大和市議会 小田の一般質問

 *本会議場での実際の質問では、私の場合はテーマごとに、まとめて質問し、行政側もまとめて答弁しています。このHPでは分かりやすさを重視して一問一答方式のように再編集し、質問の直後に答弁を記しています。なので、動画とは若干食い違う箇所があります。議事録は市議会HPの会議録でもご覧になることができます。

 *市議会HPでは、過去1年分の動画を公開しています。それ以前のものは見ることができませんのでご了承ください。

令和2年12月議会

一般質問の動画はこちらから。インターネットエクスプローラ推奨です。

http://www.yamato-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2037

 

1.ネット炎上対策

 新型コロナウイルス感染症の問題でインターネットの視聴時間が増えているようです。テレビ番組の視聴率の調査でおなじみのビデオリサーチ社の調べによると、全国的に緊急事態宣言が発出されていた期間に当たるゴールデンウイークの週のPCインターネット全体の推定訪問者数は2700万人台に達したそうです。訪問者1人当たりの平均滞在時間も5時間20分となり、3月と比べて1時間程度増えていました。現在は外出自粛とまではなっていませんので、当時より減っていると推測しますが、自宅にいる時間が増えて巣籠もりすれば、テレビやインターネットを視聴する時間が増えます。とりわけ他人との関わりが薄くなり、ストレス過多になりがちな昨今ですので、いわゆるネット炎上が増えてもおかしくないと考えます。

 ネット炎上をはじめネット上の重大なトラブルを研究しているデジタル・クライシス総合研究所の調査によると、今年4月の炎上件数は246件で、前年同期の3.4倍に上ったということです。ネット炎上とは、荻上チキ氏によれば、ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなそうな状態を指します。ネット炎上の研究者としては、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授が著名です。山口氏の調査によると、炎上参加者の7割は男性であり、世帯年収が高いそうです。また、実は炎上に関与する人はごく一握りしかおらず、炎上参加経験者の3分の2は同じ炎上への書き込みを繰り返していたということです。

 

 最近では、この5月、女子プロレスラーの木村花さんが自殺した痛ましい事件がありました。木村さんは恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演し、番組内の言動をめぐりSNS上で誹謗中傷が相次いだことが自殺の原因だったと見られています。自治体の炎上をめぐっては平成29年、観光客誘致を目指す宮城県が女性タレントの壇蜜さんを起用した動画広告が「卑猥」などとして批判が集まりました。鹿児島県志布志市では平成28年9月、ふるさと納税を呼びかけるため、ウナギを擬人化した水着姿の少女を起用したCMを制作しましたが、批判が集中して公開中止となりました。ただ、同年度のふるさと納税の総額は前年度の3倍に増えており、炎上商法の効果があったとの見方も出ております。

 

 炎上はどのようにして防げばよいのでしょうか。田中辰雄慶應大学教授と先の山口氏は、『ネット炎上の研究』と題した共著の書籍において、炎上しそうな話題を避けるとよいとアドバイスしています。具体的には①政治②外交③宗教④民族⑤教育、学校⑥性別(ジェンダー)⑦地域⑧差別⑨環境⑩原発、放射能⑪喫煙⑫アイドル⑬スポーツ⑭オタクネタ―の14種類のテーマを挙げています。要は、人によって賛否が分かれたり差別につながりかねないテーマは取り扱わないということです。同書では、ネット上での議論の仕方について、悪口を書かない、上から目線を避ける、外国と日本を比較して日本を批判しない、以上の3点が大切だと注意を促しています。

 

 とりわけ私も含めて議員は気をつけたほうがよいと思います。ただ、この教えを忠実に守っていたら、「どこどこに行きました」「何々に参加しました」「何を食べました」といった当たり障りのないこと以外は何も書き込めなくなってしまいます。議員は議員活動の一環として発信することもあります。その際には一定の配慮をしつつも、自分の考え方を明らかにすることも大切だと考えます。そうしないと、有権者はどのような議員であるか判断できないからです。

 

 公共機関である自治体はネット上で政治的意見を表明する機会がありません。なので、政治的な投稿とは無縁かもしれませんが、その手の内容でなくても、炎上するケースはあります。たわいもないと見られる投稿でも、突如として炎上することがあります。そこで3点伺います。

(1)インターネットを使った市の広報の意義について

■大木哲市長

 インターネットの普及は情報伝達に大きな変革をもたらしました。それまでの行政による広報は、市内のみ紙媒体で周知する、または報道機関を介して行っていたものが独自にいつでも配信できるようになりました。また、情報の受け手側におきましても、時間や場所を選ぶことなく受信できるようになり、市内だけでなく、国内、さらには海外へと情報が容易に伝わります。記憶に新しいところでは、全国に先駆けて実施いたしました大和市歩きスマホの防止に関する条例が世界各国のメディアに取り上げられました。

 大和市ではホームページやeメール、アプリケーションソフト、SNSといった多様なインターネットメディアを活用し、一人でも多くの方に情報が届くよう努めているところでございます。本年は新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るったため、感染の予防を目的に様々な分野のICTサービスが急速に普及いたしました。多くの方にとってインターネットは重要なライフラインとなった現在、今後はこれまで以上にインターネットでの広報が重要な手段となるため、引き続き注力してまいります。

 

(2)ホームページの閲覧状況について

■市長室長

 ホームページのトップページの閲覧状況については、平成30年度が8万7000件、令和元年度が10万8000件、そして令和2年度は上半期だけで17万1000件となっております。

 

(3)炎上対策について

■市長室長

 大和市が運用するSNSやツイッター、LINE、ユーチューブですが、配慮に欠ける投稿や操作ミスなどが発生しないようにするため、本市情報セキュリティポリシーにのっとった運用を実施するとともに、配信に関する内規も定めております。内規の内容といたしましては、SNS内で利用できる機能への使用制限や投稿内容への配慮を規定するとともに、操作ミス等によって炎上が発生した場合においても速やかに対応ができるよう報告方法のフローも定めております。一方で、運用に瑕疵がなくともネガティブな反応が寄せられてしまうこともあれば、第三者の投稿により炎上してしまうこともあり、予測することは難しく、完全な管理はできません。不測の事態に備えながら炎上が発生しないよう引き続き努めてまいります。

 

【答弁後の意見要望】

 答弁をいただきました。大和市のホームページのトップページの閲覧件数は、今年度は上半期の半年間だけで通年の2倍近くに達しているということです。つまり、例年の4倍のペースということで、想像以上の増加ぶりでした。市民の皆さんが新型コロナウイルス感染症に関する情報を欲している状況がうかがえます。本市のホームページを覗いてみると、新型コロナウイルス感染症の状況や対策を一覧できるページがあります。過不足なく情報を網羅していますが、味気ない見出しが羅列されていてお堅い印象を受けます。バナーやイラストを積極的に取り入れるなどして親しみやすく刷新してみてはいかがでしょうか。本題からそれますが、コロナ関連の情報のニーズは極めて高そうなので提案します。

 

 本市においてはSNSの運用内規がきちんと整備されているということでした。一定のルールや指針がないとトラブルの元になりますし、適切に対応していると理解しました。

 

 今回、私がこのテーマを取り上げたのはニュースキャスターの安藤優子さんが炎上したのがきっかけでした。安藤キャスターはこの8月、フジテレビ系情報番組で炎天下の観光地、京都市の現場中継をして、その際の発言や対応がパワハラと批判を浴びました。炎上問題の怖いところは飛び火をするということです。私が安藤キャスターを擁護するツイートをしたところ、私にまで火の粉が散り、プチ炎上したことがありました。ツイッターというメディアの拡散力に驚くと同時に、「怖いな」とも感じました。

 

 ただ、ネット世論が実際の世論とどこまで同じかという議論はあると思います。アメリカの憲法学者サンスティーンは、ネット上では自分の意見と似た人ばかりと交流して、その考え方を強化しがちなので、集団極性化を促しやすいと指摘し、そのような現象を「サイバーカスケード」と名づけています。情報の選択的接触を重ねる状況が続くと、対立と分断を招きやすいということです。アメリカの大統領選挙はその最たる例でしょう。

 特にSNSにおいて、ツイッターは匿名アカウントも多々ある上に、拡散力が強いです。文字数は140字以内に限られているので、丁寧な説明がしづらい特性もあります。よくも悪くも過激なコメントが拡散されやすいので、発言内容は先鋭化しがちです。

 

 一方、ネット世論や炎上を恐れて異論を投げかけることをためらえば、言論は一方に偏ってしまいます。リスク回避の事なかれ主義は言論空間の健全性を阻んでしまいます。言うべきことは言わねばならない、これは私の信念でもあります。しつこくなってしまうので、今回は教育部に質問しませんでしたが、この問題においても情報モラル教育やメディアリテラシー教育の充実が求められると言えるでしょう。

 大木市長は市役所の公式ツイッターで11月から記者会見報告を始めています。ツイッターは様々なコメントがつく可能性があります。賛成であれ反対であれ、言論の範囲内ならよいと思いますが、法律法令に違反したり誹謗中傷したり、公序良俗に反するコメントがつく可能性もあります。先ほどの答弁では、本市の歩きスマホ防止条例が外国メディアで取り上げられたことを紹介していました。ですが、逆もまた真なりです。炎上した鹿児島県志布志市の動画は外国メディアでも批判的に報じられました。十分に御留意いただければと存じます。

 

 ということで、次の大項目はえてして炎上しやすい内容を含みますが、私としては大変大事だと考えるテーマです。

2.パートナーシップ制度

 大和市パートナーシップ宣誓制度の意見公募手続、いわゆるパブリックコメントが11月下旬から始まりました。この制度は、法律上の婚姻が困難な2人が人生のパートナーであることを宣誓するものです。本市議会においては、平成30年12月定例会で導入に向けた協議の開始を求める陳情書と同時に、拙速に推進することなく慎重に検討してほしいとする陳情書もそれぞれ可決しました。私は平成30年9月定例会の一般質問で、パートナーシップ制度を導入しないよう求めました。というのは、この問題は男らしさ、女らしさをなくしていこうとするジェンダーフリー教育と表裏一体の関係にあると捉えられるからです。なので、制度導入の方針が決まったことは大変残念であるとしか言いようがありません。

 

 令和5年度までの5年間における第3次やまと男女共同参画プランにはパートナーシップ制度への言及はありませんでした。市がプランを策定したのは昨年3月ですが、その時点ではパートナーシップ制度を導入する方針ではなかったことがうかがえます。一方、このプランでは「社会情勢の変化に応じて適宜見直しを行います」とも記しており、プランに書かれていない施策を行うこともあり得ることを示唆しています。

 パートナーシップ制度の意義とは何でしょうか。この問題に詳しい早稲田大学の森山至貴准教授は『LGBTを読みとく』と題した著書でこう指摘しています。

 「結婚もどきとされていたパートナーシップ制度がそれ自体意義を持つ制度として活用され得るとすれば、結婚にのみ重きを置く価値観そのものが相対化されます。結婚の価値を攪乱し転覆する可能性をパートナーシップ制度に関する議論は生み出すのです」

 

 引用は以上です。パートナーシップ制度の導入が単に性的マイノリティーの保護のみにとどまらないことがよく分かります。本市議会で可決した一つの陳情書は婚姻と事実婚を同列に扱うことになり、婚姻制度を著しく形骸化させ、社会的混乱を招くおそれがあると指摘しています。

 

 大変重たい意味合いを持つテーマなのに、パートナーシップ制度は条例でも予算でもないので、議会の賛成を必要としません。パートナーシップ制度の先駆けは平成27年の東京都渋谷区の同性パートナーシップ条例ですが、それ以降の多くは条例ではなく、制度として取り入れています。個人的推測になりますが、条例ではなく制度を採用している自治体が多いのは、議会における侃々諤々の議論を経ることなく、簡便にスタートできることがあるのでしょう。条例はその地域における法律という意味合いを持ちますので、同性婚を認める法律が存在していない以上、条例より制度の方がよいという考え方もあるのかもしれません。

 

 いずれにしても、この新しい制度は大変大きな問題を内包しています。大切な事柄については議会に諮ってほしい、このように考えます。議会に諮るということは民主的プロセスである上に、議会が責任を共有し分担するということでもあるからです。逆に言えば、議会に諮られない問題は議会が責任を共有する必要もないと言えます。

 

 さて、結婚とは何でしょうか。一言で言えば、夫婦になることです。堅い表現では「法律上正式に社会的承認を経た夫婦の関係」となります。フェミニズムの大家、上野千鶴子さんは「自分の身体の性的使用権を特定の唯一の異性に排他的に譲渡する終身的契約」という考え方を主張しています。これはドイツの哲学者カントの定義に由来しているそうです。絶対必要というわけではありませんが、結婚には、お互いに協力して共同生活するとか子供を産み育てるとか様々な役割が期待されます。お互いに一つの家族になるとも言えるでしょう。ですので、私は性的関係のみに限定する捉え方にはくみしません。ですが、一般に不倫は結婚していなければ生じませんので、フェミニストが言う狭義の捉え方も理屈としてはあるのでしょう。

 

 我が国の憲法は第24条で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定めています。字面どおりに読めば、両性の合意、夫婦とあるので同性婚は認められないとする学説もあります。一方、憲法制定当時は戸主同士が結婚を決めていたため、面識ない人同士が結婚することもあり、それを否定するために定められたと解釈し、両性を男女に限らなくてもよいと捉える学説もあります。とはいえ、政府は現時点で同性婚には慎重な答弁をしておりますし、同性婚を認める法律は現在ありません。パートナーシップ制度は考えておくべき様々な論点があります。

 

 本市のパートナーシップ制度の素案を読みますと、宣誓の要件は、民法上の成年、つまり、18歳に達していること、配偶者やパートナーシップ関係にある別の方がいないことなどとなっています。同性だけでなく異性間の事実婚カップルも対象ということです。ただ、素案を読んでもよく分からない点があります。そこで10点伺います。

 

(1)制度を導入しようとする理由は何か

(2)市議会における2つの陳情をどう捉えるか

(3)陳情後に状況の変化があったのか

■文化スポーツ部長(一括答弁)

 この制度は、大和市人権指針の基本理念に基づき、当事者が感じる生活上の支障の解消や多様性を認める社会の促進につなげていくために創設するものでございます。平成30年度に市議会が採択した性的マイノリティーに関わる2件の陳情の趣旨に鑑み、これまで他の自治体の動向を注視することを含め慎重に検討を進めてまいりました。昨年度は当事者や支援者から制度の導入を求める意見が寄せられるなど、当該制度の導入をはじめLGBTなど性的マイノリティーの方々に対する社会の動きも大きく変容しているものと捉えております。

 

(4)制度の導入自治体件数、交付件数、返還件数は幾つか

■文化スポーツ部長

 令和2年11月末時点で全国の65自治体が同様の制度を導入しております。県内では3つの政令市をはじめ本市を含めますと、令和3年4月時点においては12市町が導入する状況となっております。また、交付件数は1300件を超え、返還件数は、横浜市、川崎市ではゼロ件と公表されております。

 

(5)婚姻の本質は何か

(6)大和市は同性婚は認められると解釈しているか

■文化スポーツ部長(一括答弁)

 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってその効力を生ずるとされており、財産権や相続、親族の扶養義務など、当事者双方に法的な権利義務が生じるものと捉えております。同性婚につきましては、現在関連する訴訟が複数の裁判所に提起されている状況や、国会等において議論がなされていることを踏まえ、本市としてはそれらの動向を十分に注視してまいります。

 

(7)制度導入によって得られる便益は何か

■文化スポーツ部長

 県営住宅の入居申込みが可能になるほか、入院時の病状説明、面会及び手術の同意、携帯電話会社の家族割適用、生命保険の受取人適用への活用が可能となる場合がございます。

 

(8)制度の利用によって姓は変わるのか

(9)パートナーが外国籍の場合、在留資格が得られるのか

(10)他市に転出した場合の受領証の効力について

■文化スポーツ部長(一括答弁)

 本制度は、法的効力を有するものではないため、戸籍や在留資格に影響を与えるものではございません。なお、受領証は大和市在住においてのみ有効であり、市外へ転出する場合は受領証を返還していただくことになります。

 

【答弁後の意見要望】

 答弁をいただきました。戸籍や在留資格に影響しないことは理解できました。その面で大きな問題は生じないでしょう。ただ、パートナーシップ制度は法律婚より緩やかな仕組みです。法律婚では法的な権利、義務が発生しますが、パートナーシップ制度はそうではありません。パートナーを解消してもバツ1、バツ2になるわけでもなく、手軽に取り消せます。パートナー解消の不都合がないということは、例えば携帯の家族割引など、何らかの便宜を受けるためにパートナーシップ関係を偽装的に結ぶ可能性もゼロではないということです。

 

 午前中の山田議員の一般質問で、市は「当事者が職員の面前で記入することで宣誓書受領証を交付する」と説明しました。この制度は現在、得られる直接的な便益が少ないので、問題ないかもしれませんが、便益が広がれば広がるほど、不正の可能性は高まります。権利と義務は一対の関係にあります。義務が存在しない権利は制度として不安定です。その点は行政として留意しておく必要があると考えます。本市の制度に独自性はないようですし、先駆的に導入したわけでもありません。ただ、司法判断より先行しているとは言えるでしょう。

 名古屋市内の男性殺害事件をめぐり、同性パートナーの男性が愛知県に遺族給付金の支給を求めた訴訟の判決がこの6月、名古屋地裁でありました。判決では、婚姻関係と同視し得るとの社会通念が形成されたとは言えないとして、原告の請求を棄却しました。現在、名古屋高裁で争われており、確定判決ではありません。ですが、判決文では「社会通念上、同性間の共同生活関係が異性間のものと同一視されているとまでは言えない」と指摘しています。このような司法判断が出ていることも一つの事実です。

 現在、様々な事柄がボーダーレスになってきています。例えばメディアでは、インターネットの進展で誰でも発信できる時代となり、新聞、テレビなどのオールドメディアとネットメディアの融合が進んでいます。AI、人工知能の技術が普及すれば、人間の仕事は大幅に縮減されると予測されています。機械は徐々に人間に融合していきます。テレワークが普及すれば、仕事と休暇の境は不透明になります。男女の違いは何か、公と私の境界は何か、国民と外国人の区別は何か、市境、県境、国境とは果たして何なのか。ボーダーレス社会が極端に進めば、これらの境界という意味をも喪失させることになるでしょう。

 多様性を認めることも少数者の権利保護も大事だと思います。その点に異論はありません。ただ、それが行き過ぎてしまうと、ボーダーが失われてしまうのではないか、家族や男女の在り方をも変えてしまうのではないか、そのような懸念を拭い去ることができません。この種の取り組みは社会に与える様々な影響も考慮した上で慎重に検討してほしいと要望します。

 

3.道路の安全対策

 

 10月31日付の読売新聞1面記事で「危険なバス停 6県780か所 国交省初の公表 全国結果年内にも」といった見出しがついた大きな記事が目にとまりました。危険なバス停とは横断歩道や交差点の近くに設置されているバス停を指します。バスが停車した際に死角が生じて交通事故を起こしかねないため、危険性が高いとされます。

 2年前の平成30年8月、横浜市内でバスを降りた小学5年の女子児童がバスの後ろから道路を横断した際、対向車線の自動車にはねられて死亡する痛ましい事故がありました。車両が大きいバスが対向車の死角になったそうです。読売新聞は危険性を問題視してキャンペーン報道を展開しています。神奈川県警が公表しているバス停留所安全対策実施状況一覧表によると、危険なバス停は県内14市町に合わせて84か所あるとされます。危険度はAからCまで3分類されています。停車した路線バスを原因とした人身事故が過去3年以内に発生したのはA判定となり、9か所あります。指定項目の合計点数が平均以上のB判定は32か所です。指定項目の合計点数が平均以下のC判定は43か所となっています。これは今年11月末時点の最新のデータです。

 大和市内にも1か所B判定のバス停があります。上草柳4丁目に所在する神奈川中央交通バスの東原停留所です。地域情報紙のタウンニュースが平成30年12月に大きく取り上げていたので、御存知の方も多数いらっしゃるでしょう。このバス停の時刻表を見ると、大和駅西口駅行きのバスは平日1日当たり27本運行しています。午前6時台から午後9時台までの間、1時間当たり1本から3本走っています。周辺の住民からは危ないのではないかという声も伺います。安全対策を万全にすることが不可欠だと考えます。

 

 さて、話は替わりますが、県道丸子中山茅ヶ崎線、いわゆる中原街道沿いに市道光ヶ丘久田線と市道久田山谷線が交差するクランク上の交差点があります。この周辺は桜丘小学校の通学路となっていますが、危険性がある場所です。住民の要望を踏まえ、市として昨年秋、交差点改良事業費に2000万円近くの補正予算を計上していただいたことには感謝を申し上げるところです。周辺住民からは完成を待ち望む声が出ています。そこで2点伺います。

(1)危険なバス停(東原)の現状について

■都市施設部長

 県警察では、平成30年8月30日に横浜市で発生した横断歩道に近接したバス停での交通死亡事故を受け、同様に危険性のあるバス停84か所を公表しました。本市では上草柳の東原バス停の1か所が指定されたことから、速やかにバス停と横断歩道の手前に注意喚起の看板を設置いたしました。その後、県警察から「道路管理者である本市、バス事業者と連携して安全対策を進めたい」との要請により、昨年6月に対策会議を開催しバス停、横断歩道の移設を検討しましたが、必要な条件を満たすことができなかったため、移設に至りませんでした。そこで、現状での改善策として、県警察から本市へ「道路上に注意喚起の路面標示が行えないか」との要請があり、今年1月に横断者注意の文字をバス停付近の上下線に各1か所標示したところでございます。今後も引き続き県警察と連携してバス停付近の安全対策に努めてまいります。

 

(2)市道光ヶ丘久田線の道路整備状況はどうなっているか

■都市施設部長。

 現在、市が事業主体の光ヶ丘久田線と久田山谷線の変則交差点の改良及び光ヶ丘久田線の歩道整備については、県道丸子中山茅ヶ崎線の拡幅に合わせ県が工事を実施しており、今年度末の完成を目指しているところでございます。本市といたしましても、歩行者等の安全を確保するため、県と連携し早期完成に取り組んでまいります。

 

【答弁後の意見要望】

 答弁をいただきました。東原バス停ですが、案内表示板の下には「お客様へ 横断歩道にバスが止まっているあいだは危ないので、道路をわたらないでください」と記した小さな看板があります。神奈川県警の資料では今年1月14日に歩行者安全対策を講じたとしています。いろいろ複雑な状況があることは私としても理解はするところです。

 

 ただ、県内84か所のリストを見ると、大半は停留所の移設、廃止、横断歩道の移設、廃止といった対策が講じられています。これらが困難な場合には横断者注意といった路面標示などの歩行者安全対策が取られています。東原バス停のケースは、停留所や横断歩道を動かしたりすることが難しかったということです。バス停が所在するエリアは最寄りの大和駅から若干離れているので、バスの利用者も多数いらっしゃることと存じます。この場で「バス停をなくしてほしい」と要望するものではありません。ですが、周辺住民の意見要望もしっかりと聞きながら、さらに安全対策を強化してほしい、そのように要望します。

 

 冒頭に紹介した読売新聞の記事によると、国交省は、茨城、長野など6県分のバス停名や所在地をまとめたリストを公表しています。年内にも残りの都道府県分を公表し、順次安全対策を実施するということです。国交省も危険なバス停をランクに応じてA、B、Cに3分類していますが、神奈川県警とは判定基準が異なっています。国交省の基準では、横断歩道に車体がかかるのがA判定、横断歩道の前後5メートルの範囲に車体がかかったり、交差点に車体がかかったりする場合はB判定、交差点の前後5メートルの範囲に車体がかかる場合をC判定としています。神奈川県警の判定基準は、交通量や通学路に該当するかどうかなどを加味していますが、国交省の判定基準は機械的であり、判定はより厳しめになると想定されます。

 

 今後明らかにされるであろう国交省の調査結果では、大和市内の危険なバス停は1か所だけにとどまらず、もっと増えるかもしれません。社会問題化する可能性もあるでしょう。市内のバス停の危険性を取り除くべく十分な努力が求められます。この問題は基本的には県警とバス会社の間の話になるとは理解しますが、住民の命を預かる基礎自治体の大和市としても安全対策に万全を期してほしい、このように考えます。

 

 中原街道沿いの変則的な交差点の工事は今年度内に終了する予定ということでした。ここに関わる市道光ヶ丘久田線をめぐっては、国道467号いわゆる藤沢街道の抜け道としてスピードを出す自動車も多く、路面標示をするなど様々な対策を取っていただいていることに感謝します。桜丘小学校に子供を通わせる保護者の一部からは、通学時間帯の安全確保に向けて様々な声が出ております。さらなる善処をしていただけるように要望します。

 

 桜ヶ丘エリアでは境川沿い西側の道路、市道大塚戸桜山線で自動車がスピードを出して危ないという声を周辺住民から伺います。平成29年11月には県道丸子中山茅ヶ崎線と交差する新道大橋交差点で死亡ひき逃げ事故も発生しました。速度規制の標識や標示を増やすことをはじめ、安全対策のさらなる強化を県警に働きかけていただきたい、このように要望します。

 最後に一言申し上げます。今年は「コロナ、コロナ」の1年間でしたが、来年は東京オリンピック・パラリンピックという明るいイベントも行われる予定となっております。感染症の問題がいち早く収束し、笑顔あふれる元の日常が一日も早く戻ってくることを切に願っています。市としても感染症対策に注力しつつも、社会経済を正常に回すことを心がけていただきたい。このように要望させていただき、一般質問を終わります。

令和3年3月議会

Copyright © 2014    HIROSHI ODA  all rights reserved.