大和市議会 小田の一般質問
*本会議場での実際の質問では、私の場合はテーマごとに、まとめて質問し、行政側もまとめて答弁しています。このHPでは分かりやすさを重視して一問一答方式のように再編集し、質問の直後に答弁を記しています。なので、動画とは若干食い違う箇所があります。議事録は市議会HPの会議録でもご覧になることができます。
*市議会HPでは、過去1年分の動画を公開しています。それ以前のものは見ることができませんのでご了承ください。
令和2年12月議会
1.ネット炎上対策
新型コロナウイルス感染症の問題でインターネットの視聴時間が増えているようです。テレビ番組の視聴率の調査でおなじみのビデオリサーチ社の調べによると、全国的に緊急事態宣言が発出されていた期間に当たるゴールデンウイークの週のPCインターネット全体の推定訪問者数は2700万人台に達したそうです。訪問者1人当たりの平均滞在時間も5時間20分となり、3月と比べて1時間程度増えていました。現在は外出自粛とまではなっていませんので、当時より減っていると推測しますが、自宅にいる時間が増えて巣籠もりすれば、テレビやインターネットを視聴する時間が増えます。とりわけ他人との関わりが薄くなり、ストレス過多になりがちな昨今ですので、いわゆるネット炎上が増えてもおかしくないと考えます。
ネット炎上をはじめネット上の重大なトラブルを研究しているデジタル・クライシス総合研究所の調査によると、今年4月の炎上件数は246件で、前年同期の3.4倍に上ったということです。ネット炎上とは、荻上チキ氏によれば、ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなそうな状態を指します。ネット炎上の研究者としては、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授が著名です。山口氏の調査によると、炎上参加者の7割は男性であり、世帯年収が高いそうです。また、実は炎上に関与する人はごく一握りしかおらず、炎上参加経験者の3分の2は同じ炎上への書き込みを繰り返していたということです。
最近では、この5月、女子プロレスラーの木村花さんが自殺した痛ましい事件がありました。木村さんは恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演し、番組内の言動をめぐりSNS上で誹謗中傷が相次いだことが自殺の原因だったと見られています。自治体の炎上をめぐっては平成29年、観光客誘致を目指す宮城県が女性タレントの壇蜜さんを起用した動画広告が「卑猥」などとして批判が集まりました。鹿児島県志布志市では平成28年9月、ふるさと納税を呼びかけるため、ウナギを擬人化した水着姿の少女を起用したCMを制作しましたが、批判が集中して公開中止となりました。ただ、同年度のふるさと納税の総額は前年度の3倍に増えており、炎上商法の効果があったとの見方も出ております。
炎上はどのようにして防げばよいのでしょうか。田中辰雄慶應大学教授と先の山口氏は、『ネット炎上の研究』と題した共著の書籍において、炎上しそうな話題を避けるとよいとアドバイスしています。具体的には①政治②外交③宗教④民族⑤教育、学校⑥性別(ジェンダー)⑦地域⑧差別⑨環境⑩原発、放射能⑪喫煙⑫アイドル⑬スポーツ⑭オタクネタ―の14種類のテーマを挙げています。要は、人によって賛否が分かれたり差別につながりかねないテーマは取り扱わないということです。同書では、ネット上での議論の仕方について、悪口を書かない、上から目線を避ける、外国と日本を比較して日本を批判しない、以上の3点が大切だと注意を促しています。
とりわけ私も含めて議員は気をつけたほうがよいと思います。ただ、この教えを忠実に守っていたら、「どこどこに行きました」「何々に参加しました」「何を食べました」といった当たり障りのないこと以外は何も書き込めなくなってしまいます。議員は議員活動の一環として発信することもあります。その際には一定の配慮をしつつも、自分の考え方を明らかにすることも大切だと考えます。そうしないと、有権者はどのような議員であるか判断できないからです。
公共機関である自治体はネット上で政治的意見を表明する機会がありません。なので、政治的な投稿とは無縁かもしれませんが、その手の内容でなくても、炎上するケースはあります。たわいもないと見られる投稿でも、突如として炎上することがあります。そこで3点伺います。
(1)インターネットを使った市の広報の意義について
■大木哲市長
インターネットの普及は情報伝達に大きな変革をもたらしました。それまでの行政による広報は、市内のみ紙媒体で周知する、または報道機関を介して行っていたものが独自にいつでも配信できるようになりました。また、情報の受け手側におきましても、時間や場所を選ぶことなく受信できるようになり、市内だけでなく、国内、さらには海外へと情報が容易に伝わります。記憶に新しいところでは、全国に先駆けて実施いたしました大和市歩きスマホの防止に関する条例が世界各国のメディアに取り上げられました。
大和市ではホームページやeメール、アプリケーションソフト、SNSといった多様なインターネットメディアを活用し、一人でも多くの方に情報が届くよう努めているところでございます。本年は新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るったため、感染の予防を目的に様々な分野のICTサービスが急速に普及いたしました。多くの方にとってインターネットは重要なライフラインとなった現在、今後はこれまで以上にインターネットでの広報が重要な手段となるため、引き続き注力してまいります。
(2)ホームページの閲覧状況について
■市長室長
ホームページのトップページの閲覧状況については、平成30年度が8万7000件、令和元年度が10万8000件、そして令和2年度は上半期だけで17万1000件となっております。
(3)炎上対策について
■市長室長
大和市が運用するSNSやツイッター、LINE、ユーチューブですが、配慮に欠ける投稿や操作ミスなどが発生しないようにするため、本市情報セキュリティポリシーにのっとった運用を実施するとともに、配信に関する内規も定めております。内規の内容といたしましては、SNS内で利用できる機能への使用制限や投稿内容への配慮を規定するとともに、操作ミス等によって炎上が発生した場合においても速やかに対応ができるよう報告方法のフローも定めております。一方で、運用に瑕疵がなくともネガティブな反応が寄せられてしまうこともあれば、第三者の投稿により炎上してしまうこともあり、予測することは難しく、完全な管理はできません。不測の事態に備えながら炎上が発生しないよう引き続き努めてまいります。
【答弁後の意見要望】
答弁をいただきました。大和市のホームページのトップページの閲覧件数は、今年度は上半期の半年間だけで通年の2倍近くに達しているということです。つまり、例年の4倍のペースということで、想像以上の増加ぶりでした。市民の皆さんが新型コロナウイルス感染症に関する情報を欲している状況がうかがえます。本市のホームページを覗いてみると、新型コロナウイルス感染症の状況や対策を一覧できるページがあります。過不足なく情報を網羅していますが、味気ない見出しが羅列されていてお堅い印象を受けます。バナーやイラストを積極的に取り入れるなどして親しみやすく刷新してみてはいかがでしょうか。本題からそれますが、コロナ関連の情報のニーズは極めて高そうなので提案します。
本市においてはSNSの運用内規がきちんと整備されているということでした。一定のルールや指針がないとトラブルの元になりますし、適切に対応していると理解しました。
今回、私がこのテーマを取り上げたのはニュースキャスターの安藤優子さんが炎上したのがきっかけでした。安藤キャスターはこの8月、フジテレビ系情報番組で炎天下の観光地、京都市の現場中継をして、その際の発言や対応がパワハラと批判を浴びました。炎上問題の怖いところは飛び火をするということです。私が安藤キャスターを擁護するツイートをしたところ、私にまで火の粉が散り、プチ炎上したことがありました。ツイッターというメディアの拡散力に驚くと同時に、「怖いな」とも感じました。
ただ、ネット世論が実際の世論とどこまで同じかという議論はあると思います。アメリカの憲法学者サンスティーンは、ネット上では自分の意見と似た人ばかりと交流して、その考え方を強化しがちなので、集団極性化を促しやすいと指摘し、そのような現象を「サイバーカスケード」と名づけています。情報の選択的接触を重ねる状況が続くと、対立と分断を招きやすいということです。アメリカの大統領選挙はその最たる例でしょう。
特にSNSにおいて、ツイッターは匿名アカウントも多々ある上に、拡散力が強いです。文字数は140字以内に限られているので、丁寧な説明がしづらい特性もあります。よくも悪くも過激なコメントが拡散されやすいので、発言内容は先鋭化しがちです。
一方、ネット世論や炎上を恐れて異論を投げかけることをためらえば、言論は一方に偏ってしまいます。リスク回避の事なかれ主義は言論空間の健全性を阻んでしまいます。言うべきことは言わねばならない、これは私の信念でもあります。しつこくなってしまうので、今回は教育部に質問しませんでしたが、この問題においても情報モラル教育やメディアリテラシー教育の充実が求められると言えるでしょう。
大木市長は市役所の公式ツイッターで11月から記者会見報告を始めています。ツイッターは様々なコメントがつく可能性があります。賛成であれ反対であれ、言論の範囲内ならよいと思いますが、法律法令に違反したり誹謗中傷したり、公序良俗に反するコメントがつく可能性もあります。先ほどの答弁では、本市の歩きスマホ防止条例が外国メディアで取り上げられたことを紹介していました。ですが、逆もまた真なりです。炎上した鹿児島県志布志市の動画は外国メディアでも批判的に報じられました。十分に御留意いただければと存じます。
ということで、次の大項目はえてして炎上しやすい内容を含みますが、私としては大変大事だと考えるテーマです。
2.パートナーシップ制度
大和市パートナーシップ宣誓制度の意見公募手続、いわゆるパブリックコメントが11月下旬から始まりました。この制度は、法律上の婚姻が困難な2人が人生のパートナーであることを宣誓するものです。本市議会においては、平成30年12月定例会で導入に向けた協議の開始を求める陳情書と同時に、拙速に推進することなく慎重に検討してほしいとする陳情書もそれぞれ可決しました。私は平成30年9月定例会の一般質問で、パートナーシップ制度を導入しないよう求めました。というのは、この問題は男らしさ、女らしさをなくしていこうとするジェンダーフリー教育と表裏一体の関係にあると捉えられるからです。なので、制度導入の方針が決まったことは大変残念であるとしか言いようがありません。
令和5年度までの5年間における第3次やまと男女共同参画プランにはパートナーシップ制度への言及はありませんでした。市がプランを策定したのは昨年3月ですが、その時点ではパートナーシップ制度を導入する方針ではなかったことがうかがえます。一方、このプランでは「社会情勢の変化に応じて適宜見直しを行います」とも記しており、プランに書かれていない施策を行うこともあり得ることを示唆しています。
パートナーシップ制度の意義とは何でしょうか。この問題に詳しい早稲田大学の森山至貴准教授は『LGBTを読みとく』と題した著書でこう指摘しています。
「結婚もどきとされていたパートナーシップ制度がそれ自体意義を持つ制度として活用され得るとすれば、結婚にのみ重きを置く価値観そのものが相対化されます。結婚の価値を攪乱し転覆する可能性をパートナーシップ制度に関する議論は生み出すのです」
引用は以上です。パートナーシップ制度の導入が単に性的マイノリティーの保護のみにとどまらないことがよく分かります。本市議会で可決した一つの陳情書は婚姻と事実婚を同列に扱うことになり、婚姻制度を著しく形骸化させ、社会的混乱を招くおそれがあると指摘しています。
大変重たい意味合いを持つテーマなのに、パートナーシップ制度は条例でも予算でもないので、議会の賛成を必要としません。パートナーシップ制度の先駆けは平成27年の東京都渋谷区の同性パートナーシップ条例ですが、それ以降の多くは条例ではなく、制度として取り入れています。個人的推測になりますが、条例ではなく制度を採用している自治体が多いのは、議会における侃々諤々の議論を経ることなく、簡便にスタートできることがあるのでしょう。条例はその地域における法律という意味合いを持ちますので、同性婚を認める法律が存在していない以上、条例より制度の方がよいという考え方もあるのかもしれません。
いずれにしても、この新しい制度は大変大きな問題を内包しています。大切な事柄については議会に諮ってほしい、このように考えます。議会に諮るということは民主的プロセスである上に、議会が責任を共有し分担するということでもあるからです。逆に言えば、議会に諮られない問題は議会が責任を共有する必要もないと言えます。
さて、結婚とは何でしょうか。一言で言えば、夫婦になることです。堅い表現では「法律上正式に社会的承認を経た夫婦の関係」となります。フェミニズムの大家、上野千鶴子さんは「自分の身体の性的使用権を特定の唯一の異性に排他的に譲渡する終身的契約」という考え方を主張しています。これはドイツの哲学者カントの定義に由来しているそうです。絶対必要というわけではありませんが、結婚には、お互いに協力して共同生活するとか子供を産み育てるとか様々な役割が期待されます。お互いに一つの家族になるとも言えるでしょう。ですので、私は性的関係のみに限定する捉え方にはくみしません。ですが、一般に不倫は結婚していなければ生じませんので、フェミニストが言う狭義の捉え方も理屈としてはあるのでしょう。
我が国の憲法は第24条で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定めています。字面どおりに読めば、両性の合意、夫婦とあるので同性婚は認められないとする学説もあります。一方、憲法制定当時は戸主同士が結婚を決めていたため、面識ない人同士が結婚することもあり、それを否定するために定められたと解釈し、両性を男女に限らなくてもよいと捉える学説もあります。とはいえ、政府は現時点で同性婚には慎重な答弁をしておりますし、同性婚を認める法律は現在ありません。パートナーシップ制度は考えておくべき様々な論点があります。
本市のパートナーシップ制度の素案を読みますと、宣誓の要件は、民法上の成年、つまり、18歳に達していること、配偶者やパートナーシップ関係にある別の方がいないことなどとなっています。同性だけでなく異性間の事実婚カップルも対象ということです。ただ、素案を読んでもよく分からない点があります。そこで10点伺います。
(1)制度を導入しようとする理由は何か
(2)市議会における2つの陳情をどう捉えるか
(3)陳情後に状況の変化があったのか
■文化スポーツ部長(一括答弁)
この制度は、大和市人権指針の基本理念に基づき、当事者が感じる生活上の支障の解消や多様性を認める社会の促進につなげていくために創設するものでございます。平成30年度に市議会が採択した性的マイノリティーに関わる2件の陳情の趣旨に鑑み、これまで他の自治体の動向を注視することを含め慎重に検討を進めてまいりました。昨年度は当事者や支援者から制度の導入を求める意見が寄せられるなど、当該制度の導入をはじめLGBTなど性的マイノリティーの方々に対する社会の動きも大きく変容しているものと捉えております。
(4)制度の導入自治体件数、交付件数、返還件数は幾つか
■文化スポーツ部長
令和2年11月末時点で全国の65自治体が同様の制度を導入しております。県内では3つの政令市をはじめ本市を含めますと、令和3年4月時点においては12市町が導入する状況となっております。また、交付件数は1300件を超え、返還件数は、横浜市、川崎市ではゼロ件と公表されております。
(5)婚姻の本質は何か
(6)大和市は同性婚は認められると解釈しているか
■文化スポーツ部長(一括答弁)
婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってその効力を生ずるとされており、財産権や相続、親族の扶養義務など、当事者双方に法的な権利義務が生じるものと捉えております。同性婚につきましては、現在関連する訴訟が複数の裁判所に提起されている状況や、国会等において議論がなされていることを踏まえ、本市としてはそれらの動向を十分に注視してまいります。
(7)制度導入によって得られる便益は何か
■文化スポーツ部長
県営住宅の入居申込みが可能になるほか、入院時の病状説明、面会及び手術の同意、携帯電話会社の家族割適用、生命保険の受取人適用への活用が可能となる場合がございます。
(8)制度の利用によって姓は変わるのか
(9)パートナーが外国籍の場合、在留資格が得られるのか
(10)他市に転出した場合の受領証の効力について
■文化スポーツ部長(一括答弁)
本制度は、法的効力を有するものではないため、戸籍や在留資格に影響を与えるものではございません。なお、受領証は大和市在住においてのみ有効であり、市外へ転出する場合は受領証を返還していただくことになります。
【答弁後の意見要望】
答弁をいただきました。戸籍や在留資格に影響しないことは理解できました。その面で大きな問題は生じないでしょう。ただ、パートナーシップ制度は法律婚より緩やかな仕組みです。法律婚では法的な権利、義務が発生しますが、パートナーシップ制度はそうではありません。パートナーを解消してもバツ1、バツ2になるわけでもなく、手軽に取り消せます。パートナー解消の不都合がないということは、例えば携帯の家族割引など、何らかの便宜を受けるためにパートナーシップ関係を偽装的に結ぶ可能性もゼロではないということです。
午前中の山田議員の一般質問で、市は「当事者が職員の面前で記入することで宣誓書受領証を交付する」と説明しました。この制度は現在、得られる直接的な便益が少ないので、問題ないかもしれませんが、便益が広がれば広がるほど、不正の可能性は高まります。権利と義務は一対の関係にあります。義務が存在しない権利は制度として不安定です。その点は行政として留意しておく必要があると考えます。本市の制度に独自性はないようですし、先駆的に導入したわけでもありません。ただ、司法判断より先行しているとは言えるでしょう。
名古屋市内の男性殺害事件をめぐり、同性パートナーの男性が愛知県に遺族給付金の支給を求めた訴訟の判決がこの6月、名古屋地裁でありました。判決では、婚姻関係と同視し得るとの社会通念が形成されたとは言えないとして、原告の請求を棄却しました。現在、名古屋高裁で争われており、確定判決ではありません。ですが、判決文では「社会通念上、同性間の共同生活関係が異性間のものと同一視されているとまでは言えない」と指摘しています。このような司法判断が出ていることも一つの事実です。
現在、様々な事柄がボーダーレスになってきています。例えばメディアでは、インターネットの進展で誰でも発信できる時代となり、新聞、テレビなどのオールドメディアとネットメディアの融合が進んでいます。AI、人工知能の技術が普及すれば、人間の仕事は大幅に縮減されると予測されています。機械は徐々に人間に融合していきます。テレワークが普及すれば、仕事と休暇の境は不透明になります。男女の違いは何か、公と私の境界は何か、国民と外国人の区別は何か、市境、県境、国境とは果たして何なのか。ボーダーレス社会が極端に進めば、これらの境界という意味をも喪失させることになるでしょう。
多様性を認めることも少数者の権利保護も大事だと思います。その点に異論はありません。ただ、それが行き過ぎてしまうと、ボーダーが失われてしまうのではないか、家族や男女の在り方をも変えてしまうのではないか、そのような懸念を拭い去ることができません。この種の取り組みは社会に与える様々な影響も考慮した上で慎重に検討してほしいと要望します。
3.道路の安全対策
10月31日付の読売新聞1面記事で「危険なバス停 6県780か所 国交省初の公表 全国結果年内にも」といった見出しがついた大きな記事が目にとまりました。危険なバス停とは横断歩道や交差点の近くに設置されているバス停を指します。バスが停車した際に死角が生じて交通事故を起こしかねないため、危険性が高いとされます。
2年前の平成30年8月、横浜市内でバスを降りた小学5年の女子児童がバスの後ろから道路を横断した際、対向車線の自動車にはねられて死亡する痛ましい事故がありました。車両が大きいバスが対向車の死角になったそうです。読売新聞は危険性を問題視してキャンペーン報道を展開しています。神奈川県警が公表しているバス停留所安全対策実施状況一覧表によると、危険なバス停は県内14市町に合わせて84か所あるとされます。危険度はAからCまで3分類されています。停車した路線バスを原因とした人身事故が過去3年以内に発生したのはA判定となり、9か所あります。指定項目の合計点数が平均以上のB判定は32か所です。指定項目の合計点数が平均以下のC判定は43か所となっています。これは今年11月末時点の最新のデータです。
大和市内にも1か所B判定のバス停があります。上草柳4丁目に所在する神奈川中央交通バスの東原停留所です。地域情報紙のタウンニュースが平成30年12月に大きく取り上げていたので、御存知の方も多数いらっしゃるでしょう。このバス停の時刻表を見ると、大和駅西口駅行きのバスは平日1日当たり27本運行しています。午前6時台から午後9時台までの間、1時間当たり1本から3本走っています。周辺の住民からは危ないのではないかという声も伺います。安全対策を万全にすることが不可欠だと考えます。
さて、話は替わりますが、県道丸子中山茅ヶ崎線、いわゆる中原街道沿いに市道光ヶ丘久田線と市道久田山谷線が交差するクランク上の交差点があります。この周辺は桜丘小学校の通学路となっていますが、危険性がある場所です。住民の要望を踏まえ、市として昨年秋、交差点改良事業費に2000万円近くの補正予算を計上していただいたことには感謝を申し上げるところです。周辺住民からは完成を待ち望む声が出ています。そこで2点伺います。
(1)危険なバス停(東原)の現状について
■都市施設部長
県警察では、平成30年8月30日に横浜市で発生した横断歩道に近接したバス停での交通死亡事故を受け、同様に危険性のあるバス停84か所を公表しました。本市では上草柳の東原バス停の1か所が指定されたことから、速やかにバス停と横断歩道の手前に注意喚起の看板を設置いたしました。その後、県警察から「道路管理者である本市、バス事業者と連携して安全対策を進めたい」との要請により、昨年6月に対策会議を開催しバス停、横断歩道の移設を検討しましたが、必要な条件を満たすことができなかったため、移設に至りませんでした。そこで、現状での改善策として、県警察から本市へ「道路上に注意喚起の路面標示が行えないか」との要請があり、今年1月に横断者注意の文字をバス停付近の上下線に各1か所標示したところでございます。今後も引き続き県警察と連携してバス停付近の安全対策に努めてまいります。
(2)市道光ヶ丘久田線の道路整備状況はどうなっているか
■都市施設部長
現在、市が事業主体の光ヶ丘久田線と久田山谷線の変則交差点の改良及び光ヶ丘久田線の歩道整備については、県道丸子中山茅ヶ崎線の拡幅に合わせ県が工事を実施しており、今年度末の完成を目指しているところでございます。本市といたしましても、歩行者等の安全を確保するため、県と連携し早期完成に取り組んでまいります。
【答弁後の意見要望】
答弁をいただきました。東原バス停ですが、案内表示板の下には「お客様へ 横断歩道にバスが止まっているあいだは危ないので、道路をわたらないでください」と記した小さな看板があります。神奈川県警の資料では今年1月14日に歩行者安全対策を講じたとしています。いろいろ複雑な状況があることは私としても理解はするところです。
ただ、県内84か所のリストを見ると、大半は停留所の移設、廃止、横断歩道の移設、廃止といった対策が講じられています。これらが困難な場合には横断者注意といった路面標示などの歩行者安全対策が取られています。東原バス停のケースは、停留所や横断歩道を動かしたりすることが難しかったということです。バス停が所在するエリアは最寄りの大和駅から若干離れているので、バスの利用者も多数いらっしゃることと存じます。この場で「バス停をなくしてほしい」と要望するものではありません。ですが、周辺住民の意見要望もしっかりと聞きながら、さらに安全対策を強化してほしい、そのように要望します。
冒頭に紹介した読売新聞の記事によると、国交省は、茨城、長野など6県分のバス停名や所在地をまとめたリストを公表しています。年内にも残りの都道府県分を公表し、順次安全対策を実施するということです。国交省も危険なバス停をランクに応じてA、B、Cに3分類していますが、神奈川県警とは判定基準が異なっています。国交省の基準では、横断歩道に車体がかかるのがA判定、横断歩道の前後5メートルの範囲に車体がかかったり、交差点に車体がかかったりする場合はB判定、交差点の前後5メートルの範囲に車体がかかる場合をC判定としています。神奈川県警の判定基準は、交通量や通学路に該当するかどうかなどを加味していますが、国交省の判定基準は機械的であり、判定はより厳しめになると想定されます。
今後明らかにされるであろう国交省の調査結果では、大和市内の危険なバス停は1か所だけにとどまらず、もっと増えるかもしれません。社会問題化する可能性もあるでしょう。市内のバス停の危険性を取り除くべく十分な努力が求められます。この問題は基本的には県警とバス会社の間の話になるとは理解しますが、住民の命を預かる基礎自治体の大和市としても安全対策に万全を期してほしい、このように考えます。
中原街道沿いの変則的な交差点の工事は今年度内に終了する予定ということでした。ここに関わる市道光ヶ丘久田線をめぐっては、国道467号いわゆる藤沢街道の抜け道としてスピードを出す自動車も多く、路面標示をするなど様々な対策を取っていただいていることに感謝します。桜丘小学校に子供を通わせる保護者の一部からは、通学時間帯の安全確保に向けて様々な声が出ております。さらなる善処をしていただけるように要望します。
桜ヶ丘エリアでは境川沿い西側の道路、市道大塚戸桜山線で自動車がスピードを出して危ないという声を周辺住民から伺います。平成29年11月には県道丸子中山茅ヶ崎線と交差する新道大橋交差点で死亡ひき逃げ事故も発生しました。速度規制の標識や標示を増やすことをはじめ、安全対策のさらなる強化を県警に働きかけていただきたい、このように要望します。
最後に一言申し上げます。今年は「コロナ、コロナ」の1年間でしたが、来年は東京オリンピック・パラリンピックという明るいイベントも行われる予定となっております。感染症の問題がいち早く収束し、笑顔あふれる元の日常が一日も早く戻ってくることを切に願っています。市としても感染症対策に注力しつつも、社会経済を正常に回すことを心がけていただきたい。このように要望させていただき、一般質問を終わります。
令和3年3月議会
1.コロナ禍の検証
(1)基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症の問題が終わりを見せません。コロナ禍の起点がどこなのかは判然としませんが、小中高の一斉休業によって国内の雰囲気は一気に緊迫しました。スタートは昨年3月2日のことでしたが、それから1年余が経過しました。今回の一般質問では、コロナ禍やその対応について私なりに検証を試みたく存じます。
<市内の感染状況>
新型コロナをめぐっては様々なデータが発表されており、大和市でも広報や啓発ビラ等で感染者、これは検査陽性者のことだと理解しますが、その数などを周知しています。『広報やまと』の3月1日号では月別感染者数、年代別感染者数、症状別感染者数、症状別感染者割合を掲載しています。大和市では1月に795人が感染。年代別では20歳代が23.8%と4分の1を占めています。感染者のうち中等症以上が占める割合は4.3%にとどまっており、ほとんどは軽症か無症状であります。
産経新聞では、土曜日付の地方版で神奈川県内の感染者数と死者数を市町村ごとにまとめた一覧表を掲載しています。13日付紙面によると、大和市では1370人が感染しており、人口当たりの感染率は0.57%です。175人に1人程度が感染していることになります。一方、市内の死者は21人です。人口当たりの死亡率は0.0087%。1万1000人に1人がお亡くなりになっている計算です。
この新聞報道から、大和市の感染率や死亡率を県内の他の自治体と比べてみます。大和市の感染率は綾瀬市、愛川町、川崎市に次いで4番目に高いです。人口当たりの死亡率では海老名市、横須賀市、愛川町、横浜市、川崎市に次いで6番目です。本市はいずれも、県内比較において高水準にあります。
<財政への影響>
2回目となる緊急事態宣言が1月8日に発令されてから本日で68日目となります。21日に解除されるのか再々延長されるのか。判断が注目されます。緊急事態宣言は感染症の拡大を抑えるための措置ですが、国家財政も緊急事態です。
お手元に図表を示していますが、政府は今年度3回にわたる補正予算を組みました。それによって一般会計予算は175.7兆円に膨らみました。国債の新規発行額はなんと112.6兆円です。近年の発行額のおよそ3倍です。東日本大震災における復旧・復興費用では特別会計が設けられましたが、10年間の累計は約38兆円です。コロナで大変だからということで、わずか1年間で震災復興費用の3倍もの借金を背負ったわけです。感染症対策や経済被害を食い止める財政支援策はもちろん必要ですが、それにしても巨額過ぎると考えます。財政規律は大幅に緩んでいます。
コロナ禍は自治体財政にも影響を及ぼしています。大和市の今年度の一般会計予算は2月補正の段階で1067億円に膨らんでいます。年度当初より300億円近く増えていますが、その大半は、国民全員に一律10万円を支給したことの費用です。これは全額国庫補助金なので市の財政が直接痛んだわけではありませんが、その額の大きさに驚かされるばかりです。
大和市の来年度の一般会計予算案では、コロナの影響もあって市債の発行額が75億円となりました。前年度より4割も増えています。コロナ禍は歳出圧力を生みがちですが、結局は将来世代にツケを回すことにつながります。注意を十分に払わなければなりません。
<私権制限>
自由や私権に関する問題も重要です。改正された新型インフルエンザ対策等特別措置法が2月13日から施行され、同法45条2項に基づき、営業時間短縮要請や命令に応じない飲食店に対して過料を科すことができるようになりました。神奈川県は2月26日、3月2日、3月4日、3月12日の4回にわたって計98店に時短要請を求める文書送付しました。その中には大和駅周辺のお店も1店含まれています。
飲食店などに対する時間短縮の命令は、憲法22条の「職業選択の自由」に含まれるであろう営業の自由、憲法29条にある財産権の保障を侵害するという指摘もあります。そのようななか、法改正が正当化されたのは、憲法が定める「公共の福祉」という概念です。憲法12条では「基本的人権は濫用してはならず、公共の福祉のために利用する責任を負う」としています。
一方、これが拡大解釈されれば、個人の自由は著しく損なわれてしまいます。このため、特措法は第5条で「国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、その制限は必要最小限のものでなければならない」としています。
カナダのマギル大学教授の広瀬巌さんは著書『パンデミックの倫理学』において、「不安や恐怖から基本的権利や自由の制約をたやすく認めてしまう空気を社会に作り上げてはならない」と指摘しています。私も同じように考えます。私権の制限は必要最小限でなければなりません。
現在、緊急事態宣言が再延長されておりますが、解除された後にまん延防止等重点措置に移行する可能性があります。まん延防止措置は「プチ緊急事態宣言」と言えます。この措置に移行した場合、政府は都道府県の対象を指定。知事は市町村などの特定の地域を限定することができます。
神奈川県がまん延防止措置の対象となり、黒岩知事がそのなかで感染率が高い地域を限定的に指定することも理屈上は考えられるわけです。大和市は感染率が高いので、対象となることがあるかもしれません。実際にどうなるのかはわかりませんが、少なくとも頭の体操はしておいた方が良いと考えます。
<一斉臨時休業>
コロナ禍では、当時の安倍総理が昨年2月27日、政府対策本部の席上で全国の小中学校、高校、特別支援学校の一斉休業を要請しました。側近の補佐官の発案だったそうですが、突然のことで現場は混乱をしました。
いわゆる「一斉休校」について、国民の緊張感を高める具体的な契機となったと評価する声もあります。一方、新型コロナは当初から、子供や若者が重症化するリスクは低いと分析されていました。現段階でも子供の死亡例は確認されていません。
学校保健安全法の第20条によると、感染症予防で臨時休業を行うことができるのは学校の設置者です。総理大臣や文部科学省のいずれも公立学校を一斉に休業させる法的な権限を有していません。一斉休業のプロセスが適正だったかどうかは確認しておく必要があると考えます。
(2)市内の状況
ここでは感染状況だけでなく、コロナ禍がもたらした他の状況についても確認していきます。
民間信用調査会社、東京商工リサーチによると、新型コロナの関連倒産は2月26日時点で全国で累計1108件に上っています。ただ、企業倒産の件数そのものは、昨年は8000件を下回っており、30年ぶりの少なさです。政府が持続化給付金などで支援策を講じているため、企業の延命につながっていると考えられます。
とはいえ、帝国データバンクによると、本市の中央林間に所在する化粧品製造販売業者「コスメティック・アイーダ」は2月2日、東京地裁に自己破産を申請して保全管理命令を受けました。負債総額は約26億円。コロナ関連倒産では神奈川県内最大ということです。マスク着用を余儀なくされているため、化粧品の需要は低迷をしています。そんな状況が追い打ちをかけたのかもしれません。
外出が抑制されれば交通機関の利用も減ります。タクシー業界は売り上げが減り、感染対策の費用もかさんでいます。朝日新聞の今月6日付地方版によると、大和市内のタクシー会社1社が廃業したということです。
大和商工会議所が今年1月、会員事業者に実施した4回目の影響調査によると、回答者の6割強が、コロナ禍による具体的なマイナスの影響として「製品・サービスの売上減少」を挙げました。「国内の取引や商談の減少」「イベントの中止・延期」もそれぞれ4割近くに上っています。
経済活動と感染症対策のバランスについては、「経済活動」の優先を求める回答が49%と半数を占めました。「感染拡大防止」を優先するよう求める意見は、わずか14%にとどまっています。自由回答では「不十分な情報のもとに不安を煽るだけでは状況は改善しない」といった意見が目にとまりました。
<感染症対策がもたらすリスク>
過去の一般質問でも申しましたが、感染症対策がもたらす負の側面についてもきちんと手当をしなければなりません。大木市長は施政方針のなかで少子化の問題や自殺者の増加についても言及をしていました。これに関し、市内の状況の詳細なデータについて確認したいと思います。また、外出自粛や飲食店などの時間短縮によって、街の賑わいが失われております。今年に入ってから2回目となる緊急事態宣言は、1回目よりはかなり緩やかではありますが、それでも一定の影響は否めないでしょう。
そこで10問質問します。
<コロナ禍全般>
■市長
私からははじめに、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応について総括的にお答えいたします。この新型コロナウイルス感染症については私たちがこれまで経験したことがないような世界的な大流行、パンデミックであり、昨年1月以来この1年余り、我が国日本のみならず、世界各国においても試行錯誤しながらそれぞれ様々な取り組みが進められてきているものと認識しております。
この感染症への対策は、我が国においては国や県、そして市とそれぞれのレベルでそれぞれの役割があると捉えており、法令等に基づいて中心的な役割を担っている国や県と異なり、本市の役割は極めて限定的でございます。
昨年来1年以上にわたって続いているこの度のコロナ禍は、本県を含めた1都3県が今もなお緊急事態宣言下にあり、現在、新規感染者の下げ止まりが指摘されているほか、リバウンドへの懸念、国内における変異株による陽性者の発生なども報じられており、依然として安心できる状況にはございません。
このような状況下におきましては、これまでの本市としての新型コロナへの対応を評価するという段階にはないものと考えておりますが、ただ一つ言えることは、本市の役割が限られているなかにあっても、この間、私は市民のために必要なことは何か市民のために何ができるか常に考え、スピード感をもって実行に移してまいりました。
これまで実行してきた具体的な事業としては、次亜塩素酸の配布、おもいやりマスク着用条例の制定、相談窓口あるいは相談ダイヤルの設置、医師会や歯科医師会と協力しながらPCR検査体制の確保、季節性インフルエンザ予防接種の無料化・無償化、介護事業者等に対するPCR検査費用助成、市の融資制度を利用する際の事業者への補助金の拡充、大和市新型コロナウイルス感染症拡大防止及び雇用維持給付金の支給、市内商店等支援のためのプレミアム商品券の発行、ひとり親世帯に対する大和市独自の支援策である2度にわたる臨時特別給付金の支給、外出の自粛が求められるなか誰もが誰でも気軽にかけられる専用窓口「ちょっと話なそうもしもし電話」の開設。これら以外にも新型ウイルス感染症の対策としてこれまでさまざまな施策を実行に移してまいりました。
まもなく新型コロナのワクチン接種が始まろうとしているなかで、ワクチンの供給時期なども明確ではないなかにあっても、いかに市民の皆様にワクチンを接種いただくのかが最善となるのかを念頭に置きつつ、今後も、市民の皆様にもっとも身近な基礎自治体として最大限の取り組みを積極的に進める所存でございます。
(1)基本的な考え方
①市内の感染症発生状況の評価は
■健康福祉部長
本市の感染者数については人口当たりでみますと県内でも比較的多い状況となっており、理由としては本市の人口密度が県内で2番目に高いことや3つの鉄道路線が乗り入れており、交通利便性が高いことなどの要因が考えられるものの、確たることを申し上げることは難しいと考えております。
②来年度予算編成に与えた影響は
■市長
例年、予算編成は新年度の歳入見込みを立てた上でスタートしますが、今回はコロナ禍により、社会や経済の状況が大きく変化する中にあって、あらかじめ市税などを含む歳入全体の規模を把握することも難しくなりました。
このため、歳出予算における事業を3つに区分することとし、義務的経費、準義務的経費につきましては予算編成の早い時期に審査を行い、政策的経費についてはマイナスシーリングの対象とした上で、市税収入の状況等を見極めながら、本年1月末にかけて審査を行うことで令和3年度の予算案をとりまとめたところでございます。
新型コロナウイルス感染症の影響により当面は本市においても厳しい財政運営を強いられることになりますが健全財政をしっかり維持していくという強い覚悟を持って今後も臨んでまいります。
最後に一言述べさせていただきます。質問のトーンとは異なりますが、小田議員が冒頭仰っていた神奈川県内の感染者数ですが、まさに核心をついているということが言えると思います。それは何か。人口密度です。
神奈川県内でご存知のように人口密度が多いのはどこでしょう。川崎です。2番目はどこでしょう。この大和市です。それでは全国の都道府県のなかで最も人口密度が高い自治体はどこでしょう。東京です。本来であれば東京の人口は我が国の人口の約1割です。しかし感染者数は3割を超えています。いかにこの人口密度が、陽性者数のいわゆる感染者数をはかる基準において、一つの大きなポイントになってくるのではないかなと私は思います。
③私権制限に対する考え方は
■健康福祉部長
新型コロナウイルス感染症の罹患者や事業者に対する様々な制限や制約は、感染拡大やまん延防止のため、法令により都道府県が要請や命令等の措置を実施することとなっております。これらの制限等については、感染拡大防止のためにやむなく制限する場合もある一方、市民のみならず国民全体の生活にも大きな影響を与えることから、その運用は慎重かつ適切に行われるべきものと捉えております。
④市立小中学校において一斉臨時休業に応じた経緯と理由について
■教育部長
当初、新型コロナウイルスについて感染経路や治療方法について不明な点も多く、未知なるものへの不安やおそれがあり、昨年2月27日の内閣総理大臣からの要請を受けた時点において、感染の流行を早期に収束させるために極めて重要な時期であると捉えました。
新型コロナウイルスの流行は危機管理上の問題であると認識し、要請を受けてから休業までのわずかな期間のなかで、教育委員のご意見をいただきながら子供たちの健康、安全、安心を第一に考え、子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクの観点から、一斉休業とすることを決定いたしました。
(2)市内の状況
①市内で発生したクラスターの件数、個所数は
■健康福祉部長
市内ではこれまでにも高齢者施設などでクラスターが発生したことが報じられておりますが、クラスターに関する情報は感染症法により都道府県が把握するものとなっており、神奈川県より本市への情報提供はないことから、報道以上に情報については知り得ないものとなっております。
②学校や病院も含む市職員の感染者数は
■健康福祉部長
職員の感染者数は本年2月末までの累計で23人となっております。
③市内経済の現状認識について
■市民経済部長
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国内の経済は大きな打撃を受けており、本市におきましても多くの事業者に影響が生じていることを認識しており、今後、ワクチン接種が進んでいくとは思いますが、まだまだ不透明な状況が続いていくものと捉えております。
そのような中で、本市では昨年の3月、まだ緊急事態宣言が発令される前の時点で、事業者向け支援策の第1弾として、市の融資制度を利用する際の補助金の拡充を開始いたしました。また、大和の雇用を守るとともに、感染拡大の防止をはかることを目的とした「大和市新型コロナウイルス感染症拡大防止及び雇用維持給付金」の支給を始めるとともに、相談体制の充実、国や神奈川県が行う経済対策の広報周知等を積極的に行ってまいりました。
そして、地域経済の活性化、地元消費の拡大をはかることを目的として、過去最大となるプレミアム率30%をつけた商品券発行事業を実施し、募集を上回る多くの方から申し込みをいただくなど、市内事業者への大きな支援につながったものと捉えております。
さらには、今後も引き続き感染対策の徹底が求められていくことが予想される市内飲食店に対して、デリバリーの強化というコロナ禍に対応したビジネスモデルへのチャレンジを後押しするために、来年度から新たに支援事業も始めていく予定でございます。
今後につきましても、まだまだ不安定な状況が続いていくと思いますが、引き続き全力で取り組んでまいります。
④妊娠届出数の近年の推移について
■こども部長
過去5年間における1月から12月までの妊娠届出数は平成28年2152件、平成29年2143件、平成30年2030件、令和元年1876件、令和2年1872件となっており、減少傾向にございます。
直近である昨年の届出状況でございますが、1月から3月までの届出数は対前年比10.1%の増加がみられましたが、緊急事態宣言が発出された4月から12月までは3.7%減少しております。
⑤自殺者の近年の推移について
■健康福祉部長
警察庁自殺統計に基づく過去5年間の本市自殺者数は平成28年が38人、平成29年が42人、平成30年が31人、令和元年が32人、令和2年の速報値が38人でございます。
⑥昨年のシリウスの来館者数は
■文化スポーツ部長
昨年1月から12月のシリウス来館者数は途中休館していた期間もあることなどから途中、月により数値が大きく異なりますが、年間の合計139万5272人、前年に比べ56.8%の減少となっております。
【答弁後の意見要望】
答弁をいただきました。市長からは「まだ対応を評価する段階にはない」ということでしたが、質問には丁寧にご答弁をいただきました。市長からは人口密度がポイントになるということでしたけれども、私もその点は結構あるのかな、と感じます。
予算編成に与えた影響では、「感染症の影響で当面は厳しい財政運営が続く」ということでした。財政健全化の視点を持って是非取り組んでいただきたいと存じます。
大和市における人口あたりの感染率や死亡率がなぜ高いのでしょうか。自分なりに考えました。感染経路をたどらないと正確には分かりませんが、東京や横浜に通勤する方が多いベッドタウンであることもあるかもしれません。
一方、感染率が高い上位5自治体をみてみると、いずれも人口に占める外国人の割合が高いことが共通しています。人口が少ない町村は誤差が出やすいので、県内19市に限定して、感染率と外国人比率の相関関係を分析すると、相関係数は0.655でした。この数値は統計学的には「中程度の正の相関」があるとみなされます。相関関係がすなわちイコール因果関係ではありませんが、他県の状況も把握しないと確かなことは言えません。ですが、詳しく調べてみる価値はありそうです。
先に述べたように、コロナ禍が国民生活を大きく一変させた起点は、小中学校の一斉休業でありました。これに関し、長野県松本市教委では臨時教育委員会の会議録をホームページ上で公開しています。読んでみると、教育委員の間で侃々諤々のやり取りがなされたことが分かります。大和市の教育委員会では定例の教育委員会会議の議事録を公開しています。ただ、市内全校を臨時休業するという重大な判断を下した肝心な臨時会議については内容が公開されていません。
地方自治の原点は自分たちで決めることだと考えます。自ら治めるから「自治」と書きます。時と場合によっては、国や県と異なる判断があって然るべきだと捉えます。この点は再認識する必要があると存じますし、意思決定のプロセスも公開してほしい。このように要望いたします。
妊娠届出数については近年、減少傾向にあるものの、昨年は横ばいでした。本市において、コロナの影響が直撃したわけではなさそうですけれども、全国的には今年、出生数が大幅に減るのではないか?と見込まれています。少子化対策は重要性を一層増すことでありましょう。
私はこの2カ月間、インターンの大学生を受け入れているのですが、学生さんから少子化対策の一つの案として、「育児休業取得の義務化」といったアイデアが出されました。私は平成28年3月議会で「イクメン・イクボスの普及」を提言したことがありますが、素晴らしい案だと捉えました。とりわけ男性は育休を取りづらい傾向にあります。義務化してしまえば、男性も育児参画しやすい社会が一気に進みます。市でも検討してみてはいかがでしょうか。自分は若者のつもりのオジサンでありますけれども、若者の意見を代弁して提案いたします。
さて、報道も出ていますが、厚生労働省が2月22日に発表した人口動態統計速報によると、昨年の死者数は138万4544人で、前年よりも9373人減りました。これは速報値なので死亡した原因の内訳を示すデータはまだありません。ただ、昨年9月までの分については、既に発表されています。肺炎やインフルエンザなどの呼吸器系疾患が1万6000人減少しています。新型コロナウイルス感染症に対する対策が奏功したとみられています。
高齢化が進む我が国では、毎年2万人程度、死者が増え続けています。死者が減少したのは11年ぶりということです。感染症の分野では、例年死亡するであろう推計値と実際の死者を比べた超過死亡という概念があります。通常なら死者が前年より2万人増えるところ、1万人弱減ったわけですから、超過死亡の概念では、3万人ほどマイナスだったと言えます。
何かすごく怖い感染症が流行しているかのように思いがちですが、少なくとも日本においては、当初懸念されたほど深刻な被害とはなっていません。感染症対策が成功しているのか、日本人に「ファクターX」があるのかどうかはわかりません。ただ、検査をむやみやたらに拡大せずに医療崩壊を避けられたことは大きかったと捉えています。
今の世の中全体に言えることですが、私は現在行われている様々な対策は過剰なところがあるのではないかと捉えています。適度な感染症対策は行いつつも、元の日常に戻すことの重要性をかねてより訴えてまいりました。まだ少数派のようですが、このような考え方が浸透して多数派となり、コロナに慣れていかない限り、ウィズコロナは実現できませんし、コロナ禍は収束しません。このように確信しております。
(3)市の対応
お手元の資料に、コロナ禍をめぐる動きや大和市の主な対応をまとめました。詳細はご覧になっていただければと存じます。先ほど市長からご説明もありました。
大和市は、全般的にはスピーディーに対応していたと捉えます。その点は率直に評価できると思いますし、これまでの様々な労苦そしてアイデア、対策に敬意を表するところです。
市が様々な対策を打ち出すのは良いとは思いますが、その結果がどうだったのかもきちんと把握しておかなければなりません。不備があれば改善を促さなければなりません。そこで、市の主な対応をピックアップして成果を確認していきたいと思います。
私は過剰自粛や過剰な対策については反対の立場です。本市の小中学校の各学習机に置かれているパーテーションは、私は過剰なのではないかと考えています。ご案内のように子供の重症化リスクはほとんどありません。また、話を聞いた小学生が言うには、そもそも給食時には、会話をしない「黙食」が求められています。飛沫は飛びません。黒板に向かって座って食べているので子供同士が対面してもいません。授業で発言するときには起立します。パーテーションを飛沫が飛び越える可能性があるわけです。パーテーションに意味があるのでしょうか。
(4)今後
本定例会には引地台温水プールなどを1年間休館する条例改正案がかかっています。既に環境建設常任委員会は通過しましたが、私は大変残念というか違和感を感じているところです。緊急事態宣言が発令されている現在は開いているのに、解除されている可能性が高い来月から1年間閉じてしまうわけです。
プールの指定管理者は大和市スポーツ・よか・みどり財団です。先の12月議会を経て、5年間の契約が更新されました。財団の調べによれば、1年間という長期にわたって休館予定の公営プールは県内では確認されていないそうです。私が調べたわけではありませんが、1年休館は全国的にも異例の対応ではないか。このように推測いたします。
まず、プールは感染リスクが高いとは言えないと思います。このプールで感染は確認されていませんし、塩素があり湿気もあるわけですから、感染リスクが高くはないのではないでしょうか。更衣室はリスクがあると考えられますが、万全の注意を払えばよいのではないでしょうか。
プールやスイミングは感染リスクが高いという風評被害を招きかねません。年間17万人の利用者は行き場を失ってしまいます。仮に再開しても、1年間閉じるわけですから、利用者がどれだけ戻ってくるのかどうか。財団のパートの7人は全員解雇される見込みとなっています。何よりも、他のイベント等に対して「コロナだからやめた方が良い」と委縮効果を生んでしまうのではないか。私はそのように懸念します。
「コロナと戦う『お店』を応援しよう!」と題した横断幕が、大和スポーツセンターに掲げられています。私は「コロナとの戦い」には2通りの意味があると考えます。一つは感染症拡大の抑制。もう一つは、コロナ禍でも社会経済を回し、元の日常を取り戻していくことでございます。とりわけ後者は重要だと思います。
そこで14問質問します。
(3)市の対応
①次亜塩素酸水の配布期間、配布総量と生成機器の現在の活用について
■総務部長
次亜塩素酸水は令和2年2月28日から令和3年3月1日まで市内公共施設等に1万9155.9リットルを配布しており、現在も各施設の物品等の除菌用として必要な量の生成、配布を継続しております。また、市内在住者につきましては令和2年3月27日から6月30日までの96日間、のべ14万3215人、合計7万1607.5リットル配布いたしました。
②医師会、歯科医師会と連携したPCR検査の実施件数や陽性者数は
■健康福祉部長
大和市医師会によれば、「2月末時点で検査数は累計1380人、うち陽性者は80人である」とのことでございます。
③おもいやりマスク着用条例制定の効果は
■健康福祉部長
条例の制定については、全国各紙の新聞やテレビなどで取り上げられたこともあり、市民の認知度がかなり高いものと捉えており、またWHO(世界保健機関)においても公共の場でのマスクを推奨する形に方針を転換したことからすると、条例制定の意義は大いにあったものと捉えております。条例制定の効果を明確に示すことは難しいところではありますが、今では全国的、世界的に当然のことと思われているマスク着用の重要性を全国の自治体で初めて条例として定めたことは、感染拡大防止に寄与するものと考えております。
④新型コロナウイルス感染症拡大防止および雇用維持給付金の申請件数と実績について
■市民経済部長
この給付金は新型コロナウイルス感染症の拡大防止と市民の雇用維持を目的として、神奈川県からの協力要請に基づく協力金を受けた市内事業者を対象に、基本額として20万円、国の雇用調整助成金を受けた場合には30万円を加算して、合計で50万円の支給を行いました。
申請件数といたしましては1122件ございましたが、神奈川県の協力金が支給されていないことや、そもそも市内で事業を行っていないなどの理由により、実績としては1015件の支給を行いました。支給の内訳といたしましては50万円の支給が133件、20万円の支給が882件となります。
⑤市立病院のコロナ病床数とその占床率について
■病院事務局長
当院では現在、成人コロナ患者等の受け入れ病床として14床を、小児及び妊産婦の受け入れ病床として4床を確保しております。成人コロナ患者等の受け入れ病床に関しまして、令和2年度2月までの平均占床率は66.2%となります。なお、感染者が急増した令和2年12月から令和3年1月までの平均占床率は84.6%となっております。
⑥市立病院に対する感染症対策寄付金制度の件数や総額は
■病院事務局長
寄附金の受付を始めた令和2年7月から令和3年2月までの実績は461件、約1885万円となっております。
⑦オンライン診療の実績は
■病院事務局長
当院では、コロナ禍において症状の安定している患者さんが来院せずにかかりつけ薬局等にて薬を受け取れるよう、電話診療により処方箋を発行し、薬局へFAX送信する対応を令和2年5月から実施しており、令和3年2月までの実績は270件となっております。
⑧一斉臨時休業による学習の遅れへの対応について
■教育部長
教育委員会としては年度内に学習内容が履修できるよう、学校と協力して教科の年間計画モデルを作成し、夏休みの短縮や行事の精選を行い、授業時数を確保して学習内容の重点化をはかりました。登校再開後、見直した年間計画に沿って学習を進めることで、2月末日の時点において、順調に教育課程を進めることができております。
⑨一斉臨時休業中の読書支援の貸出実績について
■教育部長
休業期間中においても、子供たちが読書に親しむことができる機会となるよう、シリウスや学校図書館の蔵書の貸し出しについての周知をHPやPSメール等で行いました。子供たちが本を選び、課題提出日やポスティングを利用して本を手に取り、4月から6月までの期間で1万4000冊を超える本の貸出を行い、子供たちの読書支援を行いました。
⑩学校における1人1台端末の活用状況について
■教育部長
小学校では学習支援アプリケーションを活用して児童1人1人が自分の考えをまとめたカードを教員が電子黒板に表示して比較したり、児童同士が端末上で情報のやりとりをしながら問題の解き方を話し合うなどの学習をしております。中学校では生徒が端末を通して、個々に配布された課題に回答して提出したり、自席で端末を用いてプレゼンテーション資料を作成するなど、小学校・中学校ともにいままでにない新たな学びのスタイルとして各教科の学習に端末を活用しております。
⑪教室内の飛沫防止パーテーションの設置について
■教育部長
飛沫防止パーテーションは、新型コロナウイルス感染症感染防止への基本的取り組みとして、飛沫拡大防止の効果が期待できるものであり、設置以降、濃厚接触を避けるためにも有効に活用されております。パーテーションの使用は、感染不安を抱える子供たちに対して、安心して学校生活を送ることができる環境の一つであると認識しており、今後も現在の感染状況が続く限り、有効に活用してまいります。
(4)今後
①市内イベントの開催の判断について
③公共施設開館の考え方について
■健康福祉部長(一括答弁)
本市が主催する各種事業や、指定管理者、実行委員会などが実施する事業につきましては、市内の感染状況や事業への参加人数、事業の内容等により、それぞれの主催者等が適宜判断しているものであり、同様に公共施設の開館についても、施設の規模や種類等それぞれの状況に応じて決められております。
本市といたしましては引き続き感染状況を注視し、感染予防の徹底をはかりながら、市民の皆様が安心かつ安全に事業への参加や施設を利用できる環境を整えてまいります。
②市民まつり等大規模イベントの開催予定について
■文化スポーツ部長
今年5月の大和市民まつりにつきましては、同まつりを主催する実行委員会において、感染拡大防止等の観点から、やむなく開催を中止とすることが3月8日に決定されました。その上で、「市民の皆様に少しでもまつりの雰囲気を感じていただきたい」との思いから、ホームページを活用した代替企画の実施を検討すると聞いております。
その他の大規模イベントの状況といたしましては、高座渋谷千本桜、桜ヶ丘さくらまつりと、春の中央林間手づくりマルシェは中止。神奈川やまと古民具骨董市は今後の感染症の推移等を見定め、再開時期を決定するとの報告を受けております。神奈川大和阿波おどり、西口風鈴まつり、渋谷よさこいにつきましては、現時点では中止・延期等の報告は受けておりません。
【答弁後の意見要望】
答弁をいただきました。教育関係では、読書支援の貸出実績は1万4000冊を超えるということでした。読書は知識を得るだけではなく、自ら思考する作業の基盤を培うことにもつながります。とても有意義な取り組みだと捉えております。
一斉休業に伴う学習の遅れをめぐっては、夏休みの短縮やイベントに充てる時間が減ったことで後れを取り戻したということでした。ただ、標準授業時数をきちんと確保できたかどうかについては今後、ちゃんと検証していく必要があるのではないかと考えております。
学校の教室内のパーテーションは有効に活用していくという回答でございました。ですが、私はこの状態を続けるべきではない、と考えております。人と人とが距離をとって隔絶するのが当たり前の環境で育った子供たちは、どんな大人になるのでしょうか。コミュニケーション能力に悪影響を与えることも懸念されます。
本日午前に配信されたニュースでは、昨年の小中高生の自殺者は過去最多の499人に上ったということです。子供たちのメンタルケアは重要性を増しています。パーテーションが自殺を誘発するわけではありませんが、人と人との関係をさえぎる象徴のように私には見受けられます。
呼吸器系ウイルス感染症が専門であり、国立病院機構、仙台医療センターウイルスセンター長を務める西村秀一さんの『新型コロナ「正しく恐れる」』という本を読みました。同書では、過剰な対策の一例として、「パーテーションで囲われたおしゃべりなしの給食」を取り上げています。西村さんは、受付等にある形ばかりのパーテーション、飲食店の対面着座の禁止、屋外でのマスク着用、学校や公園の遊具の使用禁止などについても、効果を疑問視しています。
厚木市議会では昨年9月議会で議場にパーテーションを導入したものの、議員の提案や感染症の専門家の助言を受けて翌月に撤去した。このように聞き及んでいます。教室内のパーテーションについて再考を強く求めます。
マスクについては喘息等のお子さんは、息苦しくなる方もいらっしゃいます。学校現場におかれましては、一定の配慮を要望するところです。
病床数についてですが、コロナ自粛が求められている主な理由としては、病床逼迫に伴う医療崩壊防止があります。一方、東京都の重症病床利用率をめぐっては算出の根拠が杜撰だったことが最近、報じられました。私は怒り心頭であります。
市立病院はコロナの中等症患者のために計18床を確保しているということです。一般病床数403の4.5%を占めています。医療資源の適正水準を決めるのは県や国だとは理解しますが、県とも適切に連携をとっていただければと存じます。
最後に、私は、コロナ禍を引き起こしているのは「空気」ではないか。このように考えております。評論家の山本七平は有名な著書『空気の研究』で、「『空気』とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。統計も資料も分析も、科学的手段や論理的論証も一切は無駄。『空気』の正体を把握しておかないと将来なにが起こるやら皆目見当がつかない」と指摘しています。まさに今の世情を捉えた箴言だと思います。
コロナ禍を覆う空気とは何でしょうか。私はリスクヘッジや責任回避だと考えます。「もしクラスターが起こったらどうしよう。責任が問われるのではないか。批判されるのではないか」…。このような不安が、前向きな思考を阻害して、「コロナだからやめてしまおう」といった思考停止をもたらしている気がしてなりません。
市長は施政方針のなかで「天災は忘れた頃にやってくる」という警句を引用しました。この言葉を残した物理学者の寺田寅彦には、こんな名言もあります。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」
新型コロナウイルス感染症のリスクを適正に評価し、感染症対策を適度、適切に行いつつも、社会経済を回すことに注力してほしい。イベントなども是非積極的に開催してほしい。元の日常に戻す努力をしてほしい。このように強調させていただきます。同じ話を繰り返すのは、感染症対策はえてして「人間らしい生活」を疎外する内容となりがちだからです。私は現在の世の中に非常に危機感を覚えております。
それでは今回の質問を終わります。質問が多岐にわたったため、聞きっぱなしに終わってしまった項目もあり、誠に恐れ入ります。非常に丁寧な答弁をいただき誠に有難うございました。皆様もご清聴有難うございました。