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 大和市議会 小田の一般質問

 *本会議場での実際の質問では、私の場合はテーマごとに、まとめて質問し、行政側もまとめて答弁しています。このHPでは分かりやすさを重視して一問一答方式のように再編集し、質問の直後に答弁を記しています。なので、動画とは若干食い違う箇所があります。議事録は市議会HPの会議録でもご覧になることができます。

 *市議会HPでは、過去1年分の動画を公開しています。それ以前のものは見ることができませんのでご了承ください。

令和3年12月議会

1.待機児童

 

 「子育てするなら絵本のまち」-。 市のホームページを覗くと、このように題したページが新たに加わっていました。聞くと、今年3月下旬から登場したそうです。可愛らしいイラストを随所にあしらい、読みたくなる分かりやすい内容です。その中では「子育ては『大和市!』という選択」と銘打っています。

 

 私は平成28年の3月議会で、「母になるなら、流山市」と打ち出している千葉県流山市のキャッチフレーズを引き合いに「『子育てするなら大和市』と売り出してほしい」と要望しました。ひょっとしたら、ささやかな提案を汲んでいただいたのかもしれません。

 

 子育て支援には様々な取り組みがありますが、なかでも待機児童対策は重要です。本市では、子育てしながら働きたい、働かざるを得ないママさん方の要望に応えるべく対策に本腰を入れています。各年4月1日時点のデータとしては平成28年以降、6年連続で待機児童ゼロを達成してきました。以前の本市は全国でも待機児童が多い自治体だったので、その取り組みや努力は高く評価されるべきだと考えます。

 

 待機児童をなくすには、保育所の入所定員の増加が必要です。このため、本市は保育所を増設してきました。保育所等の施設数は平成25年で18カ所でした。これは政府の待機児童解消加速化プランが始まった年です。今年は82カ所に達し、8年前の4.6倍に増えました。市内の主要駅の近くで保育所をよく見かけるようになりましたが、納得です。

 

 一方、保育所の運営費をみると、平成25年度は30億円強でしたが、昨年度には80億円弱にまで膨らんでいます。これは本市の負担だけでなく、国や県の支出、利用者負担金など諸々の費用を合わせた総額ですが、この8年間で50億円増え、2.6倍となりました。

 

 お手元に配らせていただいた資料をご覧ください。右下に市内の保育所運営費の推移を図示しています。表計算ソフトで定番のエクセルのTREND関数を活用して、過去の推移に基づいて今後の保育所運営費を推計したものです。すると、令和5年度には100億円を超え、8年度には120億円に達する計算となりました。あくまで単純な試算であり、実際には保育所を増設する数などで状況は変わるはずですが、金額の大きさに目が丸くなりました。

 

 全国的に少子化が進んでいます。本市も例外ではなく、0歳から5歳までの未就学児童の数は減少傾向にあります。住民基本台帳に基づく人口データによると、今年4月1日時点で1万1540人です。これは本市の総合計画に示される将来人口の推計より400人少ないです。

 

 本市では、人口推計よりも少子化が進んでいるにもかかわらず、保育所の入所申込者数が増えています。平成25年は2112人でしたが、今年は4740人で2倍を超えています。本市では平成31年以降の3年間、保育需要ともいえる入所申込者数を上回る形で、入所定員という供給を確保できています。

 

 本市では、未就学児童を持つ母親を対象に、ニーズ調査を行っています。その結果によると、母親の就労率は平成25年度で39.6%でしたが、30年度には54.4%に上っています。保育需要の急増は、少子化を上回る勢いで女性の就労率が上昇していることも影響しているのかもしれません。

 

 厚生労働省の推計によると、全国の保育所の利用児童数のピークは令和7年となる見込みとなっています。本市は、市内の今後の保育需要をどう見通しているのでしょうか。昨年3月に策定された第二期子ども・子育て支援事業計画、通称「ハートン プラン」に示されてはいますが、その後の変更もあるでしょうし、計画を読んでも分かりにくい部分があります。今後の見通しは知りたいところです。

 

 少子化の傾向は、新型コロナウイルス感染症の対応に伴う産み控えなどで、さらに拍車がかかるとみられます。今年の全国の出生数は80万人を切る可能性が高まっています。政府の過去の推計では、80万人割れは2030年頃と予測されていましたが、10年近く前倒しとなります。出産のベースとなる婚姻数も落ち込んでおり、今のところ、少子化が回復基調となる兆しはありません。本市も同様の傾向をたどると考えられます。

 

 子育て支援は、本市においても重要性の高い施策です。ですが、このまま支出が膨れ上がる一方では、市の財政に与える影響が心配です。巨額の予算がかかるから待機児童対策をやめるべきだ、と言うつもりはありませんが、行政運営を持続可能にしていくためには、これまでの取り組みを検証していくことも必要だと考えます。

 

 そこで3点伺います。

①待機児童対策に関する市の考えについて

②今後の保育需要について

③保育所開設に伴う予算の増加について待機児童対策に関する本市の考えは?

 これで1回目の質問を終わります。

<市側の答弁>

①待機児童対策に関する本市の考えについて

③保育所開設に伴う予算の増加について

■市長(一括答弁)

 「健康都市やまと」を目指す本市におきましては、「こどもがすくすく成長する 産み育てやすいまち」を基本目標の一つに掲げ、市民の皆様が安心して子育てができるよう、様々な子育て支援施策を積極的に実施してきましたが、昨年に日本経済新聞社などが調査した「共働き子育てしやすい街ランキング」では全国7位、神奈川県内ではトップという結果につながりました。

 本市は「魅力的で子育てしやすいまち」「子育てしたくなるまち」であることを発信・PRし、子育て世代の定住や市外からの転入を呼び込む施策に力を入れて取り組むことは大変重要であると考えております。

 そのなかでも、待機児童対策は最も重要な子育て支援施策の一つとして捉えていることから、増加する保育需要にスピード感をもって対応し、こどもの城をはじめとした保育所等の整備を計画的に進めてきた結果、6年連続で4月1日の時点の待機児童ゼロを達成したところです。

 今後の保育施設の整備については、北部地区の大規模マンションへの子育て世代の転入などにより、新たな保育需要が生じている状況などを考慮しますと、引き続き保育ニーズや居住の動向を丁寧に把握しながら、必要な地域や定員数を的確に見極めつつ、整備を続けていく必要があると考えております。

 保育に関連する予算が増え続けていることにより、本市の財政に与えている影響も十分認識しておりますが、市町村には、児童福祉法で保育を必要とする保護者がいる場合には、認可保育施設で必要な保育を確保するための措置を講じる責務が定められており、現在も入所を希望する多くの児童がいることから、当面の間は保育の必要量に応じた財源の確保に努めていく考えです。

 その一方で、長期的な視点で見れば、保育需要そのものが減少していくことが想定されるため、そのピークを見極めつつ、過度な財政負担の増加を極力抑えていくためには、状況に応じた適切な施設整備を計画的に進めていくことと合わせて、既存の保育資源を積極的に活用するなど、多様な施策を実施していくことが肝要であると考えております。

 そこで、新たな保育所等の整備以外の手法として、保育施設の定員を超えた弾力的運用によります受け入れを続けるほか、大和市認定保育施設や企業主導型保育事業の地域枠確保、幼稚園を積極的に活用する送迎ステーション事業など、この既存施設を最大限に活用した幅広い保育の受け皿を提供できるように、将来を見据えた施策を進めているところです。

 待機児童ゼロの継続は、本市が積極的に実施している様々な子育て支援施策における中心的な取り組みであることから、今後も子育て世代の定住を促進し、市民が安心して子供を産み育てられる保育環境を育みながら、大和市の未来を担う子供たちが健やかに育っていくように全力で取り組んでいきます。

②今後の保育需要について

■こども部長

 子ども・子育て支援法に基づき令和元年度に策定した「第二期大和市子ども・子育て支援事業計画」では、「健康都市やまと総合計画」の将来人口推計における就学前児童数を用い、地域ごとに直近の保育の利用実績等を細かく分析しながら、令和6年度までの保育需要を見込んでいるところです。

 こうしたなか、少子化の進行により就学前児童数は減少傾向にありますが、幼児教育・保育の無償化が実施されたことで保育需要が喚起されているほか、女性の社会進出が進むなかで母親の就業率が高まる傾向があり、保育所等の利用申請率は毎年増加し続けている状況となっております。

 本市の保育所等利用申請率は、今年4月1日時点で41.1%となっていますが、令和6年度には46.9%にまで上昇すると見込んでおり、こうした保育需要の状況に応じた施設整備は、今後も必要であると捉えております。

 

【答弁後の意見・要望】

 大変丁寧な答弁をいただきました。「財政の影響は十分に認識しているけれども、法律で責務が定められているということで、今後も的確にニーズをとらえて全力で取り組んでいきます」という回答でした。

 お手元の資料に示してはいませんが、第一期子ども・子育て支援事業計画の対象となっている平成27年度から31年度までの5年間において、保育所の入所込者数は計画上の保育ニーズを大幅に上回りました。

 

 第二期計画の期間においては、入所申込者数は推計された保育ニーズをやや下回る水準となっています。ただ、これはあくまでも4月1日時点の数値です。昨年10月1日時点の待機児童数は194人となっています。

 

 予算がこれだけ膨らんでいるので、保育所の増設や定員拡大にあたっては、保育需要を的確に見極め、適切に実行していくことが大切だと考えます。状況の変化があった場合には、計画にとらわれずに臨機応変に見直していくこともあって然るべきです。PDCAサイクルをきちんと回していくことが求められます。

 

 「世の中に待機児童は一人もいない。待機しているのは幼児を預けたい親である」といった指摘もあります。この主張を大っぴらに展開すると炎上してしまう世の中になりましたが、子供の立場に立てば一面の理はあります。

 

 待機児童の解消をはじめとする保育の分野は大変複雑で奥深い課題です。私自身、これまで隠れ待機児童の縮減を含め、さまざまな要望や提案をしてきました。今回は、保育所増設以外の工夫を取り上げます。

 

 政府の資料によると、待機児童は1歳児、2歳児が8割近くを占めます。なぜ0歳児が多くないのか。それは0歳児については、産休や育児休業の制度により、母親が直接子育てするからです。ということは、育休の制度をさらに拡充すれば、保育需要の増加傾向をなだらかにし、子育てと女性の就業を両立させることが可能になるはずです。

 

 もちろん、子育ての役割を母親だけに限定すると、女性だけが就業できず、いわゆるM字カーブの問題に突き当たります。「性別の役割を固定化する」という批判も出るでしょう。なので、そうならないように、たとえば出産後3年間は、夫婦のいずれかが交互に育休を取れるようにする、ということも一案です。

 

 育休中の生活を支援するために雇用保険から出す育児休業給付金の支給期間は平成29年10月以降、2歳まで延長されています。国政の問題になりますが、この制度をさらに拡充することも求められるでしょう。

 

 本市では平成28年5月にイクボス宣言をしています。それに加えて男性の育児休業、いわゆるイクメンの制度をさらに充実させることも肝要です。新潟市、大津市や香川県丸亀市などでは、中小企業に勤める男性社員が育児休業した際、奨励金を支給する制度を設けています。本市としても、男性の育休取得推進に向けて、新たな仕組みを検討してみてはどうでしょうか。

 

 自治体財政を見た場合、保育所運営における自治体負担の割合を引き下げ、国庫補助率を引き上げていくことも大切です。本市の場合、保育所運営費に占める市費負担の割合は平成25年には6割弱ありましたが、直近の令和2年度では4割強に低下しています。もちろん、財政負担を市から国に転嫁するだけとも言え、オールジャパンの財政面では根本的解決にはなりませんが、自治体負担の軽減にはつながります。

 

 平成27年度からの子ども・子育て支援新制度移行に伴い、保育を認定する基準が大幅に緩和されました。パートタイムや夜間などすべての就労が対象になり、祖父母が同居している家庭でも、求職活動中の方でも、お子さんを保育所に預けられるようになりました。月48時間から64時間までの間で、市町村が定める時間以上、働いていればよい、となりました。これも保育需要を急増させる一因となっています。この仕組みを工夫することも検討に値します。

 

 今回の質問にあたっては、保育需要が増えるなか、待機児童を解消するためにいかに財政負担が大きくなっているか。そこに焦点を当て、皆さんと認識を共有するために議論いたしました。保育所の増設は良いことですが、ピークを過ぎてからバタバタと潰れて空き家だらけになってしまってもいけません。中長期的な需要も的確に見通し、PDCAサイクルを確立していただければと存じます。

 

 

2.不登校

 

 今定例会に提案されている補正予算案には、市内の中学生を対象とした不登校特例校分教室を設置するための整備費4300万円強が計上されています。

 

 不登校特例校とは、不登校の児童生徒を支援するために、文部科学省が定める基準によらない特別のカリキュラムで教育できる学校を指します。開設するためには、文部科学大臣の認定が必要です。

 

 全国では、八王子市立高尾山学園小学部・中学部が平成16年4月に開校し、先鞭をつけました。当時は規制緩和に熱心な小泉政権で、同校は構造改革特区として認定されました。翌年の学校教育法施行規則改正を受けて、自治体は同じような不登校特例校を設置できるようになりました。今年4月時点で公立8校、私立9校の計17校が開校しています。

 本市でも、不登校は重要な課題となっています。私は平成29年の12月議会でこの問題を取り上げました。極論すると、勉強だけ考えれば、学校に行かない方が効率的な児童生徒もいます。ですが、学校は知徳体をバランスよく身に着け、社会性を育む場でもあります。義務教育の意義を踏まえると、不登校への対応は、在籍校への復帰を目指すのが原則である。私はこのように考えて質問しました。今も基本線は変わっていません。

 

 不登校という用語は現在では日常的に使われていますが、1980年代までは「登校拒否」と呼ぶのが一般的でした。その後、拒んでいるのは一部であり、多くは何らかの理由があって通えない。こうした認識が広がりました。報道によると、当時の文部省が「不登校」という用語を文書に使い始めたのは平成4年です。約30年前ですが、当初は「登校拒否(不登校)」と併記していたそうです。

 

 不自由、不安定、不成立、不仲、不幸、不倫といった言葉があります。「不」という接頭辞は、肯定的な意味の言葉を打ち消す際によく使われます。不登校は登校拒否よりトーンは穏やかですが、「本来は登校すべきなのにしない」という否定的なニュアンスも含まれます。

 

 一方、文部科学省は「不登校は悪くない」という立場をとるようになりました。平成29年告示の小学校学習指導要領では「不登校とは多様な要因・背景により、結果として不登校状態になっているということであり、『問題行動』と判断してはならない。共感的理解と受容の姿勢をもつことが重要である」と記しています。

 

 アメリカの発明王、トーマス・エジソンは小学校時代、「1+1は2」という常識に疑問を投げかけるなど、先生を質問攻めにして困らせてしまい、小学校を中退しました。ですが、好奇心がひときわ強く、独学で勉強や実験を続け、蓄音機をはじめ、さまざまな発明を成し遂げました。

 

 児童生徒に焦点を当てた「個」の視点からすると、不登校を悪いとみなさず、登校しない児童生徒が自尊感情を損なわないようにする対応が求められます。一方、「社会全体」の視点でみると、登校しなくてもよいという機運が高まれば、その傾向に拍車をかけてしまう懸念もあります。先ほどの待機児童の問題と同様に、支援を拡充することによって、隠れていた需要を掘り起こしてしまう、痛しかゆしの側面もあるわけです。

 

 不登校特例校のメリットはStudent First、学習者本位の環境が保障されることです。学びの多様性とも言えますが、これまで登校できなかった生徒の教育権を保障することにつながります。通常学級には通えないものの、特例校に通うことができれば、自己肯定感を高めることができます。また、不登校という同じ境遇同士の集団になるので、安心感もあるでしょう。

 

 その一方、特例校において学習の質をどう担保するのか。学習の成果をどのように評価するのか。社会的自立性や集団行動をどのように身につけさせるのか。このような論点、課題もあります。

 そこで4点伺います。

①不登校特例校分教室開設の意義について

②過去3年間の本市における不登校生徒の推移について

③不登校特例校分教室での授業のすすめ方について

④不登校特例校分教室に通う生徒の元々の在籍校との連携、復帰について

 これで2回目の質問を終わります。

 

<市側の答弁>

①不登校特例校分教室開設の意義について

■教育長

 「健康都市」を目指す大和市では、現在、ひきこもりの状態にある方を「こもりびと」と呼称し、その支援を進めておりますが、このこもりびとへの支援が社会的課題となったのは平成12年頃からであり、その背景の一つとして不登校児童生徒の増加が挙げられておりました。

 一方、教育委員会としては、児童生徒の抱える困難に対して、教育相談コーディネーターの全校配置や不登校生徒支援員およびスクールカウンセラーの全中学校配置等を行い、校内支援体制の整備を進めるとともに、平成3年4月より教育支援教室「まほろば」を設置し、学校復帰も視野に入れつつ、在籍校の学習計画に沿った学習支援を行ってきました。

 こうした早期対応・早期解決に重点を置いた施策を講じることで不登校の子供たちに対する支援として学校復帰等一定の成果を上げております。

 しかし、この3年間、大和市の不登校生徒のうち約65%が年間90日以上欠席しており、実質的な学習保障がされないまま卒業してしまうなど、不登校の長期化・固定化が大きな課題となっています。

 今後はこれまで進めてきた施策に加え、長期化固定化する不登校への対応を含めたすべての子供たちへの支援体制を再構築する必要があると考えました。

 そこで令和元年10月に文部科学省から出された通知にある「学校に登校する」という結果のみを目標とせず、社会的に自立することを目指す必要があるという視点に改めて立ち、不登校特例校分教室を新たに設置することで、不登校の子供たちにより多様な学びの場を提供することとしました。

 不登校特例校分教室での学習スタイルは、教育支援教室「まほろば」とは異なり、独自のカリキュラム編成によって子供たちの実態に合わせた柔軟な学習計画で学習に取り組むことが可能です。

 たとえば年間の授業時数は、特別な学習計画の編成によるゆとりのある時間設定となっており、標準時間数が1015時間から980時間に低減され、オンラインを活用した教育相談等も採り入れながら、登校せずに支援を受けることも、子どもたちにとって選択肢の一つとなります。

 さらに、不登校特例校分教室は、不登校および不登校傾向の児童生徒への指導や支援方法について、得られた成果と課題を市内全小中学校に発信しながら、各校の後方支援を行い、対応力の向上に寄与するセンター的機能も果たします。

 不登校状態が長期化、固定化した子供たちにとって、不登校特例校分教室という学びの場が新たに選択肢に加わることによって、中学校卒業後の社会的自立に向けた、より多様な働き方が可能になるものと考えております。

②過去3年間の本市における不登校生徒の推移について

■教育部長

 本市における過去3年間の不登校生徒の推移は平成30年度233人、令和元年度238人、令和2年度188人となっており、令和2年度の約2カ月間の一斉休校の影響を考慮すると、ほぼ横ばいの傾向にあると言えます。

 

③不登校特例校分教室での授業の進め方について

■教育部長

 不登校特例校分教室の授業は、個別や少人数での指導を中心に、新たな教科として「教養科」を新設し、幅広い教養を身に着けられるような教育活動を実施していきます。

④不登校特例校分教室に通う生徒の元の在籍校との連携、復帰について

■教育部長

 不登校特例校分教室に入学、転籍後も必要に応じて元の在籍校と情報共有やケース会議を行うなど連携し、本人の希望も考慮しながら、適切な対応に務めていきます。また、分教室転籍後も、本人に元の在籍校に復帰したいという気持ちがあれば、保護者の意向も確認しながら、元の在籍校へ転籍することも可能です。

【答弁後の意見・要望】

 丁寧な答弁をいただきました。今月9日、東京都調布市が平成30年度から開設している特例校分教室、通称「はしうち教室」を視察してきました。分教室がある敷地には元々は小学校がありましたが、学校統廃合で廃校となり、現在はスポーツ施設となっています。敷地内には児童館もあり、分教室はその2階に設置されています。

 

 ユニークなのは「表現科」と称した独自のカリキュラムです。市内に劇場があることから、その劇団員が講師を務め、それぞれの得意分野で自分を表現する力の育成をはかっています。また、社会性を育むための「コミュニケーション・スキル・トレーニング」の授業を取り入れています。この分教室は、特定の趣味に没頭し、こだわりがある生徒が多いそうですが、登校しない生徒の特性を踏まえた優れた教育課程だと理解しました。独自の教育方針にひかれて、この分教室を選ぶ生徒もいるということです。

 

 本市の特例校分教室が設置する「教養科」については、今の答弁では具体的なイメージをつかめませんでしたが、先進事例も参考にしつつ、登校しない生徒それぞれの特性を踏まえ、長所を伸ばすカリキュラムにしていただきたいと考えます。次の大項目3にも絡みますが、教養科で教科横断的な学習を行うのであれば、新聞を積極的に活用することも一案でしょう。また、何らかの体験活動を積極的に導入したほうが良いと考えます。

 

 学習の評価をどうするかも課題です。はしうち教室では、数値で成績を評価することはせず、記述式の評価を採り入れています。本市においても参考になるでしょう。

本市の分教室では4人の教員を配置するということですが、教員の質の確保は最重要の課題です。集団行動を苦手とする方が多いでしょうから、生徒はもとより家庭環境にも目を配ることができ、生徒指導に熟達したやる気あるプロフェッショナルを充てることが望まれます。

 

 さらに言えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携も必要でしょう。年度の途中に他校から移ってきた転校生の場合、分教室と元の所属校の学級担任との連携も欠かせません。

 

 本市のベテルギウスにある通称「まほろば教室」との棲み分けも、上手く行わなければならないでしょう。調布市のはしうち教室では、不登校回復期の児童生徒を対象とし、中学生の場合は約1カ月間の生活体験を前提としています。そのうえで。入退室検討委員会の協議を経て入室の可否を決めています。本市においても、どんな生徒を求めるのかは熟慮や精査が必要です。そのためには、分教室独自のコンセプトや基本理念をしっかり明確化することが大前提となります。

 

 分教室の4月開設に向けた準備は急ピッチとなります。岐阜市はこの春、不登校特例校の市立草潤中学校を開設しました。定員は40人ですが、学校説明会には県外も含めた入学希望者が殺到し、最終的な希望者は136人に上ったといいます。

 

 本市では、教室改修のための補正予算案が議会に提案されたばかりで、そのまま可決したとしても、残された準備期間は実質3カ月間です。本市と同じく来年4月に特例校分教室を開設する東京都世田谷区は、保護者説明会を既に今年8月に済ませています。本市の分教室が突貫工事になることは否定できません。当初はトライ&エラーで走りながら進めていくことになるのでしょうが、登校できない生徒の将来に影響を与える大切な学び舎となります。準備作業も含め、総力を挙げて取り組んでいただければと存じます。

 

 特例校分教室が人気となれば、既存の中学校9校は新たな競争環境にさらされるかもしれません。通学したくなるような魅力ある学校づくりが求められます。いじめや問題行動などが生じないように、より一層努めていただきたいと要望します。

 

 

3.学力向上

 小中学生の学力向上は、平成27年の初当選時から掲げた私の大きな政策目標の一つです。ですので、過去の議会でも何回か取り上げています。

公教育においては、基礎的な部分を誰もが等しく身に着けることが大切だと考えます。文科省的な表現では「生きる力」となりますが、社会を生きていくうえで必要な基礎学力は培いたいところです。そのためには、市内の小中学生の学力がまずは全国水準に達することが重要だと考えます。

 

 文科省が毎年実施している全国学力・学習状況調査の歴年の結果を眺めてみると、本市の児童生徒の平均正答率は全国平均をやや下回っているものの、差は大分埋まってきました。日々の授業や放課後寺子屋をはじめ、学校現場の努力にも敬意を表するところです。

 

 このテストは昨年度、コロナの影響で中止となりましたが、今年度には再開しました。その結果を見ると、本市では、小学校の国語の平均正答率が全国平均より5ポイント近く下回っています。過去の調査結果をみても、小学校の国語は全国平均と開きがあり、課題となっています。

 

 先月末、神奈川県議会の代表質問を傍聴しました。その場でも小中学生の学力向上が一つの課題として取り上げられていました。政令市を除いた市町村、いわゆる県域でも、小学校の国語は同様の傾向となっています。

 

 読解力を培う国語は、全教科に通じる最も大切な教科です。本市の教育委員会がホームページ上で公表している今年度の結果分析を読んでみました。すると、小学校の国語では、自分の考えが伝わるように表現を工夫することや、目的に応じ文章と図表を結び付けて必要な情報を見つけ出すことなどに課題がある。このように分析されています。

 

 新聞は統計的な情報も多く、実用的な日本語を使っています。それぞれの記事には見出しがついており、内容を分かりやすく伝えるために工夫しています。なので、本市の小学生の国語の課題は、新聞を継続的に読むことによって克服できるのではないか。このように考えます。

 

 この学力テストでは、児童生徒の生活習慣を把握するための質問紙調査を合わせて実施しています。本市の教育委員会の分析資料では、児童生徒の課題の一つとして「新聞を読むこと」を挙げています。

 

 そこで5点伺います。

①令和3年度全国学力・学習状況調査の結果について

②小学校における国語の力の育成について

③小学校における読書活動の取り組みについて

④小学校に配架されている新聞の活用について

⑤全国学力・学習状況調査の結果の周知について

 これで3回目の質問を終わります。

 

<市側の答弁>

①令和3年度全国学力・学習状況調査の結果について

■教育部長

 本市の結果については、全体では全国平均と比較して有為な差はみられませんでしたが、教科ごとの分析によって明らかになった課題について、各学校がそれぞれの学習状況に応じた対応を進めているところです。

 

②小学校における国語の力の育成について

③小学校における読書活動の取り組みについて

④小学校に配架されている新聞の活用について

■教育部長(一括答弁)

 国語における育成すべき資質能力は学力向上の根幹であり、なかでも読解力の育成は本市において課題の一つであると捉えております。

 教育委員会では、児童が読書に親しむための環境整備を進めることで、児童の読書量の増加にもつながっておりますが、さらに読解力を育むために、図書館を使った調べる学習の推進等、子供たちが読書を通じて言語能力の向上をはかる取り組みを今後も充実させていきます。

 また、新聞の活用につきましては、質問紙調査や市で行っている理解度調査の結果を踏まえ、児童生徒が新聞により親しむことができるよう、各学校へ学級活動や教科学習での活用の工夫を促し、子供たちの読解力の育成につなげていきます。

⑤全国学力・学習状況調査の結果の周知について

 本市の結果及び分析につきましては、市のホ-ムページに掲載するとともに、学校ごとの結果および分析につきましては、学校だより等で丁寧に保護者に周知しております。

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。国立教育政策研究所では、全国学力・学習状況調査と児童生徒の生活習慣のクロス分析を行っています。お手元の図表に記していますが、新聞を読む習慣がある児童生徒ほど平均正答率が高くなっています。とりわけ、小学校の国語においては、「新聞をほぼ毎日読む」と答えた児童は、全国平均より10ポイントも高い正答率を得ています。統計的には、かなり有意な差と言えます。

 

 本市では平成29年1月から、小学校高学年と中学校の各教室に子供向けの新聞を配架しています。ただ、質問紙調査の結果をみると、大変残念ながら、本市の小学生の新聞閲読率は全国平均や神奈川県平均を下回っています。

 

 新聞の購読率は低下の一途ですから、そもそも家庭に新聞がないお子さんは増えているはずです。ですが、本市の児童生徒は学校の教室でいつでも読むことができる環境が整っています。にもかかわらず閲読率が低いということは、教室に配架されている新聞が十分に活用されていない可能性があります。

 

 本市の学校教育基本計画では、「質の高い学びを実現する取組み」の一つとして、「新聞を活用した学習の推進」を掲げています。調べる学習への活用をはじめ、取り組みを強化していただきたく存じます。

 

 市立下福田中学校は今年度までの4年間、日本新聞協会のNIE実践指定校に選ばれています。同校の中学3年生の生徒は、神奈川県NIE推進協議会のコンクールの優秀賞を受賞しています。同校独自の判断で実践に取り組んでいると伺いますが、他の学校でもNIEを推進するよう市教委として是非、働きかけていただきたいと要望します。

 

 質問紙調査は「大和っ子」の生活習慣が分かる宝の山です。子供たちの生活習慣が分かれば、学力だけでなく様々な教育上の課題を見つけることができます。ですので、質問紙調査を活かして教育の改善につなげてほしいと平成31年3月議会で要望しました。

 

 本市では令和元年度から、小学校3年生から中学2年生までの児童生徒を対象に「学習理解度調査」を始めています。翌2年度からは質問紙調査も追加して、クロス分析も行っています。

 

 不勉強ながら、私は今回の一般質問に際し、本市の独自調査の取り組みを初めて知りました。質問紙調査のレポートも読んでみましたが、子供たちの生活習慣の改善に向けたヒントがふんだんに盛り込まれていました。大変良い取り組みだと思います。教育委員会が様々な努力を積み重ねていることが分かり、とても嬉しく感じました。

 

 持ち時間の都合上、詳細は省きますが、本市のクロス分析では、「読書好きな子や新聞をよく読んでいる子の国語の平均正答率は高い。『読む』ことを好きであり続ける子どもたちを育成していただきたい」と講評しています。私の提案も方向性はまったく同じです。

 

 最後に、一つ提案します。本市の広報紙に、いわゆる学力テストや質問紙調査の結果 分析を掲載してみてはどうでしょうか。平均正答率の掲載はなくてよいですが、生活習慣上の課題について保護者間で意識を共有することは重要だと考えます。

 

 今年4月の教育委員会の定例会では、本市独自の調査結果についても協議しました。会議録によると、教育委員の一人から「就寝時間とゲームやインターネットの関係の結果が出たので、保護者にも伝えるべきだ」。このような意見が出ていました。これは生活習慣に着目した提案ですが、学力向上についても機運を高めるべく、広報啓発活動を是非、積極的に取り組んでいただければと要望いたしします。

一般質問の配布資料(表).jpg
一般質問の配布資料(裏).jpg

令和4年3月議会

​一般質問の動画はこちらから。

http://www.yamato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2228

 

1.大河ドラマを活用した地域振興

 

 「佐殿、お願いがございます。この先、一番の働きをするのは、この和田の義盛にございます。もしも大願成就した暁には、それがしを侍大将にしていただけませぬか」

 

 先月放映されたNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にこんなシーンがありました。鎌倉時代の御家人、和田義盛が主君の源頼朝に対し、侍所の別当にしてもらえるよう頼んだときのセリフです。義盛はその後、源平合戦での働きなどを認められ、その座を射止めました。侍所は、御家人を統率する部署です。財政や政務を行う政所、裁判を扱う問注所と並ぶ鎌倉幕府の重要機関です。そのトップですから、かなり有力な御家人といえます。

 

 和田義盛は三浦半島の出身で三浦一族ですが、大和市とゆかりがあります。上和田の地頭だったとの言い伝えがあります。眼の病気を患い、薬師如来像に祈ったところ、回復しました。その経緯から上和田に薬王院を建てた。そのように伝わります。

 

 義盛が眼の病気だったときに、薬効があるとされるショウガを食べたため、薬王院では毎年9月の祭事で芽生姜を販売しているそうです。寅年には秘仏、薬師如来像を開帳します。奇しくも、今年は12年に一度という年にあたります。

 

 このことは、教育委員会が発行、制作した絵本「薬師さまと和田義盛」でも解説しています。薬王院の双盤念仏は市の指定重要無形民俗文化財に指定されています。地元の木村議員も太鼓を叩いていたそうです。

 

 上和田と下和田には左馬神社があります。いずれも源頼朝の父、義朝を祭神として祀っています。義朝が左馬頭という官職についていたため、このような名前になりました。

 

 本市南部のエリアは当時、荘園でした。渋谷一族の始祖とされる渋谷重国が渋谷荘を支配していました。このため、高座渋谷という駅名に至ります。

 

 お手元の資料をご覧ください。当時の武蔵国には、武蔵七党と呼ばれる武士団がいました。最大勢力は横山党ですが、その横山時重の娘は和田義盛と結婚しました。別の娘は渋谷重国の二男、高重と結婚しました。つまり、横山党を介して和田義盛と渋谷高重は縁戚なのです。

 

 和田義盛は1213年、執権の北条義時を倒すために挙兵します。義時の挑発にのったという見方もあります。これは和田合戦と呼ばれ、鎌倉時代における最大の戦乱です。和田義盛はわずか2日間で鎮圧され、滅ぼされます。縁戚の渋谷高重は和田方について討ち死にします。渋谷荘は没収されましたが、高重の兄、光重が引き継いだそうです。

 

 さて、本市北部の下鶴間には浅間神社があります。源頼朝が創建したと伝わります。義経がこの神社に財宝を埋めたという伝説もあります。こちらの絵本ですが、教育委員会が発行する「浅間神社と義経の財宝」に詳しいです。義経なり頼朝がこの地において鶴が舞う姿を見たから、「鶴舞い」となり「鶴間」という地名に転じた、という伝承もあります。

 

 義経は不仲になった頼朝を相手取って挙兵します。最終的には奥州の平泉、今の岩手県に逃げていきます。頼朝の討伐命令を受けた藤原泰衡に襲撃され、自害します。義経の首は鎌倉に送られます。そこで首実検、つまり首が本人であるかどうかの確認作業をした一人が、和田義盛です。

 

 上和田にゆかりがある和田義盛と、下鶴間にゆかりがある源義経。大河ドラマに登場する両者の間には奇妙な因縁があります。市内に残る伝承は大河ドラマでは描かれないかもしれませんが、興味深い逸話です。歴史のロマンを感じさせます。

 

 関東地区における「鎌倉殿の13人」の視聴率は今のところ、平均14%超です。国民の7人に1人がリアルタイムで観ている計算です。単純に当てはめると、大和市では3万人以上、神奈川県全体では百数十万人が視聴し、鎌倉時代の歴史に興味・関心を寄せているのです。とても大きな需要です。

 

 日本銀行横浜支店は、大河放映に伴う神奈川県内の経済波及効果を約260億円と見積りました。横浜銀行系のシンクタンク、浜銀総研によれば約307億円です。経済効果の多くは鎌倉市になるでしょうが、本市としても、せっかくのご縁を地域振興や観光資源として活かさない手はありません。市民が歴史を知れば、郷土への愛着も深まるでしょう。

 

 色々なアイデアが浮かびます。たとえば、ゆかりがある市内の史跡を分かりやすく説明したリーフを作成するのも一つです。神奈川県は「『ゆかりの地』めぐり」を作成しています。この大和市バージョンを作ってみてはいかがでしょうか。茅ケ崎市では、地元の文教大学や団体、市内事業者で構成される民間団体が、マップや動画を制作しています。裏には料理店も書いてあり地域振興に役立つ内容となっています。

 

 「つる舞の里歴史資料館」や、集客力があるシリウスなどで企画展示を行うのも一案です。先ほど取り上げた和田義盛や義経の財宝伝説の絵本は、シリウス5階の地域資料コーナーに飾ってありますが、看板もなく目立ちません。1階のロビーや4階の展示コーナーで目立たせる工夫もできるでしょう。

 

 市内を走るコミュニティバスに、ラッピング広告なり車外広告を期間限定で掲示する手もあります。静岡県の三島-修善寺間を走る伊豆箱根鉄道の駿豆線(すんずせん)では1月から、ラッピング電車を運行しています。こちらはイメージ図です。

 

 視聴者の皆さんはご案内かと存じますが、ドラマが終了した後に、名所旧跡などを紹介するミニコーナーがあります。「紀行」と呼ぶそうです。そこで薬王院などを取り上げることができれば、シティセールスにつながります。番組の編成権はNHKにありますが、市として持ちかけることはできます。

 

 そこで3点伺います。

 (1)鎌倉時代と大和市のゆかりについて

■市長

 本市と鎌倉時代とのゆかりにつきましては、源義経、和田義盛、渋谷重国など鎌倉時代の武将にまつわる伝承がいくつか残されております。

 源義経につきましては、壇ノ浦で平氏を破った戦勝報告のため、鎌倉へ凱旋しようとした義経が、兄・源頼朝の怒りを買ったため、鎌倉に入れず、失意のうちに京都へ戻る途中、下鶴間の浅間神社に立ち寄り、頼朝へ持参した財宝を埋めたというものでございます。

 この時、夕焼けの空に鶴が舞うのを見たことで、鶴舞、転じて鶴間という地名の由来になったという伝承もあり、鶴間の地名につきましては、源頼朝が富士の鷹狩の途中に鶴間の地で鶴が舞うのを見たのが由来だとする伝承もあります。

 和田義盛につきましては、江戸時代の地誌「新編相模国風土記稿」に上和田の城山に住んでいたという伝承が記されており、上和田の矢ノ下は義盛が戦った地で、義盛軍がうった矢から根が生え、矢竹の群生が生まれたと言われております。

 また、上和田薬王院の本尊である薬師如来には、義盛が眼病を患った際に、十七昼夜祈願して快癒し、さらに「侍所別当に任ぜられたら一院を建てる」と願をかけたところ、それも叶えられたため薬王院を建立したという伝承もございます。

 鎌倉幕府創設期の御家人の一人であり、高座渋谷駅周辺を含む荘園、渋谷荘の荘司であった渋谷重国は、はじめは平氏に属しておりましたが、のちに頼朝に帰属し、「相模国の大名」と称される存在となりました。

 このように、本市には鎌倉時代の重要人物にまつわる興味深い伝承がいくつか残されており、鎌倉の後背に位置し、境川に沿って相模、武蔵の国境に位置していた市域が鎌倉幕府にとって軍事・経済上の重要な地域であったと推察されることから、ゆかりは深いものと考えます。

 

(2)本市との関わりを発信していく取り組みについて

■文化スポーツ部長

 「鎌倉殿の13人」の放映を契機として、本市の魅力を発信していくため、NHK横浜放送局と協力し、大河ドラマや鎌倉時代に関する文化セミナーの開催を予定しており、必要経費を令和4年度当初予算案に計上しているところでございます。

 また、神奈川県が中心となって、大河ドラマにゆかりがある県内自治体との情報共有や広域プロモーションを行っており、その一つとして展開している特設ホームページや周遊マップには、本市の薬王院と浅間神社が掲載されております。

 さらに、ゆかりの地を記すのぼり旗のデザインの提供や、ポストカードの配布も予定されていることから、ご提案のありました方法の検討も含めまして、効果的に地域の魅力を発信していけるように取り組みたいと考えております。

 

(3)「紀行」に薬王院を取り上げてもらうよう働きかけられないか

■文化スポーツ部長

 NHK横浜放送局を通じて確認したところ、「独自に調査した情報により放送内容を決定しており、希望や要望は受け付けていない」とのことでございます。

 

 【答弁後の意見要望】

 

 答弁をいただきました。市長から、本市と鎌倉時代のゆかりを丁寧に説明していただきました。大和市は軍事・経済上の拠点、重要な地域にあったという答弁でした。上和田の矢ノ下、城山についてもご紹介いただきました。

 

 また、県とも連携して、のぼり旗やポストカードを配布する予定ということです。薬王院や浅間神社の最寄り駅、市役所などにのぼり旗を立てれば、市民の関心も高まります。

 

 県議会でも、大河関連の取り組みが議論されています。県が開設したインターネット上の特設ページは2月末までに35万ページビューを稼いだということです。県ではデジタルスタンプラリーも企画しています。本市も県の連携協議会に加わっていますが、積極的な取り組みを期待します。

 

 大河ドラマ終了後のミニコーナーについては、問い合わせ、確認をしていただき有難うございます。「紀行」での紹介が難しければ、本市やイベント観光協会で、似たような動画を独自に制作することもできると思います。検討をお願いします。

 

 3月8日付の神奈川新聞が報じていましたが、寒川町の観光協会は梶原景時のゆかりの地を巡るツアーを開催しています。当初は2月までの予定でしたが、人気があるため当面5月まで延長することにしました。ユニークなのは、鎌倉時代の食べ物を再現した「鎌倉殿のお弁当」を提供していることです。本市でも、創意工夫を凝らしたツアーを組むこともできると考えます。薬王院や浅間神社が、ユニークな御朱印を期間限定で作れば、歴史マニアの間で静かなブームになるかもしれません。

 

 境川沿いにサイクリングロードがありますが、薬王院の観光を案内する掲示板を設置してみてはどうでしょうか。河川の所管は県になりますが、是非、働きかけていただきますよう要望します。

 

 市民への影響力が大きい市の広報紙や、やまとニュースなどで、本市の中世史に関する特集を組んでみるのもよいでしょう。

 

 本市は住宅地ですが、歴史を掘り起こしてみると、興味深いエピソードが意外に見つかります。1日の文教市民経済常任委員会では「まちおこしのチャンスなので活用してほしい」「補正予算を組んでもよいのではないか」。そのような意見がありました。私も同感です。

 

 「いざ鎌倉」という言葉がありますが、せっかくの地域資源をもっともっと活用し、地域振興に向けて一目散に馳せ参じてほしい。そのように要望して大項目1を終わります。

 

 

2.健「幸」都市

 

 コロナ禍が発生してから3年目に入りました。この2年間、国全体の幸福度の総量が減ってしまったのではないか。そのように危惧します。

 

 内閣府が昨年秋に実施した「国民生活に関する世論調査」の結果を見てみます。「現在の生活にどの程度満足しているか」との問いに対し、「満足」と回答したのは55.3%で、コロナ前となる令和元年の前回調査より18.5ポイント低下しました。落ち込み方が激しいです。「不満」とする回答は19.3ポイント増の44.3%です。「満足」は過去最少、「不満」は過去最大です。

 

 コロナ前の調査は対面で、昨年の調査は郵送で行いました。調査方式が異なるため単純比較はできないものの、それを割り引いても、コロナ禍を経て、国民の生活満足度は大幅に低下したと言えます。感染に対する不安や、感染症対策としての活動制限が影響したと考えられます。

 

 マーケティングの分野で有名な学説として、「欲求5段階説」があります。アメリカの心理学者のマズローが提唱しました。人間の欲求には①生理的欲求②安全欲求③社会的欲求④承認欲求⑤自己実現欲求-の5段階があり、低い欲求が満たされると次のレベルの欲求に移っていくという理論です。

 

 コロナ禍においては「命が大事」という考え方が支配的になりました。もっともではあるのですが、マズローの理論を用いれば、生理的欲求や安全欲求が最優先されることになり、その上位にあたる社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求がないがしろになってしまったのではないでしょうか。

 

 政府による活動自粛の要請に我々が応じているのは、感染症拡大の防止や医療提供体制の維持につながると理解されているからです。社会全体の利益、公共の福祉につながるため、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んできたわけです。

 

 今では感染症も弱毒化し、規制は以前より緩和されています。まん延防止等重点措置も21日をもって解除される予定です。ですが、この2年間を振り返ると、社会としての「健康」を保つために、「不幸せ」を広範に再分配してきた。このように映ってしまいます。この間、私たちは幸せだったのでしょうか。

 

 さて、本市は健康都市を標榜しています。市長は、お参りする際に心の中で祈ることは「健康」である。健康は人間の願いであるから、健康都市を目指すとおっしゃいます。その考え方に異存はありません。これまで続けてきた健康都市の理念は尊重すべきと考えます。

 

 ですが、人間にとって一番大切なのは「幸福」なのではないでしょうか。たとえば、人が死ぬ間際、もしくは死を意識したときに「自分の人生は幸せだったな」と振り返ることはあるでしょう。でも、「健康な人生だった」と総括しないはずです。身体が健康でも、精神的な充足度が低ければ、幸せとは言えません。逆に、健康が優れなくても、心が満たされていれば幸せな人はいるでしょう。

 

 ということは、健康は幸せになるための大変有力な手段、前提ではございますが、一番大切なのは幸福なのではないか。そのように思うのです。

 

 何が幸せなのかは多義的です。主観に左右されますし、人それぞれではありますが、基礎自治体として最も目指すべき施策は、住民の幸福実感度を最大化することではないでしょうか。とするならば、当て字の造語になりますが、「健やか」で「幸せ」な「健幸」を目指すべきです。

 

 東京都荒川区は区民総幸福度(GAH、グロス・アラカワ・ハッピネス)を調べるアンケートを実施して、施策に反映しています。

 

 お手元の資料に令和元年度の調査結果を記しています。「あなたの幸せにとって特に重要なものは何か」を健康・福祉、子育て・教育、産業などの6つの分野に分けて尋ねています。3の産業の分野では、「生活を送るために必要な収入がある」ことが7割近くを占めています。仕事と生活のバランスは15%です。一定の収入がなければ暮らしていけません。ワークライフバランスは、ある程度の収入があることを前提とする上位の幸せレベルになります。

 

 2年前の2月、本市議会では中央大学の飯島大邦教授を呼んで研修を受けました。EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案の重要性を学びました。市民の幸福度を高めていくためには、確かなデータに基づいてニーズを的確に捉え、効果的に施策を打っていくことが重要です。

 

 私はかつて防災施策などの調査研究で荒川区を視察したことがあります。区内の公共施設には、「幸せリーグ」の事務局が発行した『「幸せリーグ」の挑戦』と題した本が置いてありました。

 

 幸せリーグの正式名称は「住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合」といいます。本市も平成25年度以降、加入しています。とても良い取り組みだと考えますが、本市がリーグ加入をどう活かしているのかは存じません。

 

 そこで3点伺います。

 

(1)市民の幸福度の向上について

■市長

 市民の幸福度に影響を与えるものは、健康はもとより、家族関係や家計の状況をはじめ、個人の自由な価値観などさまざまなものがあると言われ、多くの要素の集合体である幸福度を向上させるために必要なことを一言で申し上げるのは大変難しい面がございます。

 一方、厚生労働省が実施した健康意識に関する調査や、荒川区が実施した幸福度調査の分析では、健康が幸福感にもっとも大きな影響を与えるといった結果がみられるなど、幸福感を高めるために健康が重要な要素になっているものと考えられます。

私は平成19年の市長就任以来、いつの時代であっても誰もが共通して願う健康は、市民の幸せに直結し行政と共有できる願いであることから、健康を基軸とした市政運営を一貫して進めて参りました。

 「人の健康」はもちろん、人々の暮らしと活動を支える場としての「まちの健康」、人と人とを結び支え合うコミュニティとしての「社会の健康」。この3つの健康すべてを良好な状態にできたとき、市民に幸せな生活をもたらす理想的な都市になるものと考えており、「健康都市やまと」の実現に向けて、施策を推進していくことが市民の幸福度の向上につながるものと捉えております。

 

(2)幸せリーグ加入後の状況について

(3)幸福度調査の実施について

■政策部長(一括答弁)

 住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合、通称「幸せリーグ」は、誰もが幸福を実感できる、あたたかい地域社会を築いていくことを目的に設立され、本市は平成25年10月から参加しております。

 「幸せリーグ」では、荒川区の幸福度調査の結果等を含め、参加自治体の先進、独自の事例紹介や人口減少、少子高齢化など自治体が直面している課題についての意見交換などを行っており、本市も他都市の取り組みの情報を収集するなど、参考にしております。

 荒川区の幸福度調査は、毎年区民の幸福実感を測定するために実施するものであり、継続的に実施、分析を行うことで政策の企画立案に役立てられているものと理解しております。

 一方、本市では総合計画の目標の達成状況などを確認するため、市民意識調査を実施し、市民の皆様一人一人が健康を実感することができるよう施策の推進に努めているところです。

 荒川区の幸福度調査は、住民の幸福の実態についてはかる項目以外は、本市の市民意識調査と類似しており、市民の意識を捉えるといった意味では同じものであると考えています。

 少子高齢化、デジタル技術の進展など様々なものが変化する中で、住民の意識をより適切に捉えることは重要であることから、幸福度調査を含め、本市にとって最も適した調査を行えるよう様々な手法について調査研究してまいります。

 

 【答弁後の意見要望】

 

 答弁をいただきました。幸福度調査については、本市の市民意識調査と類似しているということで、さまざまな手法について調査研究していきたいということでした。

 

 幸福度調査については荒川区以外でも、佐賀市、三重県松阪市、滋賀県草津市、兵庫県多可町などが行っている、ないし行ったそうです。本市でも、証拠に基づく政策立案を進めていただきたいと考えます。

 

 我が国は少子高齢化社会に突入しています。人口は減り、社会は高齢化しています。経済規模の縮小は所与の前提となります。ただ、それを単なる国力の衰退として嘆くのではなく、発想や価値観を転換して、幸福実感度を高めていくことが大切です。経済が世界一でなくても、幸福度が高ければいいじゃないですか。ある種の割り切りが求められます。

 

 先日、東京都の多摩市を訪れる機会がありました。小田急や京王の永山駅構内で、「健幸都市宣言」の看板をたまたま見つけました。「さぁ! まちぐるみで健幸都市へ! 多摩市はだれもが健康で幸せを実感できるまちを目指しています」との横断幕も掲げられていました。

 

 実は本市は、日本健幸都市連合にも加入しています。これは健康かつ幸せな意味の当て字の「健幸」の方です。本市も、幸福実感度を向上させる理念に賛同していると理解します。本市が掲げる「健康都市」の看板を掛け替えてほしいと求めるつもりは毛頭ございません。ですが、健康都市のアピールにあたっては、「幸福度」の向上の意味を込めていることを強調していただければと存じます。また、幸福度の向上を目標に定めてほしいと要望します。

 

 最後に一点。病気になると健康の有難さを知ります。コロナ禍では、社会全体が病的な状態となっていますが、実際にそうなってみると、他愛無い元の日常の有難さを感じます。市民の幸福度の総量を増やしていくためにも、まず「元の日常」の復活に取り組んでいただきたい。そのように要請します。

 

 

3.学校生活とコロナ対策

 

 市内の小中学校では1月中旬以降、学級閉鎖が相次いでいます。昨日時点で累計117クラスということです。その多くを小学校が占めています。数だけ聞くとものすごく多く感じます。ですが、季節性インフルエンザが流行した4年前の平成29年度は194クラスでした。学級閉鎖の件数においては、当時よりは随分少ないです。

 

 とはいえ、子供たちが学校に行けなくなれば、子育て世帯の生活も直撃します。感染そのものより、検査陽性者や濃厚接触者になることの社会的なリスクを恐れる。そんな状況も起きているようです。子供たちを介して大人の感染が広がるのは避けなければなりませんので、やむを得ない面もありますが、不憫でなりません。

 

 コロナ禍の最大の犠牲者は子供たちである。私はこのように捉えています。というのは、子供たちは重症化・死亡リスクがほとんどないにもかかわらず、過剰な活動制限、たとえれば「青春の自粛」を余儀なくされているからです。

 

 岸田総理は昨晩の記者会見において、「私自身、最も心を痛めているのが子供たちのことです。子供たちにとって何が最善かを第一に考えて取り組みを進めて参ります」と語りました。我が国のトップも、その点を理解してくれているようです。

 

 さて、文部科学省は2月4日、全国の教育委員会などに「感染症対策の徹底を求める事務連絡」を発出しました。学校教育ではグループワーク、合唱、リコーダーや鍵盤ハーモニカなどの管楽器演奏、調理実習、密集する運動などの自粛を求めています。密集する活動や大きな発声、激しい呼気を伴う部活動についても控えるよう要請しています。

 

 ある県立高校の剣道部は、コロナ禍で部員が実質3分の1に減ったそうです。顧問の先生からそんな話を伺いました。文科省の事務連絡を受けて市内の小中学校がどう対応しているのか、気になります。

 

 スポーツ庁は昨年12月、小学5年、中学2年の児童生徒全員を対象に行っている令和3年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を公表しました。コロナ前の令和元年度と比べ、小中男女ともに体力合計点が低下しました。とりわけ男子の低下が顕著で、調査を始めた平成20年度以降、小中のいずれも過去最低でした。

 

 体力低下の原因について、スポーツ庁は①運動時間の減少②学習時間以外のスクリーンタイムの増加③肥満である児童生徒の増加-の3点を挙げています。コロナ自粛によって、部活動をはじめ課外活動が減ったことも影響していると考えられます。

 

 学校生活で、とりわけ可哀想だと思うのは、給食の時間などに使われる机ごとのパーティションです。飛沫の拡散を防ぐのが目的ですが、子供たちは授業で発話する際にはマスクを着けています。給食時間は「黙食」が求められ、会話もできません。なので、パーティションに、飛沫防止の実際の効果はないはずです。

 

 一方、自らを他人と隔絶し、檻に閉じ込めるような食事の方式は、精神の健全な発達を阻害するのではないでしょうか。

 

 そこで5点伺います。

 

(1)グループワークや合唱はどう対応しているか

(2)部活動はどう対応しているか

■教育部長(一括答弁)

 現在、学校では国や県の通知に従って学習活動を実施しており、飛沫感染のリスクが特に高まるグループワークや合唱は屋外で実施したり、飛沫防止パーティションや一人一台端末を活用するなど、可能な限り工夫をしながら取り組んでおり、部活動においても国や県の通知、各競技団体によるガイドライン等に沿って感染対策を講じながら取り組んでおります。

 

(3)運動部活動の加入率について

■教育部長

 運動部活動の加入率は令和元年度が58.0%、令和2年度が58.2%、令和3年度が58.0%となっており、ほぼ横ばいの状態でございます。

 

(4)全国体力・運動能力、運動習慣等調査の推移について

■教育部長

 同調査における体力合計点の平均値の推移はコロナ以前に比べ、中学校においては男女ともにほぼ横ばいですが、小学校においては、男子は約2.3ポイント、女子は約1ポイント下がっております。

 

(5)飛沫防止パーティションはいつまで続けるのか

■教育部長

 飛沫防止パーティションにつきましては、給食や話し合い活動など感染リスクが特に高まる場面で活用されており、感染不安を抱える子どもが安心して学校生活を送ることができるよう、今後も感染状況を見極めながら、有効に活用してまいります。

 

 【答弁後の意見要望】

 

 答弁をいただきました。運動部の部活動の加入率については、コロナ禍を経ても特に低下傾向はないようで、何よりです。ただ、重要なのは実質です。加入率が現状を維持できていても、休眠状態であれば張り子の虎になってしまいます。文化部の部活動も同様ですが、コロナ禍でも十分に活動できるよう教育的配慮をお願いします。

 

 子供の体力では、とりわけ小学校の男子で低下傾向が見られます。本市の子供の体力は県内平均と比べて劣っているようでもあります。スマホやテレビ、インターネットの視聴に熱中するあまり、運動する機会が減ることのないよう指導をお願いします。

 

 飛沫パーティションについては「感染状況を見極めながら有効に活用していく」。そのような答弁でした。アメリカのニューヨークタイムズは昨年8月末、「取材したエアロゾル専門家の全員が『机のアクリル板が感染防止に役立つ可能性は低く、部屋の正常な換気を妨げる可能性が高い』という見解で一致した」と報じています。

 

 市役所の横にあるオークシティのイートインにもパーティションがありますが、大人はマスクを外して会話しながら食べています。なぜ、子供だけ窮屈な思いをさせられるのか、さっぱり理解できません。

 

 パーティションを設置していれば、感染者が出ても同級生が濃厚接触者の扱いとならないといった裏事情もあるようですが、一刻も早く取りやめて、正常化してほしいと強く要望します。

 

 市内の小学生に尋ねたところ、音楽の授業でリコーダーは使われているものの、音を出さずに運指だけだそうです。合唱は小声で行っていると伺いました。もちろん先生や学校の判断によって(対応は)違いますが、私がうかがった小学生はそういうことを話していました。元通りのスタイルできちんと行ってほしいと要望します。

 

 文科省の事務連絡は、自粛要請の期間を明確に定めてはいません。学校設置者の裁量に任されています。まん延防止等重点措置の解除は、対応を切り替えるちょうど良いタイミングではないでしょうか。

 

 音楽家で野口剛夫さんという方がいます。全聾の作曲家として一時期、もてはやされた佐村河内守さんのウソをいち早く見抜いていた方です。野口さんは自著『ベートーヴェンは怒っている!』で、コロナ自粛についてこのように記しています。

 

 「音楽に携わる私たちは、音楽はかけがえのないものだという渇望を持っているのか。音楽なんて不要不急だという意見に対し憤り、不当な自粛の圧力を跳ね返す気概を持っているのか」

 

 引用は以上です。これは音楽だけでなく、教育現場においても当てはまるのではないでしょうか。本市の小中学校においても、「元の日常」をいち早く取り戻してほしい。そのための努力を惜しまないでいただきたい。そのように申し上げて、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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