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 大和市議会 小田の一般質問

 *実際の質疑では、大項目(テーマ)ごとに、まとめて質問したり、まとめて答弁している場合があります。ここでは読みやすさを重視して再編集し、質問の直後に答弁を記しています。正しくは、市議会HPの会議録をご参照ください。

 *「★」印は、市側の答弁のなかで、私がポイントだと捉えた部分です。

令和元年6月議会

1.統一地方選挙の総括

 

(1)市長選

 

 4月21日に行われた市長選において、大木市長は、投票総数の6割を占める4万4000票近くの得票を集め、4選を果たしました。おめでとうございます。

 

 市長選では、新人の二見健介候補が多選批判を展開。市長は「健康都市やまとに賛成か反対か 決めるのはみなさんです」と訴えました。報道によると、市長は当選後、勝因について「有権者は健康都市の政策を選んだ」と語ったということです。

 

 選挙は、私たち市民の生活や社会を良くするため、その意見を反映させる代表者を決める手段です。民主主義社会の根幹をなすものであります。市長は、選挙によって信任を得ました。有権者の判断は尊重しなければなりませんし、市民の負託を受けた大木市長は「健康都市」の深化に向けて、引き続き4期目を頑張っていただきたいと思います。

 

 選挙戦において、新人の二見候補は4割弱の得票を集めました。準備期間が1カ月余りと大変短かったことを考えると、大いに健闘したと言えるでしょう。逆に言うと、市長に対する批判が根強いのではないか。私はそのように捉えました。

 

 さて、釈迦に説法で恐れ入りますが、地方行政は憲法93条第2項に基づき、二元代表制がとられています。住民を代表する首長と議会の双方が独立、対等の関係にあります。両者は相互に牽制、抑制し合い緊張関係を保ち続けることが求められています。議会は、政策提言や政策決定だけでなく、行政監視の機能を併せ持っています。平成26年に施行した大和市の議会基本条例は、前文と9条において、首長と議会は「緊張ある関係」を保持すると規定しています。

 

 国政においては、国権の最高機関である国会の指名に基づき内閣総理大臣が選ばれ、内閣を組閣する議院内閣制を採用しています。国会は与党と野党の立場、役割は明確に異なります。一方、地方議会は本来、与党や野党に色分けせずにチェック機能を果たすことも求められています。

 

 このような中、地方議会に対する批判としてよく言われるのが「首長と慣れあい、オール与党化している」との指摘です。

 

 なぜ、地方議会は「オール与党」となりがちなのでしょうか。私は市議会議員として2期目に入りますが、4年間の経験から言わせていただければ、市長の権限が大変大きいからだと捉えます。

 

 まず、議会には予算編成権はありません。予算案を否決することはできても、実際に否決して予算が執行できない事態が生じれば、市民生活に大変大きな影響を与えてしまいます。なので、現実的にできるとすれば予算の修正まででしょう。

 

 議員において政策提言は大切な役割です。が、それを採用するかどうかの判断や決定権は最終的には市長が握っています。余計なことを言って市長の機嫌を損ねれば、実績を作りにくくなります。ですので、議員心理としては「いろいろあっても市長に黙って従っていた方がよい」となりがちです。オール与党化の背景の一つには、こんな構造的問題があると思います。

 

 ただ、それでは地方自治に求められている二元代表制の役割を十分に果たすことはできません。「何とかの一つ覚え」のようで恐れ入りますが、議会は「是々非々」で臨むことが求められています。

 

 このような問題意識から、大和市議会の一員である私は昨年の6月議会、12月議会の2回にわたって、大和市長の在任期間に関する条例、いわゆる多選自粛条例について大木市長に質しました。行政組織のトップが自ら作った条例を破るというモラルハザードが生じ、行政組織の信頼を揺るがす事態を招かないよう、条例の改廃を求めてきました。ですが、結局、市側から議案の提出はありませんでした。大変残念であり、遺憾に思います。

 

 今年の3月議会では、多選自粛条例の遵守を求める陳情が市民から出されました。結果は賛成14、反対7、棄権6となり、決議は成立しました。

 

 大木市長は先の選挙で信任されました。一方、本市においては、この条例も市議会の決議も生きており、市長は条例にも決議にも反する状態となっています。市長はどう考えているのでしょうか。

 

 この決議に関する本会議では、「選挙の公約には一定の責任が生じる」との賛成討論に対し、市長が独り言を言い、審議がストップする異例の事態となりました。私は、二元代表制の一翼をになう議会の声に真摯に耳を傾ける姿勢が欠けているのではないか。<議場から「そうだ」との声あり>このように感じました。

 

 本会議での討論では、この決議に反対する議員からも、市長に明確な説明責任を求める意見がありました。記憶に新しいところです。

 

①開票結果をどう受け止めているか

■市長

 平成31年4月21日に行われた大和市議会議員、大和市長選挙において、非常に多くの市民の皆様からご支持をいただき、第17代大和市長に就任させていただきました。このことは、私が市長就任以来一貫して進めてきた「健康都市やまと」を実現するための政策が評価され、さらに進めてほしいという市民の皆様の期待の表れと受け止めております。

 

②多選自粛条例の遵守を求める決議についてどう考えているか

③二元代表制の意義・役割についてどう考えているか

■市長(一括答弁)

 首長と議会は、相互の抑制と均衡によって緊張感を保ちながら、それぞれの責任を果たしていくものであり、議会の決議につきましては議会としての意思を対外的に表明するために行われたものと認識しております。また、このような決議があったことも踏まえて、市民のご判断が行われたものと考えております。

 

 

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。職員からは「市長はトップダウンで市役所に諫言という概念は微塵もない。忖度が日常化している」といった指摘も出ております。職員の人事権は市長が握っています。職員は、市長に対し厳しい意見を言いづらい立場にあります。私もサラリーマンでしたから、その事情は分かります。だからこそ、独立・対等の立場である議会は、言うべきことがあれば、ひるまずに意見をしていくことが求められている。そのように思います。

 

 市長の意向を過剰に忖度するような市政、市議会であってはなりません。そのために、4期目に臨む市長として、風通しの良い市政運営を是非心がけてほしいと願います。「勝てば官軍」となることなく、市民、議員、職員をはじめ万人の声に真摯に耳を傾ける為政者であってほしい。そのように切望をいたします。

 

 12月議会で述べているので具体的な中身は繰り返しませんが、市長は多選の弊害が出ないよう十分に留意して市政を運営していただきたい。そのように要望させていただきます。

 

 

(2)投票率低下

 

 市議会議員選挙の投票率が下げ止まりません。大和市においては平成19年以降、4回連続で投票率が2ポイント程度ずつ低下しています。今年4月の市議選の投票率は、前回より2.4ポイントほど低下して38.41%。ついに4割を切り、神奈川県内の14市町でもワースト2でした。

 

 大和市において、市議選は市長選と同日に行われています。過去の投票率の推移を見ると、無投票によって市長選が行われなかった平成3年と平成11年の市議選は、いずれも全国平均より15ポイントほど投票率が低い結果となっています。今回、仮に市長選が行われず無投票だった場合、市議選の投票率はさらに低下していた可能性が高いでしょう。

 

 先の市議選では、国の施策として政策ビラの解禁がありました。これに加えて、大和市独自の取り組みとして期日前投票所が増設されました。2つの大きな改革は、投票率向上の効果が期待されました。

 

 政策ビラは1人あたり4000枚配ることができます。市議選立候補者35人のうち34人がビラを製作したといい、本市においては最大で13万6000枚が選挙期間中に配布されたことになります。従来は選挙期間中に配れなかったことを考えると、市民の関心を喚起することに多少は役立ったはずでした。

 

 政策ビラ解禁は全国的な制度改正です。市議選の投票率の全国平均は45.57%で、前回よりも3ポイントほど低下しました。全国的にみても、投票率の底上げには至らなかったと言えるでしょう。

 

 一方、本市においては、期日前投票所を増設したことにより、期日前投票の利用者は4年前の前回より8000人ほど増加し、21555人に達しました。6割増えたことになります。

 

 期日前投票所として新設された中央林間とシリウスの2カ所で、計1万人が投票しました。投票所の増設は、期日前投票者の増加につながったでしょうし、有権者が投票する際の利便性向上に役立ったと考えられます。ですが、残念ながら、投票率全体の底上げには至りませんでした。

 

 そもそも、期日前投票が増えれば増えるほど、1週間の選挙期間に運動する意義は薄れていきます。政策ビラを配れるようになっても、有権者の投票行動が事前に決まっているのであれば、その意義や効果は薄れてしまいます。

 

 政策ビラ解禁と期日前投票所の拡大は、いずれも投票率向上の効果が期待されました。ですが、選挙期間中の運動の盛り上がりという意味においては、実は二律背反の関係にあるのではないでしょうか。

 

 大和市において、期日前投票所は市内全域に拡大しました。どこの地域に住む方でも投票しやすい環境が整備されました。

 

 では、次に取り組むべき技術的な課題は何でしょうか。

 

 参考になるのは、総務省が平成29年3月に発行した「投票環境向上に向けた取組事例集」です。この事例集では、平成28年7月の参院選における取り組みとして、①共通投票所の設置②大学や商業施設等への期日前投票所の設置③期日前投票の投票時間の弾力化④投票所等への移動支援等-を紹介しています。

 

 大和市において、商業施設への期日前投票所の設置は行われておりませんが、投票所は商業施設の近くにあるので、事実上実現していると言えるでしょう。また、大和市は、投票所への移動支援は行っていませんが、選挙期日における投票所は市内に35カ所あります。面積27平方キロメートルという狭い市域に多くの投票所があるので、必要性は低いでしょう。

 

 とすると、大和市で取り得るさらなる対策としては、「共通投票所の設置」ないし「期日前投票の投票時間の弾力化」の2択になります。

 

 期日前投票時間の延長は、会社員や学生さんらが通勤・通学する前後に投票しやすくなりますので、大変有意義です。時間を延長するだけなので、大きな仕組みづくりも不要です。一方、先に述べたように、期日前投票には、選挙期間中の運動を形骸化させてしまうという副次的な効果、デメリットもあります。

 

 私なりに考えると、最善の選択肢は共通投票所の設置ではないかと思います。北海道函館市、青森県平川市、長野県高森町(たかもりまち)に先行事例があります。

 

 本市の期日前投票所は4カ所に増えましたが、投票日当日に投票はできません。特に、中央林間図書館、大和のシリウスや高座渋谷のイコーザはいずれも駅に近いです。中央林間や高座渋谷の投票所はスーパーが周辺にあります。シリウスの周辺にも商業施設の建設が計画されています。期日前投票所を選挙当日にも活用できれば、買い物や食事のついでに手軽に投票することができます。

 

 有権者が、投票所入場券を持参せずに共通投票所に来場した場合、その方の地元の投票所と二重投票している可能性があります。それをチェックするためのシステムを構築しなければなりません。ただ、現在でも期日前と選挙当日との二重投票を防ぐシステムはできています。実現不可能ではないでしょう。

 

①投票率低下の理由をどう分析しているか

■選挙管理委員会事務局長

 本年4月に執行した大和市長及び大和市議会議員選挙の投票率は38.4%で、前回平成27年の投票率40.8%を2.4ポイント下回りました。本市に限らず地方選挙の投票率は長期低落傾向が続いておりますが、若い世代の投票率が他の年齢層と比べて低くなっていることから、この年代の政治的無関心や選挙離れなどが一つの要因と考えております。

 

②啓発活動で変更した点はあるか

■選管事務局長

 今回は選挙年齢が18歳に引き下げられてから初めての統一地方選挙であることから、高校生だけではなく、大学生にも投票所スタッフとして、選挙事務を体験していただきました。また、明るい選挙啓発ポスターコンクールで入選した市内の小学生の作品を用いた啓発ポスターを作成し、268カ所のポスター掲示板に掲示することで、子育て世代に投票参加を呼びかけました。

 

③共通投票所を開設できないか?

■選管事務局長

 共通投票所の開設にあたっては、二重投票を防ぐためのネットワークの構築や個人情報の流出を防ぐためのセキュリティ対策などの環境を整備するために多額の費用が見込まれることから、全国的にも普及していない状況であり、本市におきましてもこれらの課題を解決しなければならないため、現時点では共通投票所の設置は考えておりません。

 

【意見・要望】

 答弁をいただきました。共通投票所の設置については、二重投票を防ぐためのシステムに多額の費用がかかるということでした。すぐには難しいかもしれませんが、まずは調査研究を進めていただきたいと思います。

 

 選挙啓発に関しては、多額の費用をかけなくとも創意工夫によって改善できると考えます。「大和市長選・市議選 投票日は4月21日」といった投票日の周知はスタンダードな啓発です。その重要性を否定するものではありませんが、市民の皆さんが選挙に関心を持たなければ、投票日を認知していても、実際の投票行動には結び付きません。投票行動の前提となる選挙の意義を分かりやすく訴えていくことが大切です。

 

 お手元の資料の裏面に、許諾を得て転載していますが、大阪府箕面(みのお)市の広報紙はとても分かりやすくて良いと思います。カラーだとこんな感じです。

 

 キャッチフレーズは「果たしてください大人の責任 さあ、投票へ」。とても訴求力があります。また、分かりやすいイラストをつけて、丁寧に説明しています。QRコードを掲載して、選挙関連サイトに気軽にアクセスできるよう趣向を凝らしています。しかも、広報紙の表紙を見開いて最初に目に飛び込むページ、新聞で言えば一面トップで啓発しています。

 

 この広報紙が作られたのは、投票年齢が18歳に引き下げられた3年前でした。選挙に初めて参加する高校生らの投票意識を高めるべく工夫を凝らしたという側面がありますが、本市においても見習うべき点は多いのではないでしょうか。

 

 投票率低下は行政の責任ではありません。われわれ議員、政治家側も向上に向けて取り組まなければならない課題です。

 

 本市の選挙管理委員会は毎年、「政治と選挙の意識調査」を実施しています。平成29年度の結果を見ますと、「投票しなかった理由」については、「用事を優先させた」との回答が4割を占めます。この層に対するアプローチとして、投票の利便性を向上していくことが必要です。一方、「投票しても良くならない」「適当な候補者がいない」といった回答もそれぞれ2割を占めています。我々、政治家の側も、投票意欲を喚起していくためにさらなる努力が必要でしょう。

 

 調査結果によると、投票率が低い理由は「投票しても政治はよくならない」といったあきらめに似た回答が6割を占めています。「政治、政治家への不満、不信」や「政治への無関心」も4割から5割を占めています。政治不信の解消は選管にはできません。政治の側の課題です。

 

 その意味においては、地方議員として、二元代表制を確立し、議会としての役割を十分に発揮していく。有権者の皆さんに「大和市議会は活発に審議しているな」と感じてもらうことも、政治への信頼を高める上で大切である。このように考えます。

 

 意識調査を経年で比較すると、本市において、低投票率を許容する雰囲気が強まっていることが窺えます。平成30年度において、「個人の自由なのでかまわない」「好ましくないがやむを得ない」と回答した割合は、合わせて46.4%に上り、「好ましくない」の46.7%と拮抗しています。選挙で投票することの重要性を訴えていくことは、行政と政治家の両者に課せられた課題だと思います。

 

 話はそれますが、本市の選挙管理委員会の事務局は5人しか職員がいないということです。私は4年半ほど前、議員を目指すにあたって選管の部屋を訪ねた際、「こんなに人数が少ないのか」と驚きました。

 

 選管事務局は、本市において残業時間が最も長い部署だそうです。投票率向上に向けた取り組みを強化していくためにも、人員を増やした方がよいのではないでしょうか。ご検討をお願いします。

 

 

 

2.企業誘致

 

 今回は改選後初の一般質問です。私が所属している自民党は国、県、市のタテの連携、そして他市町村とのヨコの連携を進めていける政党であると自負しています。

 

 本市議会と同様に神奈川県議会でも6月議会が開かれています。その代表質問の初日となる17日には、自民党の議員が「効果的な企業誘致に向けた取り組み」を質問しました。本市議会においても「タテの連携」を進めるべく、同じスタンスで企業誘致について質問します。

 

 企業誘致は、法人住民税や固定資産税を増やしていく上で大きな効果が期待できます。企業を集積させる広大な土地が本市にあまり残っていないことは理解したうえで、それでも市内経済を活性化させたいとの思いで、自民党・新政クラブは、毎年の予算要望において最重要課題として取り上げてきました。おかげさまで、昨年4月には企業活動振興条例が施行され、本市に企業を誘致する取り組みに本腰が入り始めました。

 

 今年4月には、放電加工や産業用ガスタービン部品の受託加工などを手掛ける厚木市の企業「放電精密加工研究所」が本市の南東部に工場建設用地約1万5000平方メートルを取得する計画が明らかになりました。報道によると、取得価額は23億円で、金型製造などの工場を新設するということです。

 

 企業活動振興条例に基づく企業誘致の第一弾は、富士通の携帯電話子会社「富士通コネクテッドテクノロジーズ」です。場所は北部の中央林間でしたが、私が住む南部地域においても誘致が実現しました。関係者の皆様のご努力に感謝するところです。

 

 さて、総務省の平成28年社会生活基本調査結果によると、通勤・通学時間の平均が最も長い都道府県は神奈川県となっています。往復で1時間45分です。

 

 都道府県ランキングでは、長い順に神奈川の次に千葉、埼玉、東京と首都圏の都県が続いております。神奈川県の平均時間は、最も短い大分県より48分長く、全国平均より26分長い結果となっています。

 

 週休2日、48週間の前提で試算すると、神奈川県民はなんと年間420時間を通勤・通学に充てていることになります。日数にすると年間18日間になります。「安・近・短」という俗語がありますが、職場を近くし、通勤時間を短くすれば、生活に余裕が生まれてくるでしょう。政府が進める「働き方改革」にもつながります。

 

 大和市の住民が、市内に誘致された企業に勤めれば、通勤時間は大変短くてすみます。企業誘致によって地元で雇用が生まれていけば、経済活性化だけではなく、さまざまな副次的な効果をもたらすのではないでしょうか。

 

①企業活動振興条例に基づく認定実績はどうか

②新規立地において、雇用は創出できているか?

③企業誘致の今後の展開について

■市民経済部長(一括答弁)

 平成30年度における認定実績でございますが、新規立地および事業拡大がともに3社、設備投資が9社、健康企業1社の合計16社でございます。

 新規立地を行った3社では、立地に伴い従業員の増加を予定していることから雇用創出ができているものと捉えております。

 今後につきましても企業誘致は産業振興の柱として税収増や雇用の創出など地域経済活性化が期待できることから、広報周知や情報収集に取り組んでまいります。

 

【意見・要望】

 答弁をいただきました。私の地元でも「企業が来るのなら、パートの清掃業務でもいいから働かせてほしい」という声を伺います。企業誘致を進めるにあたっては、地元の雇用創出の実数を把握したうえで、さらに拡充できるよう調整をお願いいたします。

 

 神奈川県は、この4月に策定した「かながわグランドデザイン第3期実施計画」、いわゆる総合計画です。その素案におけるKPI(主要業績評価指標)で、2022年度までの企業立地支援件数を「200件」に設定しました。

 

 一方、大和市の総合計画をみると、成果を計る指標として、市内事業所数、法人設立数などの目標値を掲げておりますが、企業誘致については見当たりません。

 

 企業誘致の環境や条件を考えますと、圏央道の整備等によって交通利便性が向上したことにより、関東地方の自治体間で競争が厳しさを増すとみられます。本市の場合、誘致できる件数が限られますから、数値目標を具体的に設定するのは難しいかもしれません。ですが、目標を掲げるぐらいの意気込みで取り組んでいただきたい。そのように要望します。

 

 

3.小学校英語

 

 小学校では来年度から、新学習指導要領が全面的に実施されます。小学校の3年、4年生では、教科外の外国語活動が導入され、5年、6年生では正式な教科として外国語を学びます。外国語は英語を意味しています。

 

 私は平成27年12月議会で、小学校英語について質問しました。その際、英語教育の重要性を指摘しつつも、「英語を身につけるうえでベースは国語である。まず国語の授業を充実してほしい」と要望しました。その考え方に変わりはありません。

 

 一方、英語教育をめぐる状況はこの数年間で変化をみせてきました。「読む、聞く、話す、書く」といった4技能を評価すべく改革が進んでいます。

 

 入学試験も変化を見せています。今春の首都圏の中学校の入試では、選択科目を含めると、なんと100校以上が英語を導入しています。東京都では令和3年度から、公立中学校の3年生を対象に、「話すこと」の能力を評価するためのスピーキングテストを実施する予定です。この結果は都立高入試にも活用されます。大学入試においても英語改革が進んでいます。

 

 そのようななか、先日、小学校英語指導者認定協議会、通称J-SHINEの方の話を伺う機会がありました。小学校英語をめぐっては、教員の指導力の向上が大きな課題となっていますが、J-SHINEでは、学校現場に良質な指導者を供給すべく、統一的な基準を用いて英語指導者の資格認定を行っています。現場の教員の指導力向上を支援する取り組みも行っています。

 

 本市では、平成28年度から小学校英語の授業時間を倍増。単語や文字を繰り返し学ぶ短時間学習を導入し、音楽に合わせて口ずさみながら学習するチャンツを取り入れています。J-SHINEの資格認定を持つアドバイザーを現場に派遣し、授業参観や研修を通じて教員の指導力向上に努めてきたと伺います。本市の取り組みは先駆的だと評価できるでしょう。

 

 一方、お隣の町田市は「えいごのまちだ」を合言葉に、J-SHINEの資格を持つ指導者のもと、「放課後英語教室」を開催しています。地元の玉川大学と連携して作成した教材を活用。小学校2年生から5年生の児童を対象に、各校で年間16回、無料で実施しているということです。

 

 本市では「放課後寺子屋」を全19校で実施しています。とても良い取り組みだと捉えていますが、英語についても導入してはどうでしょうか。

 

①教員の研修態勢について

■教育部長

 小学校外国語教育では、平成28年度より3年間、各学校に小学校英語資格所有者を派遣し、教員の指導力向上をはかってまいりました。今年度は、来年度の新学習指導要領全面実施を見据え、市の英語教育スーパーバイザーや指導主事が各校に出向き、さらなる指導力向上を目指し研修を行ってまいります。また、英語専科教員が教育課程の研究と普及を行い、小学校英語教育の充実をはかってまいります。

 

②放課後英語教室を開設してはどうか

■教育部長

 現在、児童の基礎学力向上を目的として、放課後寺子屋やまとを実施しております。また、プログラミング教育の一助として、放課後寺子屋プログラミング教室も合わせて行っており、現時点で放課後英語教室を実施する予定はございません。

 

 

【意見・要望】

 答弁をいただきました。日常的な普段の授業を行うには、教員免許が必要です。一方、本市で行っている放課後寺子屋は正規の授業ではありませんので、民間人を積極的に活用することができると思います。新学習指導要領の全面実施に伴い、小学校の現場の教員は英語、プログラミング、IT機器の活用をはじめ新しい取り組みへの対応に追われています。

 

 正規の教員が放課後英語教室で教えるとなると負担が増しますが、民間人を活用すれば、そのような懸念もありません。そのように考えて今回の提案をいたしました。「予定はない」ということでしたが、まずは調査研究を重ねてほしいと思います。

 

 話は変わりますが、昨日、県内の愛川町で、実刑が確定した男が自動車で逃走した事件がありました。市教委では、登下校の見守り強化に向けて学校現場に指示を出したと伺いました。機敏な対応に敬意を表します。

 

 一方、PSメールは配信されていなかったようです。親御さんは心配をしています。この手の問題は不安を煽ってもいけませんが、お子さんの安全に関わる必要な情報は迅速に周知すべきだと考えます。こちらの面の対応強化も検討をお願いし、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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6月議会の配布資料(裏).jpg

令和元年9月議会

1.防災

 

 台風15号が今月8日から9日にかけて関東地方を襲いました。千葉県内では今もなお停電の被害が出ております。お昼のニュースによれば、本日午前11時半段階で2万9900戸が被害をこうむっております。停電した戸数は東京電力管内で最大93万軒に上り、関東地方における台風被害としては過去最大級になりました。被災した方々にお見舞いを申し上げます。

 大和市においても倒木や屋根の損壊、冠水などの被害が発生いたしました。停電の被害は延べ8820軒に上ったということです。本市では復旧しましたが、千葉県で停電が長期化している原因は倒木による電線や電柱の倒壊と言われます。電線を地中に埋める無電柱化が進んでいけば、被害は軽減できます。

 

 我が国は欧米やアジア各国の主要都市と比べて、無電柱化が進んでいません。政府は平成28年12月、無電柱化の推進に関する法律、いわゆる無電柱化法を制定し、都道府県に対して推進計画の策定を求めました。これを受けて神奈川県が今年7月にまとめた無電柱化推進計画では、実施計画箇所として、藤沢市の国道467号をはじめ21カ所を指定しております。ただ、大和市は対象には入っておりません。

 県の計画では、実施計画箇所以外の対応として「地元市町村等から無電柱化の要望があり、地元市町村等が主体となって事業化に向けた検討・調整が行われる際は、支援・協力します」と記しています。無電柱化は、大規模停電を起こさないために最も効果的な対策です。ですが、電柱の埋設費用は1キロメートル当たり5億円を超すと言われる上に、工期は通常6、7年と多くの時間を要します。容易でないことは十分に理解をいたしますが、一歩ずつ、少しでも前に進めてほしいと考えます。

 

 御案内のとおり、近年、大災害が多発をしています。お手元の資料に、私が市議会議員になった平成27年以降の主な自然災害を列挙しています。御覧ください。持ち時間の都合上、端折って話を進めます。

 

 平成27年9月には関東・東北豪雨がありました。茨城県常総市の市役所は浸水で孤立し、災害対策本部としての機能を十分に果たせませんでした。

 平成28年4月に発生した熊本地震では、死者の多くは避難生活の疲れや環境悪化などで体調を崩す災害関連死でした。避難所や被災者支援のあり方に課題を残しました。また、県内5市町の本庁舎が損壊などで使用できなくなりました。

 

 私が所属する自民党・新政クラブでは、平成29年2月に熊本県益城町を視察しました。町役場は耐震補強をしていたものの、2度にわたる震度7の大地震に耐え切れずに、倒壊をしました。粉々になった本会議場や瓦礫の山は、今でも忘れることができません。

 

 昨年は大災害が頻発しました。6月の大阪北部地震では、倒れたブロック塀の下敷きになった小学4年生の女児や高齢男性が亡くなりました。7月の西日本豪雨では土砂崩れなどで200人以上が死亡、9月の北海道胆振東部地震では全道的に停電、いわゆるブラックアウトが起こりました。

 

 今年は台風15号以外にも、昨月、九州北部の豪雨災害が発生しました。本市と同じく図書館で名をはせている佐賀県武雄市で、市街地の4割が冠水する甚大な被害に遭ったことは記憶に新しいと思います。

 現在の日本は、もはや「災害多発列島」です。地球温暖化によって世界的に気候変動が起きており、極端な高温や熱波、大雨の頻度は今後も増していく可能性が高いと言えるでしょう。また、都心南部直下地震、東海地震や神奈川県西部地震などが起きた場合には、大和市でも大きな被害が予測されています。防災対策の強化は待ったなしの状況です。災害対策にやり過ぎはありません。死角を最大限に減らしていくことが肝要です。

 そこで、私が気になった点を中心に、アラカルト形式で5点伺います。

 

 (1)大和市における災害対策について

■市長

 私は、市長就任以来、市民の生命、身体、財産を守るため、災害対策を最重要施策の一つと捉え、過去の災害を教訓としながら、常に何をすべきかを考え、スピード感を持って取り組んでまいりました。一例を挙げれば、内水による被害が発生していました南林間地区において、やまと防災パークに先立って整備いたしました市内最大の地下貯留施設が奏功し、先日の台風15号においても被害は発生しておりません。

 これまでに本市で起きた地震が発生した際の最大のリスクとなる火災への備えとして、スタンドパイプ消火資機材の配備や、断水等に備え、このスタンドパイプに接続する応急給水用資機材の整備、初動態勢の強化を図るファットバイク隊の編成、被害情報を的確に把握するためのドローン隊の導入など、公助として災害対応力の強化を図ってまいりました。また、共助の中心として御尽力いただいております自主防災組織には、災害時に役立つ防災資機材の購入補助や地域防災訓練など積極的に支援してまいりました。そして、自助の意識を高めていただくため、みずからの命を守るための“グラリ”3分一斉行動訓練や参加体験型の防災フェスタを開催し、多くの方に参加いただいております。

 

 今後も、自助、共助、公助が一体となった災害対応力の強化に努めてまいりたいと考えております。

 (2)地区防災計画の策定状況について

■市長室長

 一般的には、地域の状況に応じた地区防災計画を策定することは効率的な避難行動につながると考えられますが、本市は市域が狭く、地域ごとの状況に大きな違いがないことから、まずは各自主防災会がそれぞれ主体的に活動するための行動指針となる防災マニュアルの作成を推進しているところでございます。市では、本マニュアルの作成や修正に関する各自主防災会からの相談に対し、さまざまな角度から助言を行っており、今後も積極的に対応してまいりたいと考えております。

 

 (3)土砂災害警戒区域の周知について

■市長室長

 土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の指定は神奈川県が所管する事務であり、県では、平成27年に市内4会場で住民説明会を開催し、意見の聴取などを行った上で、平成28年6月に市内41カ所の土砂災害警戒区域指定の告示を行いました。本市では、県による土砂災害警戒区域の指定に伴い防災マップへ掲載し、市内全戸へ配布するとともに、広報やまとや市ホームページでの情報提供、地域の防災講話の機会などにより、市民の皆様へ周知を図っております。

 (4)市で備蓄している非常食について

■市長室長

 本市では、近年発生が危ぶまれている都心南部直下地震の想定避難者数1万5400人に必要な非常食を3日分備蓄しております。非常食の品目といたしましては、主食のパンとおかゆ、乳幼児用の粉ミルクのほか、お菓子としてようかんを備蓄しており、おかゆと一部の粉ミルクはアレルゲンフリーの製品を導入しております。

 

 (5)避難生活施設となる市立小中学校の体育館の安全性について

■教育部長

 本市の小中学校体育館の耐震化につきましては、平成7年度に耐震診断を行い、平成8年度から22年度にかけて耐震補強工事や建てかえ工事を実施し、全て完了しているため、避難生活施設として安全に利用できるものと捉えております。

 

 

【答弁後の意見・要望】

 

 災害の内容は多種多様でありますが、そこから得られる教訓は共通することも少なくありません。大阪北部地震を受けたブロック塀の無料診断や撤去費の補助、エコノミークラス症候群が相次いだ熊本地震を受けた防災用テントの備蓄などなど…。本市におけるこれらの対策は近年の大災害の教訓に学んだ迅速な対応と言えます。被害を抑えるために努力を重ねていることに敬意を表します。

 

 一方、自治会や自主防災組織がまとめる地区防災計画は、本市においては実績がないということでした。本市は面積が狭いので、地域別に対応を分ける必要はないというのが理由だということです。ですが、本市においても、川沿いの地域では河川の氾濫への備えが最重要ですし、木造住宅密集地域においては大規模火災を起こさない対策が必要です。大災害で最も大切なのは自助です。とりわけ被災リスクが高い地域では、地区防災計画をまとめたほうがよいのではないでしょうか。支援を進めていただけるように要望いたします。

 

 土砂災害の際、住民の生命や身体に危険が生じるおそれがあると認められる土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンについては、住民説明会や防災マップ等で周知を図っているということでした。大和市は平たんな地域が多く、県内の自治体と比べると指定箇所数はかなり少な目です。ただ、平たんであるという地域特性ゆえに、過信や慢心につながるおそれもあります。万全の備えとなるよう、さらなる対応を求めます。

 

 市が備蓄する非常食については、さきの防災フェスタで乳幼児用のビスケットの購入を求める声を関係者から伺いました。どのような世代にもすき間が生じないよう、万全の対策をお願いいたします。

 

 避難所をめぐっては、小中学校の体育館の耐震化は済んでいるということでした。ただ、熊本地震では、天井材の落下や窓ガラスの破損を初めとする非構造部材の損傷によって、県内の公立学校の体育館の3分の1は使用できませんでした。言うまでもなく、住民が集まる避難所は最も安全な場所でなければなりません。非構造部材の耐震化も徹底してほしい、そのように要望をいたします。

 

 防災をめぐっては、複合災害に対する備えも重要です。台風が来ているときに地震が起きる、そんなこともあるかもしれません。実際、昨年9月の北海道胆振東部地震では、地震が発生する前日に台風による大量の降雨があり、地盤がやわらかくなっていたところ、土砂崩れが起きました。これは地震と大雨との複合災害と言えるでしょう。予見しづらい複合災害が発生した場合でも大きな被害を受けないように、あらゆる可能性を排除せず、多角的に対策を進めてほしいと考えます。

 

 なお、私は、自衛隊OBの隊友会との防災協定について平成28年12月定例会で質問をしました。市側から前向きな答弁をいただきましたが、まだ実現には至っておりません。調整作業を急いでいただければと思います。

 

 最後に、今月の台風15号ですが、市内では、強風の影響で、路上にあるカーブミラーの角度がずれているところも見受けられました。ミラーがあっても角度がずれていたら用を足しませんし、逆に危なくなる可能性もあります。市内のミラーを総点検し、安全性を確保していただけるように要望いたします。被害が大きかった千葉県では、損壊した屋根に対する応急措置としてブルーシートをかぶせるケースが目立っています。多くの自治体が住民に配布しています。本市においても、後顧の憂いがないようにブルーシートを万全に備蓄していただきたい、このように考えます。

 

 

 2.外国人の増加

 大和市でも外国人が増えています。私の自宅の近所のコンビニエンスストアの店員は、東南アジア系の方が複数いらっしゃいます。工事現場でも外国人の方を見かけるようになりました。ことし1月1日現在における本市の外国人は6653人です。平成27年以降の5年間で2割増加いたしました。本市では人口が増加しておりますが、増えた人口の半分以上は外国人が占めています。

 

 昨年12月に改正された出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管難民法が今年4月に施行されました。一言で言えば、国内の人材不足を解消するために外国人労働者を増やしていく狙いがあります。政府は「移民政策ではない」と強調していますが、「単純労働者としての外国人は受け入れない」というこれまでの方針からすれば、大幅な政策転換となります。本市においても、外国人労働者のさらなる増加が見込まれることでしょう。

 外国人労働者が増えると、生産人口が増えて、人口減少が緩やかになるメリットがあります。日本社会を持続可能にしていく上で貴重な戦力ともなり得るでしょう。一方、治安や環境の悪化、言葉の壁に伴うごみ捨ての課題なども増えてくると見込まれます。

 

 大項目の1で質問した防災に関連して話を進めます。平成23年の東日本大震災では津波被害が甚大でしたが、外国人の方は「高台に避難しろ」と言われても「高台」「避難」という言葉が難しくて、わからなかったそうでございます。逆の立場になって考えてみます。例えば日本人が英語圏にいたとして「Escape!」「Run away!」と叫ばれれば、英語が得意でない方も「逃げろ」という意味であることは理解できます。逆に「Evacuate!」、これは日本語では「避難する」という意味ですが、難しい単語を使われてしまった場合、理解できる方は少なくなるでしょう。意思疎通が不十分であれば、外国人は適切な避難行動をとりづらくなります。外国人は災害時の要援護者であり、情報面での支援が必要となります。

 

 話を戻します。最近、地元の方から陳情を受けました。ある団地の集積所では、分別できていないごみがありましたが、調べると、その原因は中国籍の方でした。その方に尋ねると「ごみの分別の仕方がよくわからない」ということだったそうです。地元の住民の方からは「ごみ出しに関する外国人向けのビラをカラー化して、わかりやすくしてほしい」との要望を伺いました。

 

 好むと好まざるとにかかわらず、外国人の方はこれからも増えていきます。そうである以上、本市としても多文化共生社会を構築するための取り組みをさらに進めていかなければなりません。そのためには、何よりも言葉のバリアフリーが大切だと考えます。

 神奈川県内の19市の中で外国人比率が最も高い綾瀬市では、この8月、外国人市民への情報提供ガイドラインを策定し、生活上、必要不可欠な行政情報を易しい日本語や多言語などで統一的に運用するルールをまとめました。ガイドラインでは、先ほど例示した「避難」について「逃げる」といったわかりやすい言葉を使い、会話の途中で「わかりますか」と確認することも求めています。

 行政の文書はおかたい言葉が多いですが、外国人にも周知が必要な文書については易しい日本語であったほうがよいのではないか、このように考えます。

 

 そこで4点伺います。

 (1)市内に住む外国人市民の人数と傾向について

 (2)外国人市民が増加している現状について

■文化スポーツ部長(一括答弁)

 本市には、令和元年8月末時点で82の国と地域の方6956人が居住しており、昨年同時期と比較すると422人の増となるなど、引き続いて増加の傾向にあります。また、外国人市民の在留資格の内訳は、永住者、定住者、特別永住者、日本人の配偶者等が約70%を占め、その他は留学や就労等となっており、国籍別では中国が一番多く、次いでベトナム、フィリピンの順となっております。本市には、かつてインドシナ難民を対象とした定住促進センターがあったことなど、外国人が住みやすい環境があることから外国人市民が増加していると思われ、ことし4月の入管法改正が直ちに起因しているものではないと考えております。

 (3)外国人市民への生活上の配慮について

 (4)易しい日本語の活用について。

■文化スポーツ部長(一括答弁)

 本市では、外国人市民が大和市で暮らしていくために必要な情報を提供することを主眼とした多言語での生活ガイドの発行や行政文書へのルビ振りなどを行っており、また、国際化協会では、情報誌の発行やSNSを活用した情報提供に取り組んでおります。

 

 なお、外国人市民全ての母国語による対応は困難であり、日本語への理解を深めていただくことも重要となります。そのため、日本語の学習機会を設けるとともに、外国人市民にもわかりやすく、易しい日本語を用いることは有益であると捉えております。現在、易しい日本語については、新採用職員に向けて、その利用方法について研修も行っているところですが、引き続き、易しい日本語を行政文書に活用することを進めてまいりたいと考えております。

 

【答弁後の意見・要望】

 

 直近の8月末の数字では、外国人市民の数は7000人近くに上っているということでございました。避難生活の過ごし方に関する本市のリーフレットは、日本語のほか、英語、中国語、フィリピンのタガログ語、ハングル、スペイン語、ベトナム語の6カ国語で翻訳されています。これらで大和市に住む外国人の7割強をカバーできます。ここまで多言語化できているのは、率直に驚きました。

 

 ただ、残りの3割弱の外国人については、やはり日本語を読まれる方も多いでしょう。市内の外国人は82の国と地域にわたるということですが、その全員に母国語で対応することは困難でありましょう。ぜひ易しい日本語をさらに推進していただければと存じます。

 

3.図書館城下町

 報道によりますと、大木市長は今年5月、4選後の初めての記者会見で「文化複合施設シリウスなどを活用して図書館城下町の構想も取り組みたい」と抱負を語ったそうです。本市のホームページのトップ画面のバナーには「図書館城下町」と掲載されています。本市をインターネットで検索すると「図書館城下町 大和市-図書館のまち」といったキャッチフレーズが目にとまります。今定例会の総務委員会の審議で明らかになりましたが、「図書館城下町」は商標登録されたということでございます。図書館城下町はとても上手なネーミングだと思います。ただ、具体的に何なのかというと、よくわかりません。

 城下町という言葉を用いた比喩表現は「企業城下町」があります。ある特定の企業や工場を中心に、関連企業や下請企業が集まって発展しているまちを意味します。大和市に図書館の関連企業が集まっているわけではございません。私なりに図書館城下町を解釈すれば「図書館を中心として発展していくまち」ということになるのでしょうか。

 

 図書館政策をめぐり、大和市はこの7月、岐阜県岐阜市と図書館の連携・協力に関する同盟を結んだと報じられていました。報道によると、岐阜市には本市のシリウスと似たような文化複合施設、みんなの森ぎふメディアコスモスがあり、大和市側から同盟締結を打診したということです。

 図書館政策をめぐっては、私は今年3月の定例会で、シリウスの中核である図書館の蔵書数や貸出数、蔵書新鮮度などを向上していただけるよう要望いたしました。

 

 そのような中、先日、あるテレビの情報バラエティー番組で岐阜県海津市のおもしろい取り組みを知りました。銀行の預金通帳のように、自分が借りて読んだ書籍の履歴を記載する取り組みです。具体的には、銀行のATMのような機械に通帳を入れると、借りた本の名前や貸し出しした日にち、その本の金額が預金通帳のように印字されます。

 メリットは大きいと思います。自分の読書記録をつけることができます。私は高校1年生のとき、学校から配られたA4サイズのカードに記録をつけていたことがありますが、記録がふえていくと達成感を感じたものでございました。

 また、子供には大人ぶってみたい欲求があります。預金通帳を模した読書通帳を導入できれば、読書意欲を高める効果が見込まれます。読書通帳には借りた本の金額が表示されるタイプもあります。これを採用した場合、図書館を利用して本を借りたことで、自分で購入した場合と比べてどれだけお得になったか、目に見えてわかります。図書館、ひいてはシリウスを利用してよかったなと顧客満足度を高めることにもつながります。

 読書通帳を開発したオフィス家具大手の株式会社内田洋行に尋ねたところ、全国で39市町村の自治体が計70台以上を導入しているということでした。静かなブームになっているとも言えるでしょう。

 

 そこで4点伺います。

 

(1)図書館城下町とは何か

■市長

 本市はこれまで図書館施策に力を注ぎ、市民の読書環境の充実に努めてまいりました。特にシリウスが完成してからは、市民の居場所として図書館の新たな可能性が市内外に認知されているところでございます。本館となるシリウスに加えまして、北の中央林間図書館、南の渋谷図書館の3館では、年間の合計来館者数は四百数十万人に達し、図書館のまちと言うにふさわしい活況を呈しております。こうした状況を踏まえ、市民の読書環境が市域全体にわたり、さらに発展していくことを目指し、図書館城下町大和市という旗印を掲げているものでございます。

 

(2)図書館城下町を商標登録した狙いについて

■文化スポーツ部長

 今回、商標登録を行った「図書館城下町」と「健康都市図書館」については、いずれも本市が進めている独自性の高い図書館施策をあらわすものとして、市内外に発信してきたものです。本市の代名詞ともなるこれらの呼称が本市において使用できない事態になったり、あるいは悪用されたりすることを防ぐため、知的財産権保全の必要があると判断し、商標登録を行ったところです。

(3)岐阜市と締結した図書館同盟とはどういったものか

■文化スポーツ部長

 近年、重点施策として、図書館の整備充実を掲げる自治体が増えております。なかでも本市のシリウス開館の約1年前となる平成27年7月、岐阜市では、図書館を中核とした複合施設、ぎふメディアコスモスが開館し、さまざまな取り組みが行われております。両施設とも子育てや健康をテーマに掲げた書架づくりやカフェとの融合など、ユニークな施設整備や取り組みを展開し、大いに好評を得ております。

 これからの図書館は市民生活を豊かにするために欠かせない存在となり、市民の潜在的な欲求に応え、常に魅力を発信していく必要があると認識しております。そのため、複数の自治体の英知を結集し、互いに切磋琢磨し、新たなチャレンジを展開することが魅力ある図書館の実現につながるものと考えます。本市と同様に、滞在型図書館として取り組みを展開している岐阜市と連携し、その運営等を学ぶとともに、互いの歴史や文化等の情報を発信することでより広がりのある図書館展開ができるものと考え、同盟の締結を申し入れたものです。

 今後は、双方の図書館サービスや実施事業を含めた職員の交流や意見交換などを通じ、両市のサービス向上につながる取り組みを展開したいと考えております。

(4)読書通帳を導入できないか。

■文化スポーツ部長

 読書通帳は、主なタイプとして、利用者の貸し出し履歴をもとに、銀行の預金通帳を模した冊子に預金を記載するのと同じ要領で、借りた本のタイトルなどを記録するものがございます。他自治体の導入事例を見ますと、単に記帳することが目的化し、記帳数を増やすことだけに走りがちになるなどの課題も報告されております。また、最近では、スマートフォンで手軽に読書記録を作成することのできる無料のアプリも複数存在することから、本市での導入については費用対効果などを十分に見きわめる必要があると認識しております。

 

【答弁後の意見・要望】

 

 読書通帳の導入に関しては、「費用対効果などを十分に見きわめる必要がある」ということでございました。3月定例会で申し述べたように、私は来館者数が図書館の最大の指標とは思っておりません。ただ、この取り組みは来館者数が増える効果も見込まれる上に、何よりも読書意欲の喚起につながると捉えます。

 

 本市と図書館同盟を結んだ岐阜市の市議会では、市議から読書通帳の提案がありました。提案どおりに導入はされませんでしたが、その後、1冊につき50冊の読書記録を書きとめられる読書ノートを小中学生に配付することになりました。岐阜市では「本のお宝帳」と呼んでいます。

 

 今回提言した読書通帳は、本を読む過程で言えばインプットを増やすことにつながる取り組みです。一方で、本を読んで何を考えたのか、どう感じたのかをアウトプットしていくことも大切です。本を読むたびに読書感想文を書いていては嫌気が差してしまいますが、本を読んで「おもしろかった」「感動した」の一言で終わらせるのではなく、何がどうおもしろかったのか、どこに感動したのかを寸評していくプロセスは、思考力を培うトレーニングの機会ともなるでしょう。岐阜市が導入した読書ノートはアウトプットの面で効果があると言えます。

 

 図書館同盟に関する答弁では、「岐阜市の運営等を学んでいきたい」ということでございました。読書通帳が難しいのであれば、読書ノートを取り入れていただければと存じます。

 

 図書館城下町についてですが、シリウスを本城の本丸と例えれば、大和駅に向かう大手道沿いにスーパーの出店が計画されています。シリウスの利用者がついでに立ち寄ることも多いと見込まれます。一方、居酒屋など飲食店が多い商店街がある通りは、大和駅に向かうには若干回り道となってしまいます。シリウスが賑わっている恩恵を地元の商店街にも与え、地域経済活性化にも役立て、まさに城下町として発展していただけるよう工夫をお願いしたいと思います。

 

 

4.駐車場

 

 市民活動拠点「ベテルギウス」が昨年4月にオープンしてから1年半ほどが経過しました。この施設の隣にある旧生涯学習センターの本館とホールは解体され、市が土地を貸す形で民間のコインパーキングとなりました。140台を収容することができるということです。この民間駐車場の料金は20分100円で、入庫後24時間の最大料金は500円でした。ですが、さる8月23日、突然最大料金が700円に値上げをされました。

 運営会社に問い合わせたところ、値上げの理由は、ベテルギウスの利用者から、駐車場が満車でなかなか利用できないという苦情が入ったということでした。運営会社によれば、最大料金を値上げすれば車を長時間とめるビジネスマンらの利用が減り、満車が解消できるのではないかということでした。

 

 市が市民活動拠点と銘打っているベテルギウスは大変多くの方々が利用しています。また、青少年指導員連絡協議会、子ども会連絡協議会、母親クラブ連絡協議会といった青少年関係の3団体の役員らが定例会や打ち合わせなどで利用することが多い、このように聞き及んでおります。

 そのような中、ある青少年関係団体の役員の方から、ベテルギウスに隣接する駐車場の利用をめぐりお話をいただきました。

 

 そこで1点伺います。

 (1)ベテルギウスなど公共施設の利用者にかかわる駐車場の考え方について。

■こども部長

 本市の公共施設における駐車場につきましては、それぞれの施設の用途や目的、立地条件等を踏まえ整備しており、市民活動拠点ベテルギウスは大和駅から比較的近く、施設のすぐ前にバス停もあり、公共交通機関を利用しやすい立地であることなどから、公共の駐車場を整備しておりません。

 

 なお、市民活動拠点ベテルギウスに隣接する駐車場につきましては、旧生涯学習センター跡地の有効活用及び近隣の利便性向上を図るため、民間事業者に貸し付けし、時間貸し民営駐車場として活用されております。

 

 

【答弁後の意見・要望】

 

 「ベテルギウスは大和駅から比較的近いので、公共駐車場を整備していない」ということでございました。ベテルギウスでは、青少年関係団体の定例会議等があった場合には、その出席者に対してお隣の民間駐車場のサービス券を支給しているということです。その点は良いことだと思っております。

 

 ただ、団体役員の方々は、定例の会議以外でも非公式に打ち合わせたり、荷物を運んだりするなどして、ベテルギウスを利用することがあるとも伺います。そのような場合でも、駐車場代の負担がかからないようにきめ細かい配慮をしていただければと存じます。

 

 さて、大和市の公共施設の駐車場を考えると、自動車の利用者に優しくないのではないか、このように感じます。例えば、林間学習センターが移転して発展的に拡充された北部文化・スポーツ・子育てセンター、通称ポラリスには駐車場はありません。旧林間学習センターには21台の駐車場がありました。ここは御案内のとおり、現在は特別支援教育センター「アンダンテ」として生まれ変わり、駐車場もそのまま利用されています。ただ、旧林間学習センターの利用者からすれば、引っ越しによって駐車場がなくなったことになります。

 文化複合施設シリウスの地下には、普通車58台を収容できる駐車場があります。身体障害者や介護者は無料ですが、健常者が利用する場合、30分ごとに200円、1日上限で1000円でございます。周辺の駐車場より料金は若干高目に設定されています。

 健康創造都市を標榜する本市では、お出かけ支援策の一つとしてコミュニティバスを市内に張りめぐらせています。公共施設の利用に当たっては公共交通機関の利用が推奨をされています。ただ、公共施設でイベント等を開催する際には、荷物を運ぶための自動車の利用を余儀なくされることも多いでしょう。また、高齢化が進む昨今、自動車でないと遠出しづらい方は増えてきていると推測されます。自動車の利用者のための環境整備も進めてほしい。このように要望して、質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。

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