大和市議会 小田の一般質問

 *本会議場での実際の質問では、私の場合はテーマごとに、まとめて質問し、行政側もまとめて答弁しています。このHPでは分かりやすさを重視して一問一答方式のように再編集し、質問の直後に答弁を記しています。なので、動画とは若干食い違う箇所があります。議事録は市議会HPの会議録でもご覧になることができます。

 *市議会HPでは、過去1年分の動画を公開しています。それ以前のものは見ることができませんのでご了承ください。

令和3年12月議会

一般質問の動画はこちらから。

http://www.yamato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2182

 

1.待機児童

 

 「子育てするなら絵本のまち」-。 市のホームページを覗くと、このように題したページが新たに加わっていました。聞くと、今年3月下旬から登場したそうです。可愛らしいイラストを随所にあしらい、読みたくなる分かりやすい内容です。その中では「子育ては『大和市!』という選択」と銘打っています。

 

 私は平成28年の3月議会で、「母になるなら、流山市」と打ち出している千葉県流山市のキャッチフレーズを引き合いに「『子育てするなら大和市』と売り出してほしい」と要望しました。ひょっとしたら、ささやかな提案を汲んでいただいたのかもしれません。

 

 子育て支援には様々な取り組みがありますが、なかでも待機児童対策は重要です。本市では、子育てしながら働きたい、働かざるを得ないママさん方の要望に応えるべく対策に本腰を入れています。各年4月1日時点のデータとしては平成28年以降、6年連続で待機児童ゼロを達成してきました。以前の本市は全国でも待機児童が多い自治体だったので、その取り組みや努力は高く評価されるべきだと考えます。

 

 待機児童をなくすには、保育所の入所定員の増加が必要です。このため、本市は保育所を増設してきました。保育所等の施設数は平成25年で18カ所でした。これは政府の待機児童解消加速化プランが始まった年です。今年は82カ所に達し、8年前の4.6倍に増えました。市内の主要駅の近くで保育所をよく見かけるようになりましたが、納得です。

 

 一方、保育所の運営費をみると、平成25年度は30億円強でしたが、昨年度には80億円弱にまで膨らんでいます。これは本市の負担だけでなく、国や県の支出、利用者負担金など諸々の費用を合わせた総額ですが、この8年間で50億円増え、2.6倍となりました。

 

 お手元に配らせていただいた資料をご覧ください。右下に市内の保育所運営費の推移を図示しています。表計算ソフトで定番のエクセルのTREND関数を活用して、過去の推移に基づいて今後の保育所運営費を推計したものです。すると、令和5年度には100億円を超え、8年度には120億円に達する計算となりました。あくまで単純な試算であり、実際には保育所を増設する数などで状況は変わるはずですが、金額の大きさに目が丸くなりました。

 

 全国的に少子化が進んでいます。本市も例外ではなく、0歳から5歳までの未就学児童の数は減少傾向にあります。住民基本台帳に基づく人口データによると、今年4月1日時点で1万1540人です。これは本市の総合計画に示される将来人口の推計より400人少ないです。

 

 本市では、人口推計よりも少子化が進んでいるにもかかわらず、保育所の入所申込者数が増えています。平成25年は2112人でしたが、今年は4740人で2倍を超えています。本市では平成31年以降の3年間、保育需要ともいえる入所申込者数を上回る形で、入所定員という供給を確保できています。

 

 本市では、未就学児童を持つ母親を対象に、ニーズ調査を行っています。その結果によると、母親の就労率は平成25年度で39.6%でしたが、30年度には54.4%に上っています。保育需要の急増は、少子化を上回る勢いで女性の就労率が上昇していることも影響しているのかもしれません。

 

 厚生労働省の推計によると、全国の保育所の利用児童数のピークは令和7年となる見込みとなっています。本市は、市内の今後の保育需要をどう見通しているのでしょうか。昨年3月に策定された第二期子ども・子育て支援事業計画、通称「ハートン プラン」に示されてはいますが、その後の変更もあるでしょうし、計画を読んでも分かりにくい部分があります。今後の見通しは知りたいところです。

 

 少子化の傾向は、新型コロナウイルス感染症の対応に伴う産み控えなどで、さらに拍車がかかるとみられます。今年の全国の出生数は80万人を切る可能性が高まっています。政府の過去の推計では、80万人割れは2030年頃と予測されていましたが、10年近く前倒しとなります。出産のベースとなる婚姻数も落ち込んでおり、今のところ、少子化が回復基調となる兆しはありません。本市も同様の傾向をたどると考えられます。

 

 子育て支援は、本市においても重要性の高い施策です。ですが、このまま支出が膨れ上がる一方では、市の財政に与える影響が心配です。巨額の予算がかかるから待機児童対策をやめるべきだ、と言うつもりはありませんが、行政運営を持続可能にしていくためには、これまでの取り組みを検証していくことも必要だと考えます。

 

 そこで3点伺います。

①待機児童対策に関する市の考えについて

②今後の保育需要について

③保育所開設に伴う予算の増加について待機児童対策に関する本市の考えは?

 これで1回目の質問を終わります。

<市側の答弁>

①待機児童対策に関する本市の考えについて

③保育所開設に伴う予算の増加について

■市長(一括答弁)

 「健康都市やまと」を目指す本市におきましては、「こどもがすくすく成長する 産み育てやすいまち」を基本目標の一つに掲げ、市民の皆様が安心して子育てができるよう、様々な子育て支援施策を積極的に実施してきましたが、昨年に日本経済新聞社などが調査した「共働き子育てしやすい街ランキング」では全国7位、神奈川県内ではトップという結果につながりました。

 本市は「魅力的で子育てしやすいまち」「子育てしたくなるまち」であることを発信・PRし、子育て世代の定住や市外からの転入を呼び込む施策に力を入れて取り組むことは大変重要であると考えております。

 そのなかでも、待機児童対策は最も重要な子育て支援施策の一つとして捉えていることから、増加する保育需要にスピード感をもって対応し、こどもの城をはじめとした保育所等の整備を計画的に進めてきた結果、6年連続で4月1日の時点の待機児童ゼロを達成したところです。

 今後の保育施設の整備については、北部地区の大規模マンションへの子育て世代の転入などにより、新たな保育需要が生じている状況などを考慮しますと、引き続き保育ニーズや居住の動向を丁寧に把握しながら、必要な地域や定員数を的確に見極めつつ、整備を続けていく必要があると考えております。

 保育に関連する予算が増え続けていることにより、本市の財政に与えている影響も十分認識しておりますが、市町村には、児童福祉法で保育を必要とする保護者がいる場合には、認可保育施設で必要な保育を確保するための措置を講じる責務が定められており、現在も入所を希望する多くの児童がいることから、当面の間は保育の必要量に応じた財源の確保に努めていく考えです。

 その一方で、長期的な視点で見れば、保育需要そのものが減少していくことが想定されるため、そのピークを見極めつつ、過度な財政負担の増加を極力抑えていくためには、状況に応じた適切な施設整備を計画的に進めていくことと合わせて、既存の保育資源を積極的に活用するなど、多様な施策を実施していくことが肝要であると考えております。

 そこで、新たな保育所等の整備以外の手法として、保育施設の定員を超えた弾力的運用によります受け入れを続けるほか、大和市認定保育施設や企業主導型保育事業の地域枠確保、幼稚園を積極的に活用する送迎ステーション事業など、この既存施設を最大限に活用した幅広い保育の受け皿を提供できるように、将来を見据えた施策を進めているところです。

 待機児童ゼロの継続は、本市が積極的に実施している様々な子育て支援施策における中心的な取り組みであることから、今後も子育て世代の定住を促進し、市民が安心して子供を産み育てられる保育環境を育みながら、大和市の未来を担う子供たちが健やかに育っていくように全力で取り組んでいきます。

②今後の保育需要について

■こども部長

 子ども・子育て支援法に基づき令和元年度に策定した「第二期大和市子ども・子育て支援事業計画」では、「健康都市やまと総合計画」の将来人口推計における就学前児童数を用い、地域ごとに直近の保育の利用実績等を細かく分析しながら、令和6年度までの保育需要を見込んでいるところです。

 こうしたなか、少子化の進行により就学前児童数は減少傾向にありますが、幼児教育・保育の無償化が実施されたことで保育需要が喚起されているほか、女性の社会進出が進むなかで母親の就業率が高まる傾向があり、保育所等の利用申請率は毎年増加し続けている状況となっております。

 本市の保育所等利用申請率は、今年4月1日時点で41.1%となっていますが、令和6年度には46.9%にまで上昇すると見込んでおり、こうした保育需要の状況に応じた施設整備は、今後も必要であると捉えております。

 

【答弁後の意見・要望】

 大変丁寧な答弁をいただきました。「財政の影響は十分に認識しているけれども、法律で責務が定められているということで、今後も的確にニーズをとらえて全力で取り組んでいきます」という回答でした。

 お手元の資料に示してはいませんが、第一期子ども・子育て支援事業計画の対象となっている平成27年度から31年度までの5年間において、保育所の入所込者数は計画上の保育ニーズを大幅に上回りました。

 

 第二期計画の期間においては、入所申込者数は推計された保育ニーズをやや下回る水準となっています。ただ、これはあくまでも4月1日時点の数値です。昨年10月1日時点の待機児童数は194人となっています。

 

 予算がこれだけ膨らんでいるので、保育所の増設や定員拡大にあたっては、保育需要を的確に見極め、適切に実行していくことが大切だと考えます。状況の変化があった場合には、計画にとらわれずに臨機応変に見直していくこともあって然るべきです。PDCAサイクルをきちんと回していくことが求められます。

 

 「世の中に待機児童は一人もいない。待機しているのは幼児を預けたい親である」といった指摘もあります。この主張を大っぴらに展開すると炎上してしまう世の中になりましたが、子供の立場に立てば一面の理はあります。

 

 待機児童の解消をはじめとする保育の分野は大変複雑で奥深い課題です。私自身、これまで隠れ待機児童の縮減を含め、さまざまな要望や提案をしてきました。今回は、保育所増設以外の工夫を取り上げます。

 

 政府の資料によると、待機児童は1歳児、2歳児が8割近くを占めます。なぜ0歳児が多くないのか。それは0歳児については、産休や育児休業の制度により、母親が直接子育てするからです。ということは、育休の制度をさらに拡充すれば、保育需要の増加傾向をなだらかにし、子育てと女性の就業を両立させることが可能になるはずです。

 

 もちろん、子育ての役割を母親だけに限定すると、女性だけが就業できず、いわゆるM字カーブの問題に突き当たります。「性別の役割を固定化する」という批判も出るでしょう。なので、そうならないように、たとえば出産後3年間は、夫婦のいずれかが交互に育休を取れるようにする、ということも一案です。

 

 育休中の生活を支援するために雇用保険から出す育児休業給付金の支給期間は平成29年10月以降、2歳まで延長されています。国政の問題になりますが、この制度をさらに拡充することも求められるでしょう。

 

 本市では平成28年5月にイクボス宣言をしています。それに加えて男性の育児休業、いわゆるイクメンの制度をさらに充実させることも肝要です。新潟市、大津市や香川県丸亀市などでは、中小企業に勤める男性社員が育児休業した際、奨励金を支給する制度を設けています。本市としても、男性の育休取得推進に向けて、新たな仕組みを検討してみてはどうでしょうか。

 

 自治体財政を見た場合、保育所運営における自治体負担の割合を引き下げ、国庫補助率を引き上げていくことも大切です。本市の場合、保育所運営費に占める市費負担の割合は平成25年には6割弱ありましたが、直近の令和2年度では4割強に低下しています。もちろん、財政負担を市から国に転嫁するだけとも言え、オールジャパンの財政面では根本的解決にはなりませんが、自治体負担の軽減にはつながります。

 

 平成27年度からの子ども・子育て支援新制度移行に伴い、保育を認定する基準が大幅に緩和されました。パートタイムや夜間などすべての就労が対象になり、祖父母が同居している家庭でも、求職活動中の方でも、お子さんを保育所に預けられるようになりました。月48時間から64時間までの間で、市町村が定める時間以上、働いていればよい、となりました。これも保育需要を急増させる一因となっています。この仕組みを工夫することも検討に値します。

 

 今回の質問にあたっては、保育需要が増えるなか、待機児童を解消するためにいかに財政負担が大きくなっているか。そこに焦点を当て、皆さんと認識を共有するために議論いたしました。保育所の増設は良いことですが、ピークを過ぎてからバタバタと潰れて空き家だらけになってしまってもいけません。中長期的な需要も的確に見通し、PDCAサイクルを確立していただければと存じます。

 

 

2.不登校

 

 今定例会に提案されている補正予算案には、市内の中学生を対象とした不登校特例校分教室を設置するための整備費4300万円強が計上されています。

 

 不登校特例校とは、不登校の児童生徒を支援するために、文部科学省が定める基準によらない特別のカリキュラムで教育できる学校を指します。開設するためには、文部科学大臣の認定が必要です。

 

 全国では、八王子市立高尾山学園小学部・中学部が平成16年4月に開校し、先鞭をつけました。当時は規制緩和に熱心な小泉政権で、同校は構造改革特区として認定されました。翌年の学校教育法施行規則改正を受けて、自治体は同じような不登校特例校を設置できるようになりました。今年4月時点で公立8校、私立9校の計17校が開校しています。

 本市でも、不登校は重要な課題となっています。私は平成29年の12月議会でこの問題を取り上げました。極論すると、勉強だけ考えれば、学校に行かない方が効率的な児童生徒もいます。ですが、学校は知徳体をバランスよく身に着け、社会性を育む場でもあります。義務教育の意義を踏まえると、不登校への対応は、在籍校への復帰を目指すのが原則である。私はこのように考えて質問しました。今も基本線は変わっていません。

 

 不登校という用語は現在では日常的に使われていますが、1980年代までは「登校拒否」と呼ぶのが一般的でした。その後、拒んでいるのは一部であり、多くは何らかの理由があって通えない。こうした認識が広がりました。報道によると、当時の文部省が「不登校」という用語を文書に使い始めたのは平成4年です。約30年前ですが、当初は「登校拒否(不登校)」と併記していたそうです。

 

 不自由、不安定、不成立、不仲、不幸、不倫といった言葉があります。「不」という接頭辞は、肯定的な意味の言葉を打ち消す際によく使われます。不登校は登校拒否よりトーンは穏やかですが、「本来は登校すべきなのにしない」という否定的なニュアンスも含まれます。

 

 一方、文部科学省は「不登校は悪くない」という立場をとるようになりました。平成29年告示の小学校学習指導要領では「不登校とは多様な要因・背景により、結果として不登校状態になっているということであり、『問題行動』と判断してはならない。共感的理解と受容の姿勢をもつことが重要である」と記しています。

 

 アメリカの発明王、トーマス・エジソンは小学校時代、「1+1は2」という常識に疑問を投げかけるなど、先生を質問攻めにして困らせてしまい、小学校を中退しました。ですが、好奇心がひときわ強く、独学で勉強や実験を続け、蓄音機をはじめ、さまざまな発明を成し遂げました。

 

 児童生徒に焦点を当てた「個」の視点からすると、不登校を悪いとみなさず、登校しない児童生徒が自尊感情を損なわないようにする対応が求められます。一方、「社会全体」の視点でみると、登校しなくてもよいという機運が高まれば、その傾向に拍車をかけてしまう懸念もあります。先ほどの待機児童の問題と同様に、支援を拡充することによって、隠れていた需要を掘り起こしてしまう、痛しかゆしの側面もあるわけです。

 

 不登校特例校のメリットはStudent First、学習者本位の環境が保障されることです。学びの多様性とも言えますが、これまで登校できなかった生徒の教育権を保障することにつながります。通常学級には通えないものの、特例校に通うことができれば、自己肯定感を高めることができます。また、不登校という同じ境遇同士の集団になるので、安心感もあるでしょう。

 

 その一方、特例校において学習の質をどう担保するのか。学習の成果をどのように評価するのか。社会的自立性や集団行動をどのように身につけさせるのか。このような論点、課題もあります。

 そこで4点伺います。

①不登校特例校分教室開設の意義について

②過去3年間の本市における不登校生徒の推移について

③不登校特例校分教室での授業のすすめ方について

④不登校特例校分教室に通う生徒の元々の在籍校との連携、復帰について

 これで2回目の質問を終わります。

 

<市側の答弁>

①不登校特例校分教室開設の意義について

■教育長

 「健康都市」を目指す大和市では、現在、ひきこもりの状態にある方を「こもりびと」と呼称し、その支援を進めておりますが、このこもりびとへの支援が社会的課題となったのは平成12年頃からであり、その背景の一つとして不登校児童生徒の増加が挙げられておりました。

 一方、教育委員会としては、児童生徒の抱える困難に対して、教育相談コーディネーターの全校配置や不登校生徒支援員およびスクールカウンセラーの全中学校配置等を行い、校内支援体制の整備を進めるとともに、平成3年4月より教育支援教室「まほろば」を設置し、学校復帰も視野に入れつつ、在籍校の学習計画に沿った学習支援を行ってきました。

 こうした早期対応・早期解決に重点を置いた施策を講じることで不登校の子供たちに対する支援として学校復帰等一定の成果を上げております。

 しかし、この3年間、大和市の不登校生徒のうち約65%が年間90日以上欠席しており、実質的な学習保障がされないまま卒業してしまうなど、不登校の長期化・固定化が大きな課題となっています。

 今後はこれまで進めてきた施策に加え、長期化固定化する不登校への対応を含めたすべての子供たちへの支援体制を再構築する必要があると考えました。

 そこで令和元年10月に文部科学省から出された通知にある「学校に登校する」という結果のみを目標とせず、社会的に自立することを目指す必要があるという視点に改めて立ち、不登校特例校分教室を新たに設置することで、不登校の子供たちにより多様な学びの場を提供することとしました。

 不登校特例校分教室での学習スタイルは、教育支援教室「まほろば」とは異なり、独自のカリキュラム編成によって子供たちの実態に合わせた柔軟な学習計画で学習に取り組むことが可能です。

 たとえば年間の授業時数は、特別な学習計画の編成によるゆとりのある時間設定となっており、標準時間数が1015時間から980時間に低減され、オンラインを活用した教育相談等も採り入れながら、登校せずに支援を受けることも、子どもたちにとって選択肢の一つとなります。

 さらに、不登校特例校分教室は、不登校および不登校傾向の児童生徒への指導や支援方法について、得られた成果と課題を市内全小中学校に発信しながら、各校の後方支援を行い、対応力の向上に寄与するセンター的機能も果たします。

 不登校状態が長期化、固定化した子供たちにとって、不登校特例校分教室という学びの場が新たに選択肢に加わることによって、中学校卒業後の社会的自立に向けた、より多様な働き方が可能になるものと考えております。

②過去3年間の本市における不登校生徒の推移について

■教育部長

 本市における過去3年間の不登校生徒の推移は平成30年度233人、令和元年度238人、令和2年度188人となっており、令和2年度の約2カ月間の一斉休校の影響を考慮すると、ほぼ横ばいの傾向にあると言えます。

 

③不登校特例校分教室での授業の進め方について

■教育部長

 不登校特例校分教室の授業は、個別や少人数での指導を中心に、新たな教科として「教養科」を新設し、幅広い教養を身に着けられるような教育活動を実施していきます。

④不登校特例校分教室に通う生徒の元の在籍校との連携、復帰について

■教育部長

 不登校特例校分教室に入学、転籍後も必要に応じて元の在籍校と情報共有やケース会議を行うなど連携し、本人の希望も考慮しながら、適切な対応に務めていきます。また、分教室転籍後も、本人に元の在籍校に復帰したいという気持ちがあれば、保護者の意向も確認しながら、元の在籍校へ転籍することも可能です。

【答弁後の意見・要望】

 丁寧な答弁をいただきました。今月9日、東京都調布市が平成30年度から開設している特例校分教室、通称「はしうち教室」を視察してきました。分教室がある敷地には元々は小学校がありましたが、学校統廃合で廃校となり、現在はスポーツ施設となっています。敷地内には児童館もあり、分教室はその2階に設置されています。

 

 ユニークなのは「表現科」と称した独自のカリキュラムです。市内に劇場があることから、その劇団員が講師を務め、それぞれの得意分野で自分を表現する力の育成をはかっています。また、社会性を育むための「コミュニケーション・スキル・トレーニング」の授業を取り入れています。この分教室は、特定の趣味に没頭し、こだわりがある生徒が多いそうですが、登校しない生徒の特性を踏まえた優れた教育課程だと理解しました。独自の教育方針にひかれて、この分教室を選ぶ生徒もいるということです。

 

 本市の特例校分教室が設置する「教養科」については、今の答弁では具体的なイメージをつかめませんでしたが、先進事例も参考にしつつ、登校しない生徒それぞれの特性を踏まえ、長所を伸ばすカリキュラムにしていただきたいと考えます。次の大項目3にも絡みますが、教養科で教科横断的な学習を行うのであれば、新聞を積極的に活用することも一案でしょう。また、何らかの体験活動を積極的に導入したほうが良いと考えます。

 

 学習の評価をどうするかも課題です。はしうち教室では、数値で成績を評価することはせず、記述式の評価を採り入れています。本市においても参考になるでしょう。

本市の分教室では4人の教員を配置するということですが、教員の質の確保は最重要の課題です。集団行動を苦手とする方が多いでしょうから、生徒はもとより家庭環境にも目を配ることができ、生徒指導に熟達したやる気あるプロフェッショナルを充てることが望まれます。

 

 さらに言えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携も必要でしょう。年度の途中に他校から移ってきた転校生の場合、分教室と元の所属校の学級担任との連携も欠かせません。

 

 本市のベテルギウスにある通称「まほろば教室」との棲み分けも、上手く行わなければならないでしょう。調布市のはしうち教室では、不登校回復期の児童生徒を対象とし、中学生の場合は約1カ月間の生活体験を前提としています。そのうえで。入退室検討委員会の協議を経て入室の可否を決めています。本市においても、どんな生徒を求めるのかは熟慮や精査が必要です。そのためには、分教室独自のコンセプトや基本理念をしっかり明確化することが大前提となります。

 

 分教室の4月開設に向けた準備は急ピッチとなります。岐阜市はこの春、不登校特例校の市立草潤中学校を開設しました。定員は40人ですが、学校説明会には県外も含めた入学希望者が殺到し、最終的な希望者は136人に上ったといいます。

 

 本市では、教室改修のための補正予算案が議会に提案されたばかりで、そのまま可決したとしても、残された準備期間は実質3カ月間です。本市と同じく来年4月に特例校分教室を開設する東京都世田谷区は、保護者説明会を既に今年8月に済ませています。本市の分教室が突貫工事になることは否定できません。当初はトライ&エラーで走りながら進めていくことになるのでしょうが、登校できない生徒の将来に影響を与える大切な学び舎となります。準備作業も含め、総力を挙げて取り組んでいただければと存じます。

 

 特例校分教室が人気となれば、既存の中学校9校は新たな競争環境にさらされるかもしれません。通学したくなるような魅力ある学校づくりが求められます。いじめや問題行動などが生じないように、より一層努めていただきたいと要望します。

 

 

3.学力向上

 小中学生の学力向上は、平成27年の初当選時から掲げた私の大きな政策目標の一つです。ですので、過去の議会でも何回か取り上げています。

公教育においては、基礎的な部分を誰もが等しく身に着けることが大切だと考えます。文科省的な表現では「生きる力」となりますが、社会を生きていくうえで必要な基礎学力は培いたいところです。そのためには、市内の小中学生の学力がまずは全国水準に達することが重要だと考えます。

 

 文科省が毎年実施している全国学力・学習状況調査の歴年の結果を眺めてみると、本市の児童生徒の平均正答率は全国平均をやや下回っているものの、差は大分埋まってきました。日々の授業や放課後寺子屋をはじめ、学校現場の努力にも敬意を表するところです。

 

 このテストは昨年度、コロナの影響で中止となりましたが、今年度には再開しました。その結果を見ると、本市では、小学校の国語の平均正答率が全国平均より5ポイント近く下回っています。過去の調査結果をみても、小学校の国語は全国平均と開きがあり、課題となっています。

 

 先月末、神奈川県議会の代表質問を傍聴しました。その場でも小中学生の学力向上が一つの課題として取り上げられていました。政令市を除いた市町村、いわゆる県域でも、小学校の国語は同様の傾向となっています。

 

 読解力を培う国語は、全教科に通じる最も大切な教科です。本市の教育委員会がホームページ上で公表している今年度の結果分析を読んでみました。すると、小学校の国語では、自分の考えが伝わるように表現を工夫することや、目的に応じ文章と図表を結び付けて必要な情報を見つけ出すことなどに課題がある。このように分析されています。

 

 新聞は統計的な情報も多く、実用的な日本語を使っています。それぞれの記事には見出しがついており、内容を分かりやすく伝えるために工夫しています。なので、本市の小学生の国語の課題は、新聞を継続的に読むことによって克服できるのではないか。このように考えます。

 

 この学力テストでは、児童生徒の生活習慣を把握するための質問紙調査を合わせて実施しています。本市の教育委員会の分析資料では、児童生徒の課題の一つとして「新聞を読むこと」を挙げています。

 

 そこで5点伺います。

①令和3年度全国学力・学習状況調査の結果について

②小学校における国語の力の育成について

③小学校における読書活動の取り組みについて

④小学校に配架されている新聞の活用について

⑤全国学力・学習状況調査の結果の周知について

 これで3回目の質問を終わります。

 

<市側の答弁>

①令和3年度全国学力・学習状況調査の結果について

■教育部長

 本市の結果については、全体では全国平均と比較して有為な差はみられませんでしたが、教科ごとの分析によって明らかになった課題について、各学校がそれぞれの学習状況に応じた対応を進めているところです。

 

②小学校における国語の力の育成について

③小学校における読書活動の取り組みについて

④小学校に配架されている新聞の活用について

■教育部長(一括答弁)

 国語における育成すべき資質能力は学力向上の根幹であり、なかでも読解力の育成は本市において課題の一つであると捉えております。

 教育委員会では、児童が読書に親しむための環境整備を進めることで、児童の読書量の増加にもつながっておりますが、さらに読解力を育むために、図書館を使った調べる学習の推進等、子供たちが読書を通じて言語能力の向上をはかる取り組みを今後も充実させていきます。

 また、新聞の活用につきましては、質問紙調査や市で行っている理解度調査の結果を踏まえ、児童生徒が新聞により親しむことができるよう、各学校へ学級活動や教科学習での活用の工夫を促し、子供たちの読解力の育成につなげていきます。

⑤全国学力・学習状況調査の結果の周知について

 本市の結果及び分析につきましては、市のホ-ムページに掲載するとともに、学校ごとの結果および分析につきましては、学校だより等で丁寧に保護者に周知しております。

【答弁後の意見・要望】

 答弁をいただきました。国立教育政策研究所では、全国学力・学習状況調査と児童生徒の生活習慣のクロス分析を行っています。お手元の図表に記していますが、新聞を読む習慣がある児童生徒ほど平均正答率が高くなっています。とりわけ、小学校の国語においては、「新聞をほぼ毎日読む」と答えた児童は、全国平均より10ポイントも高い正答率を得ています。統計的には、かなり有意な差と言えます。

 

 本市では平成29年1月から、小学校高学年と中学校の各教室に子供向けの新聞を配架しています。ただ、質問紙調査の結果をみると、大変残念ながら、本市の小学生の新聞閲読率は全国平均や神奈川県平均を下回っています。

 

 新聞の購読率は低下の一途ですから、そもそも家庭に新聞がないお子さんは増えているはずです。ですが、本市の児童生徒は学校の教室でいつでも読むことができる環境が整っています。にもかかわらず閲読率が低いということは、教室に配架されている新聞が十分に活用されていない可能性があります。

 

 本市の学校教育基本計画では、「質の高い学びを実現する取組み」の一つとして、「新聞を活用した学習の推進」を掲げています。調べる学習への活用をはじめ、取り組みを強化していただきたく存じます。

 

 市立下福田中学校は今年度までの4年間、日本新聞協会のNIE実践指定校に選ばれています。同校の中学3年生の生徒は、神奈川県NIE推進協議会のコンクールの優秀賞を受賞しています。同校独自の判断で実践に取り組んでいると伺いますが、他の学校でもNIEを推進するよう市教委として是非、働きかけていただきたいと要望します。

 

 質問紙調査は「大和っ子」の生活習慣が分かる宝の山です。子供たちの生活習慣が分かれば、学力だけでなく様々な教育上の課題を見つけることができます。ですので、質問紙調査を活かして教育の改善につなげてほしいと平成31年3月議会で要望しました。

 

 本市では令和元年度から、小学校3年生から中学2年生までの児童生徒を対象に「学習理解度調査」を始めています。翌2年度からは質問紙調査も追加して、クロス分析も行っています。

 

 不勉強ながら、私は今回の一般質問に際し、本市の独自調査の取り組みを初めて知りました。質問紙調査のレポートも読んでみましたが、子供たちの生活習慣の改善に向けたヒントがふんだんに盛り込まれていました。大変良い取り組みだと思います。教育委員会が様々な努力を積み重ねていることが分かり、とても嬉しく感じました。

 

 持ち時間の都合上、詳細は省きますが、本市のクロス分析では、「読書好きな子や新聞をよく読んでいる子の国語の平均正答率は高い。『読む』ことを好きであり続ける子どもたちを育成していただきたい」と講評しています。私の提案も方向性はまったく同じです。

 

 最後に、一つ提案します。本市の広報紙に、いわゆる学力テストや質問紙調査の結果 分析を掲載してみてはどうでしょうか。平均正答率の掲載はなくてよいですが、生活習慣上の課題について保護者間で意識を共有することは重要だと考えます。

 

 今年4月の教育委員会の定例会では、本市独自の調査結果についても協議しました。会議録によると、教育委員の一人から「就寝時間とゲームやインターネットの関係の結果が出たので、保護者にも伝えるべきだ」。このような意見が出ていました。これは生活習慣に着目した提案ですが、学力向上についても機運を高めるべく、広報啓発活動を是非、積極的に取り組んでいただければと要望いたしします。

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一般質問の配布資料(裏).jpg

令和4年3月議会