」が増えています。外出自粛や行動制限などで暮らし向きが厳しくなり、自ら命を絶ってしまったのかもしれません。痛ましいことです。

 

 自殺未遂歴については、コロナ前後で有意な差は見られませんでした。同居人の有無をみると、「コロナ前」は、自殺者における単身者の割合が36.7%でした。平成27年の国勢調査を見ると、大和市では35.5%が単独世帯です。自殺者における単身者の割合は人口比と差がなく、とりたてて特徴はありませんでした。ですが、「コロナ禍」に限ってみると、同居人無しの単身者の割合が49.2%と半数を占めており、その割合は大きく増えています。絶対数も増えており、本市においてはおひとりさまの自殺者が増加する傾向が読み取れます。

 

 つまり、本市においては「コロナ禍」になって、若年層と一人暮らしの自殺者が増えています。この傾向に留意してアプローチする必要性があります。

 

 そこで3点伺います。

 

①本市の自殺者数とその特徴について

■健康福祉部長

 本市における2018年、2019年のコロナ禍前と2020年、2021年7月までのコロナ禍の期間における警察庁自殺統計に基づく自殺者数、年代等の比較においてお答えいたします。

     

        自殺者総数   20代未満  20代  30代   40代   50代   60代  70代  80代以上

コロナ禍前 63人             5人      6人   7人  18人 10人 9人  6人  2人

     男性46人女性17人

コロナ禍   64人             3人      7人   11人 13人 11人 8人  7人  4人

     男性40人女性24人

 

 コロナ禍前とコロナ禍における自殺者等の状況を比較いたしますと、対象期間が短いコロナ禍でございますが、自殺者数はわずかに増加し、男性の自殺者が減少している一方で女性は増加しております。

②コロナ禍における人間関係の希薄化と自殺対策について

■健康福祉部長

 コロナ禍による感染拡大防止のための外出自粛や他者との交流の抑制は人々の気持を抑圧し、個人個人が抱えている悩みを助長させることにつながるものと考えます。

 そのようななかで、誰かに抱える悩みを話すことは、新たな気づきや気持ちの整理、自殺防止のきっかけになることから、専用の自殺防止相談電話を設けるとともに、自殺の多い月や自殺予防週間等に大手検索サイトにて自殺に関連する言葉で検索した場合に、本市の相談窓口を表示するリスティング広告を実施しております。

 あわせて、自殺防止の取り組みについては、一人でも多くの人が自殺に対する関心、知識を持ち、身近な人に目を配ることが重要であると考えております。

 そのため、シリウスの大和市立図書館をはじめ、市内の市立図書館において自殺防止、自殺対策に関する図書の紹介などのキャンペーンの実施やサポーターの養成、インターネットを活用したサポーターミニ講座の動画の配信など様々な手法を活用し、取り組みを進めております。

 引き続き自殺により尊い命が失われることを防ぐため、悩みを抱えた方が適切な相談窓口につながることができるよう関係機関などとの連携強化に努め、自殺対策に取り組んで参ります。

 

③小中学校における自殺予防の取り組みについて

■教育部長

 小中学では児童生徒自らが、命の大切さを実感し、自己肯定感を高められるような教育活動に取り組むとともに、心身の悩みや不安を抱える児童生徒を早期に発見するため、アンケートの結果などを活用し、丁寧に教育相談も行っております。

 また、心身の悩みや不安への対処の方法について、電話やメールでの相談窓口や匿名報告相談アプリ「STOP it」などのツールが活用できることを伝えており、児童生徒がいつでも相談できる態勢づくりに努めております。

 

 

 【答弁後の意見・要望】

 丁寧な答弁をいただきました。市が示した自殺の特徴は、対象期間が私の分析と異なります。私は男女の性差による比較をしていませんでしたが、答弁によると、女性の自殺者数や割合が増えているということです。市の分析も加味すると、若年層、1人暮らし、そして女性。この3点が本市におけるコロナ禍の重要なキーワードでしょう。

 さて、自殺願望のある方は、フォーラムや講演会をいくら開いても参加しません。本市では、インターネットで検索したときに相談窓口を表示するリスティング広告を実施している。そんな答弁でした。自殺を望む方は、その方法や手段をネット上で検索する可能性が高いと推定されるので、このアプローチは有用だと私は捉えています。このほかにも様々な取り組みをご紹介いただきました。

 

 一般に自殺の数は景気の影響を受けると言われます。ただ、景気は自治体単独でどうこうできません。自殺を防止するためには、やはり教育が最も大切だと考えます。教育内容は後々の人生に生きてくるはずだからです。

 政府の自殺総合対策大綱にもありますが、悩みを抱える方がSOSを発信しやすい環境を整備する。SOSを発信できる教育を行っていくことが大切です。「心の悩みを打ち明けることは恥ずかしいことではない」という意識を高めていかなければなりません。

 

 どんな対策が望ましいのか。若年層であるインターンの大学生数人に尋ねてみました。学生さんからは「自分の自信につなげて自己肯定感を高めるために、ボランティア活動を活発化すればよいのではないか」「居場所づくりが必要なのではないか」といった意見が出されました。これは、間接的ではありますが、当事者の未然防止につながる取り組みです。

 

 「何かあったときに相談するよりも、日頃から信頼関係を築いていた方が気軽に打ち明けやすくなる。オンラインでもよいので、精神面に関する健康診断やカウンセリングを定期的に行う仕組みを作ったらどうか」「精神的な状況を確認するために定期的な検査を導入したらどうか」。こんな提案もありました。こちらは周囲の方が早期発見するための取り組みです。先ほど、教育部長から「学校現場でアンケートを取っている。その結果を活用して教育相談を行っている」という答弁がありましたが、この基本線をさらに進めた内容です。是非検討していただければと要望します。

 

 当事者の未然予防と周囲による早期発見。これらの両面作戦を意識して、さらに対策を強化していただければと存じます。

 

 

4.訴訟事務の適正性

 

 大和市は、事業を遂行する上で生じた問題を法的に解決するため、市職員の相談に応じる法律相談の仕組みを設けています。本市を当事者とする訴訟を中心に法的紛争の解決を図る必要もあるため、本市の総務部では、これらをまとめた「訴訟・法律相談事務」を執り行っています。

 この事務事業自体は昭和34年度からスタートしています。本市は顧問弁護士を設置していますが、現在はテレビ出演でも有名な地元出身の大澤孝征さんと契約しています。平成8年度からなので、もう四半世紀になります。事務事業評価の資料によると、顧問弁護士が昨年度、法律相談を行った回数は11回、相談件数は18件に上ります。対応した訴訟等の件数は15件ということです。

 さて、本市の顧問弁護士をめぐり、この9月定例会に、市民の方から陳情が提出されました。「大澤弁護士を解任してほしい」という内容です。その理由は、パワハラ疑惑をめぐり、大木市長が金子前副市長を相手取って民事訴訟を起こしましたが、大澤弁護士が大木市長の訴訟代理人を務めていることに起因しています。陳情の趣旨を簡単にまとめると、以下のようになります。

 

 「パワハラの被害者は大和市職員である。大澤弁護士が大木市長を弁護してパワハラが無かった旨を主張することは、当該職員との間において信頼関係の破綻を招いた。仮に大澤弁護士が本件訴訟の訴訟代理人を辞任しても、職員との信頼関係は回復できないから、市の選択肢は顧問解任しかない」

 要約は以上です。

 私の個人的見解を申し上げると、パワハラ行為があったかどうかは言い分が食い違っています。市議会は現在、真相を究明すべく調査特別委員会を設置し、大木市長は「パワハラは捏造だ」として訴訟を提起しています。私自身は5月の臨時会の本会議質疑で述べたように、「新聞報道の信憑性は高い」と捉えております。職員組合のアンケートでは、職員の約4分の1が、市長のパワハラ的言動を聞いたり経験したことがあると回答しています。「パワハラは捏造だ」とする主張は苦しいのではないか。これが一般的な見方でありましょう。

 

 とはいえ、白黒の決着がついていないことも事実です。「顧問弁護士解任」という対応は厳しいと思いますし、陳情に100%賛同するのは難しいのかなと。私はそう思います。

 

 さて、大澤弁護士は市の顧問弁護士であり、税別で月額8万円の顧問料が税金で支払われています。大木市長が起こした民事訴訟、奇しくも本日午後が第1回口頭弁論の期日ですが、そのポイントは、報道されたようなパワハラ的行為があったかどうかとなるはずです。

 

 被告である金子前副市長は現在、市の関係者ではありませんが、訴訟の根幹部分は市政内部の話です。そのような状況下で、市の顧問弁護士が、片方の言い分に与するのは中立性、公平性を欠くのではないか。果たして適正なのか。このような疑問を持ちます。陳情者の主張には一定の理があると考えます。

 

 そこで2点伺います。

 

①顧問弁護士を置く意義、目的について

■総務部長

 本市の顧問弁護士は行政運営に関する専門的法令解釈、および法令の運用にかかる法律相談において、市として指導、助言を求めるため委託しております。

 

②顧問弁護士が市長の裁判の代理人を引き受けたことの適正性について

■総務部長

 本市の顧問弁護士は、行政の法律上の課題について相談するために委託しており、あくまで使用者側に対し助言する立場でありまして、職員の個人的な相談を受けたり、助言したりすることはございません。したがって、使用者側である市長の代理人になっていただいたことによって、被用者である職員との間で利益相反や双方代理といった問題が起こることはございません。

 【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。「顧問弁護士が大木さん個人の訴訟代理人を引き受けたことで利益相反や双方代理は生じえず、問題はない」という趣旨の答弁だったと理解します。

 

 私も知り合いの弁護士に聞いてみました。その方は「アウトではない。ただ、慎重な方だったら内ゲバ的な訴訟の代理人は引き受けないだろう」と訝しんでいました。

 この問題をめぐっては昨日午後、佐藤正紀議員も質問をしていました。市側は「平成30年度から昨年度までの3年間のハラスメント相談21件のうち顧問弁護士に相談したケースはない。今後同様の相談があった場合も法律相談を行うケースはないものと考えている」。このような趣旨の答弁を行っていました。

 

 私はとても疑問を感じました。というのは、今月6日に行われた総務常任委員会において、同じ趣旨の質問がありましたが、市側は「これまで法律的な部分での相談がなく、顧問弁護士への相談は行ってこなかったが、必要性があれば行うこともある」。そういった趣旨の答弁をしていたからです。

 

 委員会では、顧問弁護士が今後、パワハラに関する法的な相談を受ける可能性を示しておきながら、本会議では「法律相談を行うことはない」とその可能性を否定するのです。市側の答弁は矛盾しているように思いますが、一体どちらが本当なのでしょうか。パワハラ認定に関する法的な助言など、本来、顧問弁護士に相談できる事柄はあるのではないでしょうか。

 個人的な推測になりますが、市は、顧問弁護士が市長の民事訴訟を引き受けたことの適正性を強調したいがために、委員会答弁の内容をあえて変更したのではないでしょうか。

 

 最後に一つ要望します。昨日のパワハラ疑惑をめぐる佐藤議員の一般質問において、再質問が2回行われました。ただ、市長、総務部長の答弁は非常に誠実さに欠ける答弁でした。「先ほどお答えした通り」「仮定の質問にはお答えできない」。以上の2点でした。

 理事者の皆さんは市議会に存在する「再質問」という制度の意義をどのように考えているのでしょうか。

 私が議席を預かってから6年半近くが経過していますが、私も含めて議員が再質問して市側がきちんと回答したケースは、ほとんどありません。「再質問をしてもどうせ答えないから、するだけムダだ」。議会内には、このような諦めや虚無感がはびこり、制度は形骸化しています。

 大木市政は、時宜を得た先進的な取り組みを多数行っています。こもりびとの問題もそうだと思いますが、職員の努力はもとより、市長のリーダーシップも大きいと高く評価しています。ですが、説明責任を果たすという点は一向に改善されていないようです。

 

 市長は、大和市の顔でもありますので、真摯で丁寧な対応を取っていただきたい。そのように苦言を申し上げまして、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

一般質問資料(表).jpg
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