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 大和市議会 小田の一般質問

 *実際の質疑では、大項目(テーマ)ごとに、まとめて質問したり、まとめて答弁している場合があります。ここでは読みやすさを重視して再編集し、質問の直後に答弁を記しています。正しくは、市議会HPの会議録をご参照ください。

 *「★」印は、市側の答弁のなかで、私がポイントだと捉えた部分です。

平成29年12月議会

1. 「全国初」事業の長短

 

 「認知症事故賠償 自治体が救済 家族の負担減 保険・給付金で」

 

 11月29日付の読売新聞朝刊に、こんな主見出しを掲げた解説記事があった。紙面1ページの半分程度を占める大変大きな扱いだ。認知症になった徘徊高齢者が第三者に損害を負わせた場合の個人賠償責任保険を公費で肩代わりする大和市独自の新規事業のことだ。記事では、本市とは異なる手法で公的救済を行おうとする神戸市の取り組みと中身を比較し、検証していた。

 

 この取り組みは全国に先駆けた試みだ。昨日はNHKの解説でも取り上げられたそうだが、既に東京新聞や毎日新聞、産経新聞、TBSでも大きく報じられた。11月には早くも兵庫県宝塚市議会が視察に訪れており、今後も予約が相次いでいるということだ。

 

 さて、大和市は「全国初」「県内初」の取り組みが多いと思う。お手元に配布している一覧表に、主な取り組みをまとめた。過去の報道に基づいて作表している。若干、漏れがあるかもしれないが、かなり網羅しているはずだ。こうしてみると、ここ数年、「全国初」とされる事業が増えているようだ。

 

 「そもそも論」となるが、「全国初」の事業とはどのような意味を持つのだろうか。まず思いつくのは、役所にありがちな前例踏襲、横並び主義にとらわれず、進取の気性に富んでいるということだ。思考や発想が柔軟であり、積極的に政策立案を行っているとも言えるだろう。時代の先を捉えることができていると言っても言い過ぎではない。そのように思う。

 

 一方、ニーズがある取り組みは他の自治体が先に実施している可能性が高いとも言える。何せ全国には1700を超す市区町村が存在する。同じ発想をしたものの断念した自治体があるかもしれない。新しい取り組みが市民にとって本当に必要な施策なのかどうかは、きちんと点検や検証をしなければならない。

 

 そういう意味においては、これも「全国初」の試みということだが、今定例会に上程された補正予算案に盛り込まれている保護者の安否確認メール配信サービスは、私としては、「需要が少ないのではないか」と捉える。シングルマザーの突然の死去で赤ちゃんが巻き添えを食らってはいけないという視点は理解する。だが、自分の生存を市に知らせるために毎日、メール記載のホームページにアクセスするというのは、手間がかかってしまうのではないか。このように考える。

 

 総論に話を戻すが、「全国初」の取り組みは、メディアで大きく報じられる可能性が高い。新しい話だからだ。「ニュース」というカタカナ英語が日本語として定着しているが、その語源は「NEW」、つまり「新しい」という意味だ。新聞は、英語ではニュースペーパーと言われるが、言葉の通り、「新しく聞いたことを伝える」のが役割だ。

 

 大和市の取り組みがメディアで大きく報じられ、全国的に知れ渡れば、他の自治体が追随する可能性がある。それは、地方から日本を変えることにもつながる。大和市の名前が全国に轟けば、シティーセールスという副次的な効果も得られる。

 

 一方、仮にメディアに報じられること自体が目的となってしまえば、本末転倒となってしまう懸念もある。雑駁に言えば、メディアの基本動作は「野次馬」だ。時代を捉えさえすればよいわけだ。面白ければ、風変わりなら、取り上げる。あくまで第三者であり責任を有する立場ではない。市の財政がどうなるかとか、長期的かつ多角的な視点で考えることはしない。

 

 「全国初」の取り組みがメディアで取り上げられることは、自治体にとって大きな勲章ではあるが、行政がメディア受けを狙いすぎてしまえば、大衆迎合主義、ポピュリズムに陥りかねない。

 

 そこで1点伺う。

①本市で「全国初」の取り組みが多い理由は?

■市長

 本市における新規の事業については、市民サービスの充実や向上、あるいは社会状況の変化に対応をしていくことなどを目的として実施するものだ。私たちを取り巻く環境に目を向けると、超高齢化と少子化の同時進行、大規模な災害への備え、これまで経験したことのない速度で進みつつある技術革新への対応など、多種多様な課題が見受けられる。

 

 市民の暮らしを守る基礎自治体の責務として、こうした状況に積極的かつスピード感をもって対応する必要があり、その方策についても、★前例にとらわれない新たな視点で検討しなければ対処していくことはできない。

 

 市政の舵取りを担う市長として市民が今、何を求めているのか。将来を見据え何をすべきか。立ち止まっていられないほどの速さで変化する世の中にあっても、これらに真摯に立ち向かい、職員の知恵や制度構築のための助力を得ながら、政策の選択や新規事業の立ち上げを実現しているところだ。

 

 こうした新しい事業については、★結果として全国初や県内初となることもあれば、他市と同様の事業になることもあると捉えている。いずれにしても、新たな事業選択がその後の展開も含めて、市民の皆様にとって必然の道筋だったと感じていただけるよう市政運営をしっかりと推進していく所存だ。

 

 【意見・要望】

 答弁をいただいた。市長からは「新しい事業は結果として全国初、県内初となることもあるが、その後の展開も含めて必然の道筋となるように市政を推進したい」という話だった。

 

 前職時代、地方行政をウォッチしていた時に、当時の上司からこんな趣旨の指導を受けたことが記憶に残っている。

 

 「行政は『全国初』と宣伝したがるが、住民にとって重要でなければ、初めてであろうとなかろうと報じなくてよい。逆に大切なことは『初めて』でなくても何回でも取り上げてくれ」

 

 当時の支局長の発言だが、行政マンにも通じる視点だと思う。全国初・県内初であろうとなかろうと、新しかろうと古かろうと、派手であろうと地味であろうと、基本的な座標軸は「住民本位」「市民目線」でなければならない。言わずもがなだが、再確認したい。

 

 事業が「全国初」であれば、議会における審議も初めてとなる。議論する内容は、他の自治体の参考になるかもしれない。議会としても、そう心得て丁寧に検証することが必要だろう。このように考える。

 

 

 

2. 所有者不明土地 

 

 土地の持ち主が分からない所有者不明土地問題が社会問題化している。ここ最近もよく報じられている。増田寛也元総務大臣を座長とした民間の「所有者不明土地問題研究会」は、この問題が及ぼす経済的な損失は昨年1年間で約1800億円に上ると推計した。不明土地が今後増えていけば、2040年までの累積損失は「6兆円」に達すると試算している。

 

  この問題が注目を集めるようになったきっかけは、平成23年に起きた東日本大震災だ。被災した自治体が復興を進める際、高台の土地を買収しようとしても土地の所有者がなかなか見つからず、多大な時間と予算を使ってしまった。 

 

 その後、国土交通省は、平成28年度に地籍調査を実施した558市区町村のデータを集計した調査結果をまとめた。それによると、登記簿のみでは所有者を把握できないいわゆる「所有者不明土地」は、20%に上った。日本の面積に当てはめると九州に匹敵する。

 

 公益財団法人・東京財団の研究プロジェクトチームが全国の自治体を対象に行ったアンケートによると、土地の所有者を特定できずに問題が生じたことがある自治体は63%に上った。

 

 具体的には「固定資産税の徴収が難しくなった」との回答が最も多く、「老朽化した空き家の危険家屋化」「土地の放置や荒廃」がそれに次いだ。既に亡くなっている登記簿名義人に課税を続ける、いわゆる「死亡者課税」については、16%の自治体が行っていると回答したが、83%は「分からない」と答えたそうだ。

 

 さて、大和市の状況はどうだろうか。地元の議員としてはとても気になる。土地の登記に詳しい関係者に話を伺ったところ、大和市にも所有者が不明な土地はあり、特にお墓が該当するということだ。

 

 私が住む上和田地区にもある。民間敷地の駐車場内に所在するあるお墓は、荒れ放題となっている。お手元の資料に写真を掲載しているが、墓石の一部は欠けており、供養するための木製の塔婆(とうば)は倒れていた。

 

 この場所の登記簿謄本を法務局で調べた。登記されたのは、なんと明治28年2月で、それ以降、変更はなかった。つまり120年以上前から登記が変わっていないのだ。大変驚いた。墓地は法律上、固定資産税がかからないということだが、市内には他にもこのような所有者不明の土地が存在するのではないか。

 

 平成28年度決算における大和市の固定資産税収入は142億円だ。市税収入360億円の4割を占める大きな収入だ。もし、相続登記がなされずに土地の所有者が不明になり、固定資産税の徴収漏れが生じてしまえば、大きな問題となる。

 

 そこで3点伺う。

①本市における所有者不明土地にかかる固定資産税上の件数と全体の課題について。

■総務部長

 本市においては、本年度発送した固定資産税納税通知書約72000件のうち、所有者が不明なものは6件あるが、公示送達等の方法により適正に課税しており、近年においてこの件数に大きな変化は生じていない。しかしながら、所有者不明土地の増加を想定した場合、市の事業の進捗に支障となることも考えられるため、確実に所有者を把握できる方策について研究していく。

 

②相続登記が行われないものに対し、どのような手続で課税をしているか。

■総務部長

 固定資産税は原則として、不動産登記簿上の所有者に課税する課税台帳主義がとられているが、所有者が死亡し、相続登記が行われていない場合には、相続人の中から代表者を選定していただき、当該相続人代表者に対し、納税通知書を送付している。本年1月から11月末までの間においては、相続登記が間に合わない等の理由により、543件の相続人代表者指定届が本市に提出され、相続人代表者の設定を行っている状況だ。

 

③相続登記促進の働きかけをより積極的に行うべきではないか。

■総務部長

 本市では、死亡届が提出された際に、手続きを一覧で示したパンフレットをお渡ししており、そのなかに相続登記の必要性について記載している。市としては、固定資産税を課税する上でも相続登記促進の働きかけが重要であると認識しており、★相続人に対して相続人代表者指定届を送付する際に、相続登記を促す文書を同封するなどの方策を検討し、さらなる周知に努めていく。また現在、国において所有者不明土地問題の解消に向けた検討が進められており、本市としても、その動向を注視していく。

 

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。「所有者が不明なものは6件あるが、課税はされている」という答弁だった。この件数は、調査しても最終的に所有者の所在が不明という最も狭い意味での所有者不明土地だ。国の調査では0.41%になりますが、大和市では6÷72000なので、0.01%弱ということになるのだろう。

 

 大和市はここ数十年間で人口が急増したまちだ。その所有者が亡くなり、相続放棄になったりすると、今後、所有者不明土地が増えていくとみられる。道路の拡幅工事で土地が買収できずに支障が生じる事態もあるかもしれない。

 

 たとえば、市南部のある私道(わたくしどう)の所有者は8人に上る。所有者が亡くなり、相続登記がされなければ、所有不明化が進んでいく。市道への変更も難しくなる。中長期的には大きな課題となっていくだろう。丹念に問題をフォローし、将来に備えてほしいと考える。

 

 国土交通省の国土審議会土地政策分科会特別部会は先の12日、中間報告書をとりまとめ、現在は任意である不動産登記の義務化を今後の検討課題に挙げた。さらに、土地所有者をスムーズに見つけるために固定資産課税台帳、地籍調査票などの所有者情報を行政機関等が利用できるようにすべきだとした。報道によると、来年の通常国会に関連法案の提出が見込まれている。

 

 先ほどの総務部長の答弁によると1年間で500件超が相続登記されていないということだった。国の方で動きが出始めているが、基礎自治体である市町村としては、まずは相続登記を促進してほしいと要望する。

 

 昨日の本会議では、地籍調査に関する質疑もあった。実施率については「平成29年度末で1.9%の見込み」ということだった。コストがかかる上に地味な作業ですが、着実に進めてほしいと考える。

 

  

 

 3. 脳梗塞治療 

 

 厚生労働省の「人口動態統計の概況」によると、平成28年に脳血管疾患、いわゆる脳卒中で亡くなった方は日本全国で10万9320人に達した。死亡原因の4番目で、8.4%を占めている。脳卒中のうち、血管が詰まってしまう脳梗塞に伴う死亡者は6万2277人おり、脳卒中の6割弱にあたる。

 

 脳梗塞にかかる年齢は70歳から80歳代がピークだが、40歳代でも発症する。突然起こるので、大変怖い病気だ。私の周囲でも罹患者が複数いる。

 

 今月上旬、フルマラソン4時間以内の完走を目指している脳梗塞患者の千葉豊さんの講演を聴く機会があった。千葉さんは大型トラックの運転手だった5年ほど前、勤務中に脳梗塞を発症した。一時は「一生車椅子」と言われるなか、治療や懸命のリハビリ活動で回復した。後遺症が残っているためにトラックの運転はあきらめたが、「足を鍛えて自分の移動手段にしたい」と考えてマラソンにチャレンジし、昨年11月の「さいたま国際マラソン」を完走した。

 

 現在は、来年2月末の「東京マラソン」で4時間を切るべく、医師、理学療法士、ランニングコーチ、管理栄養士らとチームを結成して、単独や合同のトレーニングに励んでいる。世間には、あきらめずに努力を積み重ねている方がたくさんいるのだなぁ、と心を動かされる。

 

 さて、脳梗塞治療のひとつとしてt-PA静注療法がある。t-PAという薬剤を静脈に注射することで、脳の血管に詰まった血栓を溶かし、血流を回復させる治療だ。千葉さんに直接、話を伺うと彼もt-PA静注治療を受けたといい、「意識を失っていたため治療内容は後から聞いたが、この治療で命を救われた」と評価していた。

 

 このt-PA静注療法は発症後4時間半以内に行わなければならないとされる。平成17年10月に保険適用されたが、出血のリスクがあり、実施率は5%程度と低く、地域差も見られる。どこの病院でも受けられるわけではない。脳神経外科医や神経内科医が勤務し、CTやMRIがいつでも稼働できないと治療できない。

 

 今年6月に厚生労働省の有識者会議「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」は、診療体制の在り方の指針をまとめた。指針では「24時間体制の確保」を求めており、既に、地域における24時間態勢を確保している川崎市や東京都の事例を取り上げている。

 

 大和市立病院はどうだろうか。診療案内には、「専門医3人が脳卒中の急性期治療を行う。脳梗塞についてはt-PA静注療法を含めた標準治療を行う」と記している。ただ、インターネット上で流通している「病院検索サービス」でざっと調べた限りにおいては、t-PA静注治療を行える病院は近隣では横浜や厚木、川崎などに存在が確認できるものの、大和市立病院はヒットしなかった。

 

 そこで3点伺う。

①市立病院における過去3年間の脳梗塞の症例数の推移はどうか。

■病院事務局長

 脳梗塞での新規入院症例数は、平成26年は191件、27年は197件、28年は201件で微増となっている。

 

②市立病院での脳梗塞に対する診療体制はどうなっているのか。

■病院事務局長

 脳梗塞を含む脳卒中を発症した場合は、迅速な対応が予後や生命の危機に大きく関わることから、本市救急隊と脳神経外科の当直医との間に直通のホットラインを設けるなど、24時間対応できる診療体制を整えている。

 

③t-PA静注治療法の治療の症例数は何件か。

■病院事務局長

 t-PA静注療法は、脳細胞が壊死する前に血流を再開させることで脳の働きを回復させる療法で、早期に着手できれば後遺症が残らない可能性がある。しかしながら、発症後4時間30分以内に着手しなければならず、かつ消化器や泌尿器などからの出血やその恐れのある既往症がないなど、その実施には厳しい条件のある療法であるとのことだ。なお、t-PA静注療法を行った症例数は平成26年は6件、27年は1件、28年は4件となっている。

 

 

【意見・要望】

 答弁をいただきました。脳梗塞に対して、24時間の診療態勢は確保できているものの、脳神経外科医は常勤2人+非常勤の計3人ということだ。

 

 t-PA静注治療法の症例数は年間1ケタということだった。受けられる人も受けられない人もいるし、実施のハードルが高いことは理解する。ただ、後遺症が少なく効果が高い革命的な治療法として、期待もされている。専門医の確保をはじめとして、さらなる増員をはかり、万全な態勢にしてほしいと要望する。

 

 横浜市ではビラを作成し、脳梗塞を含む脳卒中では治療が一刻を争うことを普及啓発している。このようなビラがインターネット上にあったが、本市においても啓発の努力を重ねてほしいし、「脳梗塞を突然発症しても急いで市立病院に行けばよい」と市民が安心できる体制を整えてほしいと望む。

 

 

 

 4. 落書き防止対策 

 

 桜ケ丘地域で落書きが最近、増えている。小田急線桜ケ丘駅東口前にあるガードレールにも見かけるようになった。防犯カメラが設置されているにもかかわらずだ。国道467号、いわゆる藤沢街道沿いでは、絵の描きぶりから実行したのは同一人物だろうと推定される落書きが複数見つかった。近くに交番があるにもかかわらずだ。

 

 移動する際、気をつけて街の風景を見ていると、色々なところに散見される。たとえば電柱、電柱についているボックス、お店のシャッター、壁、歩道橋、自治会掲示板の裏側などなど…。市役所の近くでは国道246号、大和厚木バイパスと交差する深見歩道橋にも存在する。

 

 落書きは美観を損なう。まちの価値が低下します。気分が悪くなる。落書きが多い場所は周りの監視の目が光っていないと推測されるため、ゴミも増えていく。まちが汚くなれば、犯罪は起きやすくなる。市議会でも度々指摘されているが、いわゆる「割れ窓理論」だ。割れた窓が放置されているエリアは、管理が行き届いていないと判断され、さらに地域環境や治安が悪化する。

 

 鶴間や南林間地域では、地元の方が熱心に落書きを消していった結果、大幅に改善したそうだ。実際に落書き消し作業に尽力された市民の方にも話を伺った。落書きされた民有地の所有者に消すよう依頼し、消してもらえない場合は、自分で消すこともあったそうだ。消しても同じ場所に書かれてしまうというイタチゴッコが続いたそうだが、負けずに消していくと落書きは減ったそうだ。

 

 桜ケ丘駅周辺のある薬局は、シャッターに大きく落書きされたが、シャッターを塗り直して別の絵を上に描いたことで、さすがに絵の上にはイタズラしにくいのか、落書きは止まったということだ。

 

 誰しもが訪れたことがあるであろうリゾート施設の東京ディズニーランドは、園内にゴミが全然落ちていない。ゴミが落ちていると清掃員がすぐ掃除するそうだ。「夢と魔法の国」と呼ばれる同園ならではのホスピタリティーだと思うが、綺麗な街並みならゴミは落とさない。落書きもしづらいはずだ。

 

 大和市が「美しいまち」であり続けられるよう、たゆまぬ努力が不可欠だ。負の連鎖を起こさないようにしなければならない。

 

 美しい街づくりに資する試みの一つとして、大和市ではクリーンキャンペーンを定期的に実施している。ただ、綺麗な街並みをつくるという目的を踏まえれば、ゴミを拾うだけでなく、落書きの発見作業も行えば一石二鳥となる。意識づけにもつながる。

 

 落書きについては所有者が消去するのが原則となっている。だが、ガードレールをはじめとして行政が管轄する公共物に描かれていることもある。

 

 近隣市では、横浜市が常時、市内の道路施設をパトロールし、道路の損傷や汚損だけでなく、落書きを発見した際にもできる限り消去しているということだ。

 

 その横浜市や相模原市は平成27年、落書き防止条例を施行した。落書き行為を行った者が消去の命令に従わない場合、5万円以下の罰金を課すことにしている。

 

 そこで3点伺う。

①クリーンキャンペーンの活動内容として、落書きの発見を加えられないか。

②落書きを発見するための全域的なパトロールを行うことができないか。

③落書きを防止するための条例を制定できないか。

 

■環境農政部長(一括答弁)

 本市では、快適な生活環境の実現を目指し、ごみの散乱防止を目的としたクリーンキャンペーンや、主に不法投棄防止対策としてのパトロールなどを実施するとともに、まちの美観を確保するため、自治会やボランティア団体から落書きの消去について申し出があった場合には、資材を提供するなどの準備もしている。

 

 落書きは、施設の管理者や建物所有者が適切に処理することが原則となるが、クリーンキャンペーンや日々のパトロールなどで落書きを見つけることは施設管理者や所有者に対して、適正管理を要請していく機会の一つになると思われるので、★パトロールで注視していくことに加え、クリーンキャンペーンに参加する市民の皆さんにもご協力いただくことを検討していく。

 

 また、★条例の制定については、抑止効果や実効性の確保など多くの検討課題があることから、他市の状況を参考にしながら調査研究していく。

 

 

 【意見・要望】

 答弁をいただいた。今回の質問通告の過程で、こちらが伝えた桜ケ丘駅前のガードレールの落書きは、消していただいた。地元住民の一人として素早い対応に感謝する。行政として消すことができる公共物については、今後も速やかに対応していただければ有難い。

 

 クリーンキャンペーンに落書き発見を追加することについては前向きな回答だった。条例制定については「他市の状況を参考に調査研究する」という回答だった。

 

 横浜市と相模原市に効果を問い合わせてみた。相模原市では、条例の制定前の26年度と制定後の28年度で、市内16駅の駅前の落書きが70件以上減った。横浜市では、市内の公共施設に対する落書き件数は、条例前の26年度と比べて4割も減少したということだ。条例制定自体が市民に対する啓発となり、落書きを防止する効果を発揮したとも言えそうだ。

 

 美しい街になることを望まない市民はいない。対策を強化してほしいと要望するし、我々市民も行政に頼むだけではなく、地域ぐるみで解決にあたっていくことが不可欠になる。このように考える。

 

 

5. 教育問題

 

(1)不登校

 

 教育委員会が毎月行っている定例会では、学期終了後の会合で、不登校や長期欠席、いじめなどの統計を公表している。傍聴していると、不登校や長期欠席の児童・生徒が非常に多いことに驚かされる。

 

 以前、ある中学校の女子生徒の親族から、不登校になり、教育支援教室、通称「まほろば教室」に通っている事例を直接、聞いたこともある。不登校は身近な問題だと捉える。

 

 お手元に配布している資料に、あらかじめ資料請求したデータをまとめた。平成28年度における大和市の不登校児童・生徒の出現率は小学校で0.60%、中学校で3.90%となっている。10年前と比べると、小学校は2倍に達している。中学校の出現率はおよそ25人に1人の割合だ。クラスに1人から2人はいる計算となる。

 

 折れ線グラフが示している通り、本市における不登校の出現率は近年、小中ともに増えている。神奈川県、全国ともに同様の傾向だ。残念ながら本市の出現率は、全国平均よりかなり高い傾向にある。

 

 本市の学校教育基本計画では、「不登校やいじめ問題の解消」を重点施策に掲げている。不登校の出現率については、平成30年度の目標値を小学校で0.25%、中学校で2.22%と定めている。計画では、「まずは学校に起因する事例の出現を抑えることから取り組み、30年度までに全国平均を下回ることを目指す」と明記しているが、道のりは険しそうだ。

 

 なぜ不登校になるのだろうか。理由は人それぞれだろう。ただ、全体的な傾向を見ることはできる。

 

 厚生労働省が平成27年に実施した「第14回21世紀出生児縦断調査」の結果を父母の年収総額別に見ると、「子供が学校に行きたがらない(行かない)」と回答した父母の割合は、年収200万円未満の層と年収200万円から399万円の層で、それぞれ5%近くを占めた。400万円以上の層とは倍近い開きがある。このデータからは、貧しい子供の方がいじめられ、学校に行きたがらなかったり、行かない割合が高いと読み取ることができる。いわゆる「スクールカースト」が存在する学校や学級があるのかもしれない。

 

 そこで2点伺う。

①不登校の増加やその背景をどう捉えているか。

■教育部長

 平成28年度の文部科学省による児童生徒の問題行動等調査から、本市の不登校児童生徒数は増加傾向にある。教育委員会では、同調査の結果から、増加の背景には、いじめを除く友人関係をめぐる問題や、学業の不振などの学校における要因と、子供を登校に向かわせることができないなどの家庭状況における要因があると捉えている。

 

②学校教育基本計画における目標の達成に向けてどう取り組むか。

■教育部長

 学校では、児童支援中核教諭や教育相談コーディネーターが不登校に関する校内での情報共有や支援計画づくりの中心となり、集団アセスメントテストの結果も活用するなど、あらゆる教育活動を通して、不登校をうまない魅力ある学校づくりに努めている。さらに、不登校児童生徒支援員を中心に、登校はできるが学級に入ることができない児童生徒が安心して学べる居場所づくりも進めている。また、青少年相談室のスクールソーシャルワーカーや心理カウンセラーは、学校及び福祉、医療等の関係機関と連携して、家庭にも関わりながら組織的、計画的に不登校児童生徒を支援している。教育委員会としては、今後も不登校児童生徒の状況の把握と分析に努め、粘り強い支援に取り組んでいく。

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。不登校が学校関係を原因とする場合には教員側の支援が大切になるし、家庭状況が原因なら、子供の貧困といった根本的な問題の解決も求められる。

 

 おそらくこの問題に特効薬はない。児童支援中核教諭や児童支援員を配置して支援態勢を拡充しても、出現率は近年、増加している。様々な対策を総合的に行っていかなければならない。

 

 他人と関わらなくても日常生活を送ることができる現代社会においては、引きこもっても生活が送れる。であるからこそ、私は、「学校に行かないのも選択肢」という考え方はとらない。

 

 高校はともかく小・中学校は義務教育だ。学びの場は学校だ。不登校の児童・生徒らに対しては、在籍校への復帰に向けて最大限支援するのが基本だと考える。世間では、フリースクールへの通学を促す風潮があるが、かえって不登校の児童・生徒を増やすことにつながるのではないか。多様な子供が同じ教室で学ぶ「インクルーシブ教育」こそ、求められていると考える。

 

 この定例会には、青少年センターや青少年相談室が来春、旧図書館跡地に移転するための議案も上程されている。引っ越しに伴ってスペースが広くなる「まほろば教室」が「新しい巣立ちの場」として不登校対策にますます寄与することを期待して、一般質問を終了する。ご清聴ありがとうございました。

平成30年3月議会

1.中核市への移行

 

 2月10日、地元紙の神奈川新聞1面に目を引く記事があった。中核市への移行を目指してきた小田原市が移行を断念する方針を固めたという内容だった。

 小田原市は南足柄市との合併協議を進めていたが、昨年末に頓挫。小田原市単独での中核市移行を目指したが、「行財政改革を優先させる」ことになった。他市のことながら、残念な気がした。

 大和市も小田原市と同様に施行時特例市だ。両市とも、地方分権一括法の施行に伴い、平成12年に特例市制度が始まって以来の最古参のメンバーだ。

 この制度は平成27年に廃止された。当時の特例市のうち、中核市や政令指定都市に移行していない市は、特例市としての事務を引き続き処理するとされ、施行時特例市と呼ばれている。土地区画整理組合の設立許可や、宅地造成工事の許可・規制区域指定などの権限を有している。県内では大和と小田原のほか、厚木、平塚、茅ケ崎の計5市が該当する。いずれも、位置づけは一般市だ。

 

 さて、現在、全国の市町村の数は1718ある。内訳は市が791、町が744、村が183だ。平成28年10月10日時点の数字だが、それ以降、変更はないということだ。

 

 791市のうち、20万人以上の人口を持つ自治体はどのぐらいあるのだろうか。皆さんはご存知か? 総務省に問い合わせたところ、109ということだった。

 中核市の要件である「人口20万人以上」を満たす都市は、人口で比較すると市の上位7分の1、市町村全体では16分の1に位置することになる。首都圏で暮らしているとなかなか実感がないが、全国的には、かなり大規模な都市に位置づけられる。

 「人口20万人以上」の109市の内訳は指定都市が20、この4月の移行予定も含めて中核市が53、一般市が36だ。つまり、3分の2が中核市か指定都市となり、残りの3分の1が一般市という状況だ。

 余談だが、人口が20万人を割っている施行時特例市の鳥取市が移行するので、中核市の数はこの4月には54となる。「国から地方へ」の掛け声のもと、地方分権が進んでいる。施行時特例市では、中核市に移行するケースが4割を占めている。

 

 さて、中核市に移行すると、これまで県が行っていた保健、福祉、環境など市民生活に密着した分野の事務権限が大幅に委譲される。そのメリットは何だろうか。

 

 第一に、きめ細かなサービス展開が可能になる。たとえば、社会福祉法上の地方社会福祉審議会の設置ができるようになる。地域事情に即した福祉のあり方を審議し、福祉施策に反映できるようになる。

 

 第二に、サービスが迅速化する。たとえば、身体障害者手帳は市で申請受付を行っているが、県で認定作業や手帳の作成を行ってから交付するため時間がかかる。大和市の場合、認定後、1カ月から1カ月半かかるということだが、市が一括して行えば、交付までの期間が大幅に短縮される。

 

 第三に、特色あるまちづくりを進めることができる。たとえば、屋外広告物の規制を独自に行い、個性豊かなまちづくりを進めることができる。

 

 以上は一般論としての移行メリットだが、このほか、私が考える利点は他にある。

 

 まず、「大和ブランド」の価値が高まる。特例市のことは知らなくても、中核市という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないか。仮に大和市が中核市となれば、県央地域をリードする自治体であると自認することができる。近隣市では近年、駅周辺の開発や圏央道開通、ロマンスカー停車などで海老名市が勢いを増している。大和市が県央の拠点であるとアピールすることには大きな意義がある。このように考える。

 

 また、施策を展開する上で、近隣市や県内他市の状況を参考にすることが多いかと思う。仮に大和市が中核市に移行すれば、中核市同士で比べることが増えるだろう。比較対象の水準が上がることで、本市の様々な環境整備が進みやすくなるのではないか。言うならば、「上を向いて歩こう」だ。

 大和市は「健康創造都市」を掲げている。中核市移行に合わせて保健所を設置し、保健衛生行政を総合的に一体的に行えるようになれば、成人、高齢者の健康づくりの施策を効果的に推進できるのではないか。

 そこで2点、伺う。

①中核市移行についてどう考えているか

②現在の検討状況はどうなっているか

 

■市長答弁(一括)

 平成27年4月の地方自治法改正により、中核市の指定にかかる人口要件が30万人以上から20万人以上に変更となり、中核市となる要件を本市も満たすことから、中核市制度について、継続的に調査検討を行っている。

 中核市の移行に伴い県から移譲される事務は福祉、保健衛生、都市計画、環境、教育など1800項目以上と想定しており、およそ半分が保健所に関する事務であると見込んでいる。

 中核市に移行することにより、身近で充実した保健衛生サービスの提供や、きめ細かな行政サービスの提供などが期待される一方、事務量の増加や、これに伴う職員の確保、財政負担の増大など本市の行政運営に対し大きな影響を及ぼすことが考えられる。

 移行の準備段階では、保健所の新たな施設整備や専門職の確保など、多額の費用が必要となるほか、移行後においても、主要な歳入である地方交付税の交付状況が不確定であることや、歳出面でも、現時点では見込むことが困難な経費もあることなどを考慮すると、想定される歳入を歳出が大幅に上回ると見込まれ、財政面の影響については大きな課題であると捉えている。

 

 全国施行時特例市市長会では、中核市移行に伴う財政支援を講ずることなど移行しやすい状況となるよう国に要望しているが、本市としては引き続き、様々な角度からメリットや課題についての検討を行い、移行の是非については慎重に見極める必要があると考えている。

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。中核市に移行した場合に増える事務は1800項目以上と想定され、半分が保健所関係ということだった。具体的な必要経費の総額は明示されなかったが、初期投資が多額であり、移行後もマイナスになるという答弁だった。

 

 大和市と人口規模が近く、同じ施行時特例市の茅ケ崎市の担当者に話を聞いてみた。茅ケ崎市は今年度から保健所政令市に移行し、県が行っていた保健所業務を市に移管した。当初設定した目標ではこの4月に中核市に移行するはずだったが、国の方で児童相談所の必置論が出てきたことを契機として、ストップしているそうだ。

 

 移行が容易でないことは理解する。ただ、県内における政令指定都市は横浜、川崎、相模原の3市のみで、中核市は横須賀市のみだ。大和市が中核市に移行すれば、県内5番目の位置づけとなる。シティセールスの一助ともなるだろう。

 すぐに移行が難しいとしても、本市として、まず、中核市移行に関するデータを再整理した上で、基本的な考え方をまとめた資料を公表してほしい。そのように要望する。

 

 

2.南北格差の是正 

 

 3月定例会初日となる2月22日、大木市長の施政方針演説があった。これに対する自民党・新政クラブの代表「的」質問は既に行われたので、総括的な話はここでは控える。個人的な感想としては、「中央林間がやけに登場するなぁ」という印象を受けた。配布された文書で確認したところ、固有名詞を含めて9回、言及があった。

 4月には、中央林間駅前の東急ストアに図書館や子育て支援施設、行政窓口がオープンする。8月には、旧・市営緑野住宅跡地に屋内スポーツ施設が誕生する。平成30年度は言わば、「中央林間イヤー」なので、そうなるのかもしれない。南林間の大和圃場跡地の整備事業も取り上げられていたが、北部の基盤整備が目立っている。

 

 一方、残念ながら、南部地区に関する言及は多くはなかった。下福田と渋谷の土地区画整理事業のほか、上和田地区で消防団車庫詰所の更新に向けて着手する。これぐらいだったかと思う。

 もちろん、南部地区では既に、巨費を投じて高座渋谷駅周辺を開発し、区画整理事業を行っている。IKOZAもできている。中部では一昨年秋、大和駅近くに文化創造拠点シリウスが開館した。大型の公共施設、いわゆるハコモノは、南部、中部、北部といった順番で整備が進んでいる。その点は理解するが、一抹の寂しさも覚える。

 

 さて、私は元々、南林間や中央林間といった北部で育ったが、ご縁があって桜ヶ丘、つまり南部地域に移り住んだ。同じ場所に住み続けている皆さんはあまり感じないかもしれないが、私は北部と南部の違いを感じることが多い。そういう人間だ。

 

 そんな背景事情から、この度、少子高齢化に関するデータを北部、中部、南部の地区ごとに集約して再整理をしてみた。皆様ご存知のことではあるが、人口は北部で増える一方、南部では減少傾向にある。

 

 子供の状況に目を移してみると、北部地区の北大和小学校の児童数は平成29年5月1日時点で1095人とパンク状態になっている。これに対し、南部地区の上和田小学校は304人。両校の規模の差は3.6倍に上る。過去5年間の比較でも、北部の児童数は増えているのに対し、南部の児童数は減っている。

 

 高齢化についてはどうだろうか。日常生活圏域別の高齢者等統計を見ると、3月1日現在、北部の高齢化率は21.81%だ。これに対し、南部は28.13%だ。高齢化率における南部と北部の差は、過去10年間で拡大している。この二極化を何とか食い止めなければならない。ただ、新規の基盤整備は北部に集中している。

 南部の桜ヶ丘エリアのまちづくりをめぐっては、過去に複雑な背景事情があったということだ。まちづくりを進めていく上では、県道丸子中山茅ケ崎線の拡幅工事や桜ケ丘駅の立体交差事業が先決であることは理解している。ただ、結果的にまちづくりは手つかずの状態が続いている。このままでは、北部との差が開いていくばかりだ。

 日本の総合開発計画では「国土の均衡ある発展」がキャッチフレーズとされてきた。全国的には、地方都市の基盤整備も進められているが、首都圏への人口流入が続き、一極集中の傾向がとまらない。本市も同様に、都心へのアクセスが良い北部への人口流入が進んでいる。本市の抱える構造的問題、私の言葉で言う「南北格差」は日本の縮図でもある。そのように捉える。

 

 大和市が昨年3月に策定した立地適正化計画では「南部地域に子育て世代を中心とした生産年齢人口の定住と呼び込みを促進し、地域の若返りを図る」としている。大変心強い目標だ。ただ、子育て支援施設は中央林間駅周辺に今春、オープンするものの、南部にはない。特に、桜ヶ丘の東側、上和田地区に住む皆さんからは「行政施設がないので何か作ってほしい」との要望もよく伺う。

 

 そこで4点伺う。

①南部の高齢化の背景についてどう分析しているか?

■街づくり計画部長

 市南部の高齢化率は北部に比べやや高い状況にあり、その背景としては、南部地域は都市計画法に定める住居系用途地域や市街化調整区域の割合が多く、主に若い世代が居住する一定規模以上の共同住宅や分譲の宅地開発が比較的少ないことが要因の一つであると推察する。

 

②南部において、若い世代の居住誘導をどのように進めていくか?

■街づくり計画部長

 大和市立地適正化計画では、高齢化振興地域の若返りを念頭に置いた人口誘導における地域間人口バランスの確保を基本方針の一つとしている。渋谷南部地区土地区画整理事業や、下福田土地区画整理事業により良好な住宅地を創出し、引き続き南部地域への若い世代への居住促進を図っていく。

 

③県道丸子中山茅ケ崎線(中原街道)の整備状況はどうか?

■街づくり計画部長

 道路拡幅事業に必要な用地取得率としては平成30年1月時点で約67%だ。

 

④連続立体交差事業を待たずに桜ケ丘エリアの街づくり計画を始めていくべきではないか?

■街づくり計画部長

 連続立体交差事業については、県道丸子中山茅ケ崎線の交通渋滞の解消を第一の目的として実施されるもので、立体交差方式の決定を含め、まずは県が主体となって進める事業ではあるが、地元の方々の合意形成も重要になると考えている。また、桜ヶ丘地区全体に関する街づくりについては、これまでも桜ケ丘地区街づくり市民協議会など地域と行政との意見交換の場を通じて、地域の街づくりに対する意向の把握に努めてきたところであり、今後も駅周辺だけではなく、景観の向上、防災対策等、それぞれの地区の課題を踏まえた街づくりを進めていく。

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。平成29年度の保育所等一覧をホームページで確認した。最寄り駅や保育所の定員も記してあった。最寄り駅別に分類してみた。市内の認可保育所43園のうち、北部は26園で定員は1948人。これは全体の6割を占める。一方、南部は7園で543人。わずか16%だ。保育の定員は南北で3.6倍の開きがある。

 

 もちろん人口や子供の数自体、北部の方が多い。北部では、人口増に伴う保育需要の増加が見込まれているのだろう。だが、南北の差は人口で2倍、児童数では2.6倍だ。未就学児童の数を正確に把握しているわけではないので、厳密な比較ではないが、保育定員3.6倍の開きは大きいのではないか。このように考える。

 待機児童ゼロの継続をはじめ、市として保育所を増やし、保育定員を増やしてきたことについては敬意を評するところだ。一方、南部に若い世代の居住を誘導するためにも、南部の子育て環境を充実させてほしい。そのように強く要望する。

 

 立地適正化計画における南部の2025年の中間目標は、「65歳未満人口比率」で74.3%となっている。言い換えれば、高齢化率を25.7%以下に抑える必要があるわけだ。だが、この3月時点で既に2.4ポイント上回っている。大きな変革や努力、先ほどの市長の言葉で言えば「大胆な方策」がない限り、目標達成は困難と言わざるを得ない。

 

 さて、個別具体的な話になるが、桜ヶ丘駅東口の階段を降りたところに小田急の売店があった。ここは、駅前にコンビニエンスストアができ、競合を避ける形で閉店したそうだが、その後、借り手がついていない。ここに行政施設を入居させて何とか活用できないか。

 

 たとえば、駅の近くにある連絡所を移設するのも良いかと思う。それこそ、子育て支援施設のスペースとすることもできるかもしれない。地域の方々が気軽に立ち寄れる「ぷらっと桜ヶ丘」を新設する考え方もあるだろう。一等地が空いているのはもったいないので、是非、有効活用についてご検討をお願いしたい。

 

 

 

3.野良猫対策 

 改正動物愛護管理法が平成25年9月、施行された。同法では、動物の飼い主や取扱業者に対し、動物が命を終えるまで適切に飼い続ける終生飼養の徹底を求めている。また都道府県等は、動物の引き取りを拒否できるようになった。

 軌を一にして、神奈川県では、動物保護センターに保護された犬や猫の「殺処分ゼロ」を進めている。犬については平成25年度から4年間、猫は26年度から3年間、続いている。これは都道府県の行政としては全国初めてということだ。

 猫は繁殖力が大変強い動物です。1回の出産で平均5匹の子供を産むと言われる。妊娠期間は約2カ月で、年3回以上の出産が可能だ。私も小学生の頃、一時期、野良猫を飼った経験があるが、その猫は一度に4、5匹の子供を産んでいた。そのような記憶がある。今年に入って桜ヶ丘駅の近くで、野良猫2匹が交尾している姿を目撃した。その後の動きは把握していないが、ひょっとしたら、そろそろ子猫が生まれるのかもしれない。もう生まれたのかもしれない。

 

 大和市の平成29年度版「清掃事業の概要」によると、数値は前後しますが、年間500匹程度の野良猫が路上処理、つまり死体として処理されている。

 望まれない子猫が生まれるのを防ぎ、「殺処分ゼロ」を続けていくためには、1匹でも多くの猫に不妊・去勢手術を進めていくことが有効な手段だと考えられる。近隣市では横浜市、綾瀬市、海老名市、藤沢市が野良猫の不妊・去勢手術に対する助成制度を導入している。

 お金をかけずに助成制度を導入することもできる。公益財団法人のどうぶつ基金は、猫の殺処分ゼロを目指して、全国の獣医や行政、ボランティア団体が連携したTNR活動を支援している。TNRとはTrap、Neuter、Returnの頭文字をとった言葉だ。日本語にすると、「野良猫を捕獲して不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す」という意味だ。

 

 どうぶつ基金では、TNRを推進するため、年間1万数千頭の無料不妊手術を行っている。自治体が「行政枠」を利用して申請すれば、基金がチケットを発行。ボランティア団体などがそのチケットを利用して野良猫の手術を受けさせる、という仕組みだ。

 

 そこで3点伺う。

①野良猫に対する苦情件数はどうか?

■健康福祉部長

 動物の愛護と適切な飼養については神奈川県が所管しているが、厚木保健福祉事務所大和センターによると、大和市の野良猫に対する苦情件数は平成27年度が150件、平成28年度が125件、平成29年度は2月末現在で52件となっている。なお、件数には一部、飼い猫に対する苦情も含まれている。

②平成29年度において野良猫の路上処理をした件数は?

■健康福祉部長

 平成29年度2月末現在、処理件数は435件となっている。

③どうぶつ基金を活用して避妊・去勢の助成制度を導入できないか?

■健康福祉部長

 議員ご提案の通り、野良猫を減らす手段としては、避妊・去勢手術が猫の乱繁殖を防ぐ一つの方策であると認識しているが、野良猫は飼い猫と判別がつきにくく、飼い猫と知らずに手術した場合の法的責任などの課題があるため、導入については慎重に判断していきたい。

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。飼い猫と野良猫の区別がつきづらいので、慎重に判断したい。そのような答弁だった。

 大項目1で少し触れたが、保健所政令市に移行した茅ケ崎市では、この基金を活用している。今年度は2月末時点で265匹の野良猫が去勢・避妊手術を受けたが、このうち8割にあたる219匹はチケットを使用したものだそうだ。

 この成果なのか、野良猫の死体処理も減少している。平成26年度は約450匹あったが、28年度は約300匹にまで減ったそうだ。

 茅ケ崎市では、野良猫の捕獲作業を行う際、該当地域にビラを配布して、飼い猫には首輪をつけ、外に出さないように注意喚起している。ここにビラをお持ちしたが、このようなビラを配って区別をしている。飼い猫と野良猫を間違えないように注意喚起をはかって手術をしているということだ。なので、間違えて飼い猫を捕獲して手術しないように工夫をすることはできる。そのように考える。

 今回、野良猫対策を取り上げたきっかけは、知り合いの綾瀬の市議会議員から、「猫にとって市境は関係ない。野良猫を増やさないために大和市でも対策をとってほしい」と依頼を受けたことだった。これは周辺市と歩調を合わせた方が良い問題だと考えるので、研究を重ねた上で前向きに検討していただけるよう要望する。

 

 

 

4.教育問題

(1)プログラミング教育

 一般質問の初日にも質疑があったが、私もこのテーマを取り上げたいと思う。

 

 プログラミング教育の詳細について説明は省略するが、論理的な思考力を培うことを目的に小学校で平成32年度から必修化される。

 

 1月末、ある研修会でプログラミング教育を学ぶ機会があった。話をうかがった千葉県柏市の教育委員会では、新学習指導要領の全面実施に先立って、昨年4月から市内の全小学校42校で取り組みを始めた。4年生を対象に総合的な学習の時間で2時間実施。米国のマサチューセッツ工科大学が考案した「Scratch(スクラッチ)」を教材として活用している。

 私も、この教材を使って簡単なアニメーション作成を実習してみた。難しいプログラミング言語はなく、視覚的に指示命令を下すことができる。たとえば、

 

 ずっと

   「20」歩動かす

   もし端に着いたら、跳ね返る

   回転方法を「左右のみ」にする

 

 このように、あらかじめ設定された指示命令を選んで指定の場所にドラッグしていくだけで、アニメーションがその通りに動くわけだ。

 

 一つ一つのコマンド、つまりコンピューターに対する指示命令は単一的ではあるが、別の指示を追加したり条件を組み込んだりすることで、複雑な動きが可能になる。その作業には一定の論理性が欠かせない。

 柏市北部にある田中北小学校では昭和62年度から約10年間、プログラミング言語のBASICを学習していた。柏市はプログラミング教育において全国の先駆けだということだ。

 

 私も小中学生の頃、MSXと呼ばれるホビーを主体とした廉価なパソコンで、簡単なゲームのプログラムを打ち込んで遊んだ経験がある。当時はその手のパソコン雑誌でプログラムが解説されていた。私はコマンドの意味がよく分からないながらも、夢中になって入力したものだった。

 

 さて、プログラミング教育は、教える側の先生がほぼ未経験という課題がある。新しい学習指導要領の実施に伴い、小学校では平成30年度から、つまり来月から、道徳が「特別の教科」となる。平成32年度からは5、6年生で外国語が教科化され、3、4年生では外国語活動として導入される。大和市はさらに拡充するということだ。

 

 小学校の先生は、中学校のように教科担任制ではない。原則的にすべての教科を教える。新しい取り組みは、そのまま先生の負担増大につながる。英語については、学生時代に学んでいるからまだ対応しやすいと思うが、プログラミングについてはまったく手を付けたことがない方がほとんどだ。このような状況を踏まえ、柏市教委ではICT支援員を全校に配置して、授業力の向上に努めている。そういうことだった。

 

 そこで4点、伺う。

①ICT環境の整備状況はどうか

■教育部長

 本市では平成22年度に小学校の全普通教室へ電子黒板を、平成26年度には小中学校全校にタブレット型PCを整備しており、平成29年度の時点において、児童生徒7.4人に1台、教育用コンピューターが整備されている。このことから、新学習指導要領に示された小学校段階でのプログラミング教育を実施するための環境は、本市では既に整備することができていると考えている。

 

 

②教員の研修態勢はどのような内容か

③啓発するための体験教室はどのような内容か

④将来的にプログラミングコンテストを開催してみてはどうか

■教育部長(一括答弁)

 プログラミング教育を進めていくにあたっては、まず教員への研修を重点的に行っていくことが必要であると考えている。平成32年度の小学校におけるプログラミング教育の必修化に向け、平成30年度から、小学校教員全員を対象に、プログラミング教育の趣旨を理解することを目的とした研修講座と、授業での活用のための実技研修を実施する。

 

 また、児童を対象とした体験教室としては、子供たちの興味と関心を高めるために、プログラミングソフトを活用したファーストタイムプログラミング教室を先行的に実施する。さらに、毎年、教育研究所が開催している子供科学教室においても、小型のロボットを使用したプログラミングを題材とする内容を計画している。

 

 プログラミングコンテストの実施については、子供たちへの体験教室を今後も継続し、内容のレベルアップをはかっていくなかで、その有効性等について研究していきたい。

 

【意見・要望】

 答弁をいただいた。ICT環境については整備が既に行われているという内容だった。安心した。

 今月8日、総務省が都内で開催したプログラミング教育推進事業の成果発表会に足を運んだ。先進的な事例の紹介もあった。

 

 IT先進都市を目指している愛知県豊橋市では、先進国のイスラエルで使われている教材「コードモンキー」を採用。教材を市民1000人に提供して、指導役のメンターを育成している。また、放課後子ども教室で講座を実施。イスラエルの小学生と対決するプログラミングコンテストも開いている。

 

 静岡県西伊豆町では、レゴ社製の組み立て式教育ロボットを活用している。町立賀茂小学校では今月5日、6年生が指導役となって3、4年生に教える講座を開催した。この町では「地域の力で子供を育てる」として、教員は放課後の活動に関与せず、元校長や保護者、ボランティアがプログラミング教育の指導役を務めているそうだ。

 大和市は、平成26年3月にさがみロボット産業特区に加入している。そのメリットを生かして、プログラミングを発展的に学びたい児童に対して、応えられる環境を整備してほしい。そのように要望する。

 高齢になってからプログラミング教育を始め、80歳を超えてスマートフォン向けのゲームアプリを開発した方もいる。お隣の藤沢市に住む若宮正子(わかみや・まさこ)さんは昨年、12体の雛人形を4段のひな壇に並べるゲームアプリ「hinadan(ひな壇)」を独自に製作し。ゲーム自体は、雛人形を正しく並べるというシンプルなものだが、私にはとても作れない。

 今日はその本を持ってきた。『60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。』という本だ。「歳を重ねるほど、明日は楽しい! 60代を迎えてパソコンを、80歳を超えてからプログラミングを始めたマーチャンこと、若宮正子さんのアクティブ人生論」という話だ。まだこれは読めていないが、議会が終わったら読みたいと思っている(場内笑)。

 生涯学習の時代と言われる。社会人が学び直す「リカレント教育」という言葉もよく耳にするようになった。小中学生向けの学校の授業だけでなく、高齢者や社会人向けにプログラミング教室を開くのも一案だと思う。

 柏市では昨年9月に行ったプログラミング・フェスタのなかで、親子で楽しむ教室を開催したということだった。大和市においても、たとえば、親子だけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんとお孫さんとの体験教室を開いても良いのかな。このように思う。これは三世代交流にも寄与する。是非、検討していただければと存じる。

 

 これで一般質問を終わる。大項目の2「南北格差の是正」においては、高齢化が進む南部の若返りをはかるべく論旨を展開した。ただ、誤解のないように申し上げると、高齢者が悪いわけではない。「子供叱るな、いつか来た道。年寄笑うな、いつか行く道」と昔から言われる。これから少子高齢化が進行していく中で、高齢者がワクワクと楽しめる街、老壮青がともに明るく暮らす街を創っていくことは何よりも大切だと思っている。

 

 そんな意味も込めて、若宮さんのエピソードを取り上げさせていただいた。御理解いただければと存じる。ご清聴ありがとうございました。

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